第3部18話 ネクロスタシア同窓会
~氷牢都市フルイゼン近郊 永久凍土フシラウス~
「遊戯都市和樂から氷牢都市クリムクロスへ辿り着くのに3日じゃ。この調子ではウルルカ到着までに1週間を要するということになる。何か言い訳はあるか、ワンダよ?」
「しょ、しょうがないワン。総勢100名のゾンビ軍団を騒ぎにならないように移動させるのは骨が折れる大仕事だワン。もう少し身軽にならないと機動力は上がらないワン……」
「ふむ……。人探しには人数が多い方がよいという安易な考えが仇になったようじゃ……」
「不死者よ、事態は急を要する。我が単独でウルルカへと足を運び、偵察に赴こうではないか?」
「ぬう……お主に先を越されるのは癪に障るが、今は姐さんの身の安全が第一であろう。孤龍よ、頼めるか?」
「任された。大船に乗ったつもりで吉報を待つがよい――」
「あーようやく見つけた。こんなところに隠れられたらわからないじゃん!?」
「――!? 誰じゃ!?」
「いつの間に我の傍らへ移動したのだ!? 何者だ!?」
「にゃー!? まるで瞬間移動のようだにゃー!? どういうことにゃー!? はっ、いけない、思わず素が出てしまったワン……」
「誰って、時の魔王ベルズだよ」
「ベルズだと!? 長命龍に向かって血迷った事を……。1000年前に魔王ベルズと相対したが、貴様とはまったくの別人であったわ」
「孤龍よ、この魔力の波長、確かにベルズ様のものじゃ……。ベルズ様、ご健在で何よりじゃ」
「あー、わかってくれてよかったー。わかってもらえなかったらどうしようかと思ったよー」
「時の魔王ベルズって、まだ未確認の魔王のひとりじゃないかニャ? なんてレアなエンカウントニャー! ニャーが初の目撃者ニャー!?」
「猫語が煩いぞ、ワンダ。それよりもベルズ様がなぜここにいるんじゃ?」
「なぜって、誰かさんが黄昏城を無血開城したせいで、いろいろと話がこじれてるんだよ? わかってるの?」
「ぬぐっ、それは申し訳ない……」
「申し訳ないと思ってるんなら、さっさとネクロスタシアへ戻ってくれないかな? 今、黄昏城の守りは誰もいないし、時の魔王までフリーアクセス状態なんだけど!?」
「申し訳ないのじゃが、今すぐにネクロスタシアへ戻ることはできぬ相談じゃ……」
「な――ネクロスタシア守護兵団でしょ!? 守護しないで何やってるの!?」
「お言葉はもっともじゃが、我らの姐さんが現在行方不明となり、全力を尽くして捜索しておるところじゃ。姐さんを見つけ次第、城の守備業務に戻るから、何卒お許しがほしいのじゃ」
「はあ!? 主人より姐さんの方が大事だと!?」
「もちろんじゃ」
「くそおおおおお! 忠誠心が滅亡してやがるううう!」
「時の魔王が配下の不死のジン・ヘルナンデスに振られてるニャ……。面白い展開ニャ……」
「ぜんっぜん、面白くねえええええ。じゃあ、さっさと姐さんが見つかればいいんだな!? 姐さんって黄昏城の鍵を持ってる女のことで合ってる!?」
「姐さんを知っとるのか!?」
「そりゃ、知ってるに決まってるでしょ!? 会ったからね、誰かさんのせいでフリーアクセス状態の魔王の間で!」
「し、失礼したのじゃ……。それで姐さんは今どこにいるのじゃ?」
「うーん、砂楼都市アルカディアにいるみたいだねえ」
「ベルズ様、孤龍を姐さんの元まで案内してもらえるかのう? 姐さんの身の安全が保障されれば、我らネクロスタシア守護兵団はすぐにネクロスタシアへと帰還する心構えじゃ」
「ずいぶん厄介な心構えだな……。まあ、いいでしょ。その言葉忘れるなよ!? あと、俺一時間しか時間ないからね。会議資料できてないんだよなー」
「御意。孤龍よ、頼んだぞ」
「任された」
「ネクロスタシアの黄昏城はフリーアクセス状態……メモメモだニャ……」
徐々に犬であることを忘れ、猫に戻りつつある猫。今後が心配ですな。




