第2部15話 出来損ないポーション研究レポート その1
<注>
ここから3話、出来損ないポーションの研究課程ががっつり続きます。
込み入った話が苦手な方は後書きに要約書いておくので、そこだけ見てもOKです!!
それから私は出来損ないポーションの試作に励むことにした。あー、なんかこれ、デジャヴってる。
何だったかなーーあ、小学校の夏休みにやった自由研究。ファミレスのドリンクバーで、何の味を混ぜると一番美味しくなるか研究したんだ。それと似てる。懐かしいなあ。
ちなみにその時の結果は、『カルピスソーダのコクとオレンジジュースの酸味の相性はガチ』という結果になった。
まあ、それは置いといて、出来損ないポーションによる酒造り、研究していこうじゃないか。今、私が把握してる出来損ないポーションは4種類。
α=ソルティ・オーシャン
β=ヤケクソ爆弾酒
γ=湿布味の酒
θ=青汁味の酒
残り20種類ある計算だ。
試作1日目、まずは手元にある素材を使って手当たり次第、【手軽にポーション作りができるミキサー】で出来損ないポーションを作ってみた。
すると、案外簡単に新種が見つかったのだ。
δ=米のとぎ汁味
ε=無味の酒
λ=ぶどうジュースかな?
μ=ウイスキー????
ウイスキー、キターーー!! 駄洒落3つ目のドリンクメニュー入りっすわ。それにしても、このウイスキー、ドラゴン氏が好きそうな強烈なアルコール濃度だわ。
名前はそうね、ウイスキーは漢字で“火酒“だから、もっと強いって意味をこめて“業火酒“にしよっと。
ウイスキーがあるんだったらビールがあっても良さそうだよね。希望が繋がった気がするっ!
※
試作2日目、ジンさんたちが面白いものを持ってきてくれた。
「これが酒作りに使えるとは思えんのだが、何かの足しになればと思うてな」
ジンさんが持ってきたのはドロっとした紫色の液体。
「これ、何なの?」
「ツタヤカタグラの豆から取った油じゃ。豆を搾ってしまえば呪いのような効果が消えるかと思って、作ってみたことがあるのじゃが……」
アイテム名:ツタヤカタグラの豆油
レア度: ★★☆☆☆
効果: 状態異常(ゾンビ化、絶望)
説明: ツタヤカタグラの豆を搾って作られた精油
状態異常が消えるどころか強化されてるー。でも、液体が手に入るのはありがたい。とりあえずこのデンジャラスな豆油も使ってポーション作ってみようか。
すると、チャレンジ精神が功を奏したのか、あれよあれよと新種が出てくる出てくる。
ζ=麦茶を炭酸でフルアップしたやつ
ο=炭酸かぼちゃのスープ?
τ=そのまんま炭酸水
炭酸水があれば炭酸割り作れるじゃん! 昨日できたウイスキーを割ってハイボール作ってみよー! そう思ってウイスキーと炭酸水を合わせてみたんだけど、これが予想外の事態に。
まるで水と油みたいにそれぞれのポーションが分離しちゃうんだよね。仲悪いのなんのって。やっぱり、地道にポーションを試作するしかなさそうだなあ。
※
試作3日目、ここに来て、少しパターンがつかめてきた。
出来損ないポーションの味は、材料となる液体の効果によって変化するようなのだ。
デバフ効果のあるツタヤカタグラの豆油を材料にした場合、炭酸ありのポーションができる。
また、回復系効果のある海水はソフトドリンク、バフ+デバフ効果のあるアイソレートドラゴンの尿はアルコール入りになることがわかった。
この法則は、いくら材料となる固体を変えても適用される。しかも、暗黒卿で材料の効果をきれいにしても、この法則が消えることはない。
バフ効果のある液体で作ったらどうなるのか試作してみたいところなんだけど、残念ながらそんなアイテム持ってないんだよなあ。
とりあえず、ビール作りにはアルコール飲料が作れるアイソレートドラゴンの尿が適していそうだ。尿責めや、尿責め。
でも流石に新種はなかなか生まれなくなってきた。パターンが掴めたというのに今日見つかったのは3種類だけだ。
η=辛いラーメンの汁味
κ=激甘ミルクティー味
π=炭酸オレンジジュース
炭酸オレンジジュース、オレンジ―ノの味に似てる……。好きなやつがいたっけな。流石にやつが駄洒落に現れることはないだろうけど、メニューには載せとくかね。
<新種の出来損ないポーション>
δ=米のとぎ汁味
ε=無味の酒
λ=ぶどうジュースかな?
μ=ウイスキー????
ζ=麦茶を炭酸でフルアップしたやつ
ο=炭酸かぼちゃのスープ?
τ=そのまんま炭酸水
η=辛いラーメンの汁味
κ=激甘ミルクティー味
π=炭酸オレンジジュース
<出来損ないポーション作りの法則>
出来損ないポーションは液体+固体を投入すると完成する。しかしその味は、液体の効果に依存する。
・デバフ効果のある材料→炭酸ありのポーション
・回復系効果のある材料→ソフトドリンク
・バフ+デバフ効果のある材料→アルコール入り
この法則は、材料となる固体には依存しない。さらに、暗黒卿で材料の効果をきれいにした場合でも、本法則は適用される。




