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第1部13話 クラン連合会長「椛」(酒守視点)

 皆が退席する中、ボクは(もみじ)に、


「シュシュ、あなたは残りなさい」


 と命じられた。ため息が出かかったが、なんとか飲み込み、全員が退室するのをそのまま待つ。そして、扉が閉まった途端に、(もみじ)が涙目で縋りついてきた。


「ああああああ、もう嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ! 私、クラン連合の会長なんてやめるっ! ホントあいつら、自分に都合のいいことしか言わないんだから。おニャン子クラブとスイーツパラダイスの連中を闇討ちして、クラン連合の自然崩壊を狙うしかないニャーーーン」


 こらえていたため息を一気に吐き出した。


 (もみじ)はメンタルを削りながらキヘンニハナのクラン長とクラン連合の会長という重責に勤めている。しかし、度重なるストレスによりメンタル崩壊が進んでおり、最近ではメンタルだけでなく、キャラも崩壊しつつある。

 ちなみに、おニャン子クラブはまたたび流星群、スイーツパラダイスは可笑しな反理想郷(おかしなディストピア)のことだ。


「先ほどと言ってることが真逆のようだが。あと、ボクの服で鼻水拭かないでもらえるかな?」

「ええん、シュシュの意地悪っ! 人手なしっ! 私とクラン連合のやつら、どっちが大事なの!?」

「クラン連合はゲーム攻略のために必要不可欠だ」

「はい、殺ーす。そして、私も死ーぬー」

「いや待て、ここでPKしてもリスポーンするだけで、リスポーン先で顔を合わせて気まずいことになるぞ」

「じゃあ、シュシュの屍の上でお茶してからちぬーーーーっ!」


 (もみじ)の刃がボクの鼻先をかすめた。この刃の軌道、確かな殺気が込められている。ぶんぶんと振り回しているだけに見えて、しっかりとクリティカルが狙える部位を重点的に攻めている辺り、本当に油断ならない。


「そんなに嫌ならさっさとクラン連合を解散したまえ」


 すると、(もみじ)の刃がピタリと止まった。


「……それができないのは知ってるでしょ?」


 ボクは鼻を鳴らして頷いた。彼女は彼女なりの理由があり、無限回廊の踏破をしたい。それにはクラン連合が必要不可欠なのだ。ボクは再び深いため息をついた。


「政治的な話はボクに任せてくれていい。キミは無限回廊の攻略に専念してくれ」

「マジか! サンキュッ、シュシュ!!」


 頭が痛くなる問題が増えてしまった。洒落(しゅらく)店員はログアウトしてしまっただろうか。何で言い訳しようか。こちらも頭痛の種になってしまった。


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