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俺の彼女が可愛すぎる

いやいや、待てって。

それは今じゃないだろ。

考えてるうちにミナの顔が近づいてくる。

本当は今でも良いけど。嬉しいけど。

だけど、こんな大勢の前では恥ずかしいって!



事の始まりは1ヶ月前。

11月に入ってすぐ。

「後2ヶ月で今年も終わりだね。」

とか、

「クリスマスにどこか出掛けようか。」

とか話してて。

だってさ、わかってるって思うじゃん。

もう、付き合って3年、もうそろそろ結婚もって思ったんだ。

ミナだって、思ってるって思ってた。

なのに、

「クリスマスイヴはバイト入れちゃった。ハナのお店で人手が足らないって言われて。ずっとやすくんに言おうと思ってたんだけど。ごめんね。」

「そっか。じゃあ、泊まりとか無理か。」

「そうだね。当日ももしかしたらって言われてて。とりあえず、やすくんに相談してみるって言ってはあるから、まだ返事はしてないけど。」

「そっか。ハナちゃんの家、ケーキ屋だよね。クリスマスは書き入れ時か。」

「そうなの。で、バイトの子が11月一杯でやめちゃうらしくて、出来れば手伝ってあげたいなぁって。」

って、上目遣いで俺をみる。

そんな目で見られたら俺だって嫌だとは言えない。ミナにベタ惚れ中の俺には嫌だと言えない。大事なことなので2回言った。

大好きなミナに良いカッコをしてしまう。

「わかった。ミナの好きにして良いよ。俺の事は気にしないで、ハナちゃんの店、手伝ってあげて。」

「ようちゃん、ありがとう。じゃあ、そうするね。」

俺の心の中はしぶしぶだが、ミナに笑顔で伝える。器の小さい男だと思われたくないからな。

本当はクリスマスに高層階のホテルに泊まって夜景を見ながらプロポーズする予定だったが仕方ない。



で、クリスマス当日。

今年は土日でクリスマスイヴとクリスマス当日。

見渡す限りカップルだらけだ。

俺はというと、夜にバイトの終わったミナと約束をしているがそれまでは暇だ。

暇すぎて、ミナのバイトしているケーキ屋まで来てしまった。

俺はストーカーじゃないぞって思いながら、ケーキ屋を覗く。普段は会社員として働いてるキリッとしたミナとは違って、今のミナは表情が柔らかい。その笑顔を他人に向けないでくれって俺は思いつつ、影から見つめる。

いや、これってストーカーじゃね?って思ったけど、思ったら負けな気がした。

そんなに見つめていたら俺の視線に気づいたらしいミナがやって来た。

「ようちゃん!どうしたの?」

「いや、暇でミナの働いてるとこみたいなって思ってきちゃった。」

「えっ…あーそうなんだ。」

今の間はなんだ、今の間は。

「働いてると見られるの恥ずかしいから出来れば時間に来てくれる?」

って、またあの上目遣いだ。

そうなのか。恥ずかしいのか。照れてるミナもかわいいな。

そんなこと言われたら、言うこと聞いちゃうじゃん。でも、働いてるとこ、もっと見たいし。もっと見たいし。

「見てたらダメ?」

「ダメ」

「どうしても?」

「ダメ」

押し問答してたら、店長のハナちゃんが来た。

「ミナ、どうしたの?って、こんにちは洋介さん。昨日、今日とミナを借りてすみません。」

「こんにちは、ハナちゃん。ミナがハナちゃんを手伝ってあげたいって言ってたから、大丈夫だよ。でね、ミナの働いてるとこ見たいから少しここにいて良いかな?」

「えっ…」

と言ってミナをみる。当然ミナはは首を横に振ってる。

「ミナが仕事やりにくそうなので…」

と断られた。

仕方ないと思いつつ、ミナの頑なな様子も気になる。なにか隠してそうだ。

「そっか…じゃあ、また後で。」

ととぼとぼ店を出ようとしたら、

「今日、8時までお願いしてたけど7時で上がって良いよ」

っていうハナちゃんの声が聞こえた。

「いや、そしたら、だって…」

「今、少し空いてるから大丈夫。後もうちょっとでしょ。今なら出きるよ。」

と、小声で話してる。なんか俺には聞かせたくないみたいだ。

「じゃ、じゃあ。ようちゃん、ちょっと早いけど、7時に来てくれる?」

「わかった!7時ね。」

ちょっと約束の時間がはやくなった。ミナの働いてるとこがみれないけど、会える時間が早くなったから良しとする。


町をブラブラしながら時間を待つ。時間が早くなったとはいえ、暇で、時間がたつのが遅い。

ちょっと早いけど、15分前にハナちゃんのケーキ屋に着いた。

でも、ミナはいない。

お店のなかを何度確認してもミナがいない。

「あつ、洋介さん。ミナはもうちょっとだと思うのでここで待っててくれますか?」

って、イートインスペースに案内される。

ミナは帰り支度をしてるのかもしれない。

来るまでここで待つかと待っているが、7時になっても来ない。

お店の中にはお客さんはもういなくて、お店のスタッフだけだ。

ハナちゃんに聞いたけど、

「もうちょっと待っててください。」

って謝られる。

何をしてるのか聞いても濁される。


そんなとき、店内の電気が暗くなった。

暗い店内で1ヵ所明るくなってる場所があった。それは、ろうそくの火が付いたケーキでだんだんと近づいてきた。そして、運んでいたのはミナだった。

「ようちゃん、お誕生日おめでとう。そして、私と結婚してください!」

俺は驚きすぎて声が出ない。

ミナも固まったまま動かない。

そして、言葉が全身に行き渡ると俺は嬉しすぎてにやけた。

「ミナ、ありがとう!結婚しよう!」

とぎゅっと抱き締める。

ケーキが崩れないようにそっと抱き締める。

「あー良かった。緊張した。」

って、かわいい顔を俺に向けてくる。

いつの間にか、電気は付いて拍手が起こっていた。

が、ミナの顔が近づいてきた。


いやいや、待てって。

それは今じゃないだろ。

考えてるうちにミナの顔が近づいてくる。

本当は今でも良いけど。嬉しいけど。

だけど、こんな大勢の前では恥ずかしいって!


と思ってるうちにミナにキスされた。

で、照れて赤くなった顔を向けてる。

思わずやってしまったって顔してる。

嬉しいけど、恥ずかしいって。

運んできたケーキはミナがデコレーションしたらしく、結婚してくださいっていびつな字でかかれてた。

ミナって時々大胆だ。そしてとてもとても可愛い。



どうも、俺のクリスマスにプロポーズを…はばれてたらしい。

だけど、ハナちゃんの店も大変で手伝いたい。ってことで、逆プロポーズすれば良いんじゃないかと思ったらしい。

どうして、その思考になったのかは謎だが。

そんなミナは今日も可愛い。


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