表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/77

第3部13話 出来損ないポーション研究レポート その5

「ごめんアル〜、ムシャムシャ。もうしないアルヨ〜、ムシャムシャ。だからこの縄をほどくアル〜、ムシャムシャ」

「そんなこと言ってまた逃げるつもりでしょ?」


 案の定、マヒったパンダをお縄にしてやった。縛り上げられているにもかかわらず、口だけ動かして野草を食べ続けてる。コノヤロー。


「店主、無一文のパンダさんを捕まえてどうする気アルか?」

「いや、開き直るなよ。さっさと毒草売っぱらってお金作ってきなさいよ」

「じゃあ聞くアルが、誰がこんな毒草を買ってくれるアルか?」

「……いないな。こんなの誰も食べないでしょ」

「そういうことアル。ワイの毒草が欲しいやつなんて自殺志願者しかいないアルヨ」

「さっきまで毒草食ってたあんたの口からそんな言葉が出てくるとは思わなかったよ……」


 私はため息をついた。


「薬の材料とかにでも使えるんじゃないの?」

「何の薬アルカ?」

「いや知らんけどーーあっ、私のポーションの材料にしてみるかあ」


 今まで《ツタヤカタグラの豆》とか、状態異常を引き起こすデバフ材料を使ったことはあったけど、HPが減る材料は使ったことないなあ。


「おいしいポーションができれば、許してやらないこともない」

「ホントアルか!?」

「うん。とりま、いろんな種類の毒草を出してくれるかしら?」

「まかせるアルッ!」


 パンダが【毒草バイキング】を発動。すると、毒草がまるで手品のように次々と現れる。さっき見た《ユーカリの葉》《トリカブトの葉》《マンチニールの葉》に加えて、まだまだ出てくる。


アイテム名:ベラドンナの葉

レア度:  ★★★☆☆

効果:   状態異常(混乱)、HP×0.8倍。

説明:   毒を含むベラドンナの葉(ポテチのりしお味)


アイテム名:水仙の葉

レア度:  ★★★☆☆

効果:   状態異常(石化)、HP×0.6倍。

説明:   毒を含む水仙の葉(ポテチブラックペッパー味)


アイテム名:ダチュラの葉

レア度:  ★★★☆☆

効果:   状態異常(呪い)、HP×0.8倍。

説明:   毒を含むダチュラの葉(ポテチコンソメ味)


 全部ポテチやん。味はおいしいのに、総じて毒性があるあたり、運営の悪意を感じるよね。まあ、食べるときは暗黒卿に綺麗にしてもらうからいいけどさ。


 よしっ、試しに《マンチニールの葉》を使ってポーションづくりを試してみよーっと。素材の味を活かすため、あえて【手軽にポーションづくりができるミキサー】で作ってみる。さらに、わかりづらいので、暗黒卿にアイテム名を変更してもらう作業も平行で進めよう。


アイテム名:悪魔のポーションω(オメガ)

レア度:  ★★☆☆☆

効果:   状態異常(麻痺)、HP×0.1倍。


 さあ、できたぞ。普通はHPを回復させるのが仕事のはずのポーションが、HPを下げてしまうという、悪魔のポーションの出来上がり……! おまけに状態異常まで付いてるぜ……!


 でも、ここからが本番。出来損ないポーションの味は、液体とする材料の効果に依存することがわかっているので、HPを下げる悪魔のポーションを材料にするとどうなるのか――


 《マンチニールの葉》×《悪魔のポーションω(オメガ)》→《出来損ないポーションθ(シータ)


アイテム名:悪魔のポーションθ(シータ)

レア度:  ★★☆☆☆

効果:   状態異常(麻痺)、HP×0.1倍。


「やったっ! 新しい種類のポーションができたっ!」

「悪魔みたいな効果のポーションなんて意味あるアルか?」

「おいしさが正義なのだよ、きみ」

「なんかワイ、店主に親近感わいたアルヨ」


 ほう……! 血みたいな色をして、ビジュアルも悪魔チック。さて、お味の方はどうかなーっと――


 芳醇なフルーツの香り。そして、ぶどうの甘酸っぱさ。この味、まさしく赤ワインじゃんっ! うまうまっ!


「でかしたぞ、サラサラサ。酒のお代はチャラでいいよ」

「やったアルッ! さあ、縄をほどいてマヒを治すアルッ!」

「……」


 私は再び無言で悪魔のポーションを煽る。


「どうしたアル? 早く縄をほどくアルヨ」

「……それが、暗黒卿で効果消すの忘れて、HPがすずめの涙なのにくわえて、状態異常(麻痺)も患って、動けないんだよね……」

「はあ!? アホアルか!?」


 ちくしょー、アホにアホ呼ばわりされたー。でも、今回ばかりは否定できないなあ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ