第2部34話 黄昏城緊急社畜会議
〜1時間後、ネクロスタシア黄昏城〜
「カイト、緊急事態ダニ」
「セリーヌ、GMコールってことは、また黄昏城に侵入者か!? ったく、こう度々呼ばれると、通常業務に支障をきたすんだよ……」
「早くシナリオを作らないカイトがいけないダニ。そもそも、シナリオを最後まで作らずに見切り発車してるのが、間違いーー」
「ああ、もうっ! おせっかいなやつだな! そんなことわかってるって!」
「すぐキレるところ、社会人とは思えないダニ〜」
「うっせ! それで、侵入者は今いずこに?」
「今回は侵入者じゃないダニ」
「はあ? じゃあ呼ぶなって……。会議ほっぽり出してログインして損したじゃん……。一応、何があったかは聞くけれども」
「ネクロスタシア守護兵団は黄昏城守護業務を放棄。精鋭部隊を作って陸路で遊戯都市和樂へ侵攻したダニ。ピレイナ山脈のアイソレートドラゴンもまた、その精鋭部隊に同行。攻略組に引けを取らない一大勢力に成長したダニ」
「おいおいおい、ちょっと待て。そんなシナリオ作った覚えがないのだが? 何でネクロスタシアのNPCがこぞって他の街を目指すんだよ?」
「理由は不明ダニ。でも昨日、攻略組とネクロスタシア守護兵団が初めて対敵したダニ。その影響と考えるのが妥当ダニ」
「え、ってことは今この城は丸裸ってことか!? 緊急事態じゃん!」
「だから緊急事態といってるダニ」
「ああ、もうっ! 何でこう想定外のことばかり起こるんだよ〜。もう嫌だ! 今日は会社の近くにホテル取ってしっかり休むっ!」
「帰宅しないあたりがド社畜ダニ」
「ネクロスタシアのNPCを、GM権限で強制的に戻せないの?」
「戻すことは出来ても、NPCの記憶をリセットしてやらないと、また侵攻を始めてしまうから効果はないダニ」
「じゃあリセットしよう! 今すぐにだ!」
「リセットすると全てのNPCの記憶もリセットされるけどよいダニか? ちなみにセリーヌの記憶もリセットされるダニ。カイトの記憶がなくなってせいせいするダニ」
「いや、それダメだろ!? そんなことしたらバレンタイン・オンライン全体がリセットされるのと一緒じゃないか……。このゲームの仕様、ホントにクソだなっ!」
「それは仕様の作成者がクソ野郎だからダニ〜。セリーヌのせいじゃないダニ〜」
「ぬぐぐぐ……。何とかならないのか? 黄昏城の鍵も解錠されちゃってるし、魔王までフリーアクセスとか、プレイヤーもびっくりのセキュリティの甘さなんだが」
「ひとつ方法があるダニ」
「さっすが、セリーヌ様。プログラムの出来が違いますな! その方法とは!?」
「NPCたちを直接説得してネクロスタシアへ帰るように仕向けるダニ」
「めちゃくちゃ地道な方法じゃない、それ……? 褒めて損した気分……」
「じゃあ他に何か方法はあるダニ? カイトのクソ頭脳からはクソ以外生まれるダニ?」
「口の悪いやつだな!? セリーヌの設定、ハードモードになってるんじゃない?」
「これでもイージーモードダニ」
「ああ、左様ですか……。他に方法がないなら仕方ないなあ。セリーヌ、悪いけどちょっと和樂まで行って説得してきてくれよ」
「何言ってるダニ? セリーヌはバレンタイン・オンラインの運営で忙しいダニ。社会人なんだから自分のケツは自分で拭くダニ」
「おおおおおおおい、ハシゴ外すなよおおおおおお! 助けてくれよお、仲間だろ☆」
「仲間じゃないダニ。ただのビジネスパートナーダニ」
「ちくしょおおおお! わかったよ! 行けばいいんだろ!? 今日はホテルで寝られるのだろうか……」
「せめてホテルで寝ている夢が見れることを願うダニ」
これにて2部は完結ですっ!ここまでついてきていただいて感謝ですっ!
全然タイトル回収できてませんが、引き続き3部もよろしくお願いします!




