第2部12話 黄昏城
で、早速魔王が住んでいるという古城に来てみた訳だ。
結局、ドラゴン氏もジンさんたちも付き添いしてくれず、単身で乗り込むことになった。どうやらジンさんたちですら魔王様の城には立ち入り禁止らしい。主人の生死くらい把握しとけばいいのにね。
でも、魔王様の居場所への行き方は教えてくれた。くれぐれもくれぐれもくれぐれも内密にとのことだ。
とりあえず凸ってみるかあ。初めは礼儀正しくノック。うん、反応あるわけないよね。鍵もかかっているようだ。ジンさん曰く、
『ベルズ様の居城である“黄昏城“の扉には鍵がかかっとる。特別な鍵を使用しない限りは、どんなスキルでも解錠できん』
私はアイテムボックスからあるものを取り出した。
アイテム名:黄昏城の大鍵
レア度: ★★★★☆
効果: 黄昏城の解錠
説明: 黄昏城の入城に必要な大鍵。ネクロスタシア守護兵団団長、不死のジン・ヘルナンデスが管理する鍵。
その特別な鍵とやらを特別にジンさんが貸してくれた。特例中の特例とのことだ。
『ベルズ様には守護兵団の団長を討ち取って手に入れたと言うんじゃぞ!』
ジンさん、金輪際魔王様に会う気ないよね。本当に臣下なのかしら? 鍵を使うと、大扉が開いた。
「失礼しまーす」
返事はない。薄暗いエントランスに登場したのは3つの階段。ドラゴン氏の言った通りだ。
『黄昏城内は”無限回廊”の縮小版だ。3つの階段があり、いずれかを登った先の扉を越えるとまた3つの階段が現れる。この3択が繰り返され、10階層正しく選択すると玉座の間にたどり着く』
私は迷いなく階段を登って行く。というのも、ドラゴン氏から、あるアイテムを預かったからだ。
アイテム名:龍の羅針盤
レア度: ★★★★★
効果: 正しい道を指し示す
説明: アイソレートドラゴンが守護する宝物のひとつ。龍を型どった指針が常に正しい道を指し示す。
『《龍の羅針盤》が指し示す階段を選び、とにかく上を目指すのだ』
そして7階層目までたどり着いた。
『最後の3階層は1時間ごとに正解が変わり、《龍の羅針盤》も使えない。あとは姐さんの運次第というわけだ』
3階層だけと言っても27通りもあるのだ。しかも間違えると11階層目で振り出しに戻るらしい。何度もチャレンジをするのはゴメンだ。
ということで、私は奥の手を使うことにした。右肩に乗っていたハセガワさんを床に置き、ソルティ・オーシャンをお供えして祈る。
「魔王様のところに辿り着きますように!」
ソルティ・オーシャンが消失するのを見届けると、ハセガワさんを連れて再出発。8、9階層を女の勘を頼りに突き進む。
そして、最後の10階層目の扉を開くと、ドーム状の部屋にたどり着いたのだった。




