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第2部28話 援軍

 10倍ω(オメガ)と幸運ω(オメガ)の誕生秘話はそんな感じだ。


「やはりポーションの生成方法については口を割らぬか。であれば力づくで聞き出すまでだ……!」


 黒ずくめの魔術士はそう言って杖を構えた。悪役テンプレのセリフ過ぎて草が生えた。


 企業秘密って言ったけど、わざわざ説明するのがめんどいだけだから! だって10倍ω(オメガ)にたどり着くまでゆうに1週間かかってるから、簡潔に説明できる気がしないじゃんか。


「……ハンゾウ、残りのポーションを回収した後、彼女をPKしてください。私はニャンダと不貞腐れバウムとともに階層主に挑みます」

「「了解」」

「うはははっ! 姐さんには指一本触れさせんと言ったはずじゃが!?」


 ジンさんはそういってハンゾウと呼ばれたアサシンに斬りかかろうとする。でも、その刃は手前で女剣士にしっかりと受け止められてしまった。


「行かせません」

「いや、行かせてもらおう」


 ジンさんの力が上回り、女剣士を弾き飛ばす。しかし、間髪入れずに猫野郎の拳がジンさんを襲った。


「ぬう……!」


 猫野郎の連弾を剣で防ぐジンさん。そんな中、アサシンは散らばった私の出来損ないポーションを軽い身のこなしで回収。そのあと、すぐに私へダガーの刃を向けた。


「シャレさんには恨みはないんすけど、一旦死んでもらうっすね〜」


 私はリスポーンするだけだからいいんだけど、このままPKされでもしたら、おっちゃんたちが心配だ。ジンさんには助けは不用と言われたけど、ここは私の独断で行動させてもらう。


 私は《アイソレートドラゴンの爪笛》を吹いた。すると、雷鳴のような咆哮とともに、私の目の前に大質量が落下。まるで雷でも落ちたかのような轟音が響き渡った。


 ドラゴン氏のド派手な登場から間髪入れずにスキルが発動される。


「【金剛溶融の吐息】」


 不回避な灼熱の気化金属がアサシンを襲った。


「わーお」


 アサシンが呆然と間の抜けた声をあげるとともに、ブレスの奔流に飲み込まれポリゴン化した。


「ハンゾウ!? くっ、次から次へと想定外のことばかり……!」

「ドラゴンをテイムしているのか!? レベル10程度のプレイヤーがどうやって強力なモンスターを……。モンスターのレベルは……は?」


 みんな絶句してしまった。ドラゴン氏はレベル88だったかな? ボスキャラだもんね。私のお客は太客が多いんす。


「ドラゴン氏、随分と登場早かったね?」

「当たり前だ。姐さんをネクロスタシアの連中に預けるのは、いささか不安でな。上空で監視していたのだ」

「いや、ストーカーかい。ジンさん、悪いけどドラゴン氏に支援お願いしちゃったからね!」

「うはははっ! 我らが不甲斐ないばかりに苦労をかける!」

「ふんっ、姐さんのためなら死地にでも飛び込んで行こうぞ。しかし、我はこのネクロスタシアでは、活動を制限されておる。あくまでも姐さんを守るためにしか動けぬぞ」

「うはははっ! 十分じゃ。恩にきるぞ、アイソレートドラゴンよ」

「ニャハハッ! アイソレートドラゴンは入墨女にゃんに攻撃しなければ、手は出せないみたいにゃ。そんな手のうちをバラすなんてどうかしてるにゃ〜」

「これ以上、ステータス補正のポーションは使わせん。お主らにはもう後はないぞ?」

「うはははっ! 姐さんの酒さえなければ、我らネクロスタシア守護兵団に勝てると? 随分と舐められたもんじゃわい!」


 ジンさんはそういうと何故か剣をしまった。


「【屍人の黒装束】」


 ジンさんがそうつぶやくとジンさんと騎馬の全身を黒色のフルアーマーが覆っていく。その手には身長と同じくらいはあろうかという長槍。


 禍々しいダークナイトのお出ましだ。初めて見るジンさんの臨戦態勢に、私ですら悪寒が走った。


「ワシは無限回廊第20層階層主“不死のジン・ヘルナンデス“。部下をやられて生きて帰しては、彼らに立つ背がない。お主らには地獄に堕ちてもらおう」


 ジンさんはそう言って侵入者たちに長槍を向けた。

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― 新着の感想 ―
うーむ、猫野郎とバウムが不愉快でたまらん わざとヘイトが溜まるようなキャラクターにしているのだろうか?
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