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FALL INTO un日常  作者: eFRM
星と死体の降る夜
9/17

そして死体が降る

「さて、一応万が一に備えて一人で行動することだけは避けよっか」

夕食の前に201号室に集合した私たち。

隆司に京人、そして隆司のお父さんの男性陣は201号室、その他私たち女性陣は202号室に泊まることにしたのだ。

「いやぁ、事件なんてそんな起こらないか安心してって。そもそもいたずら電話なんてよくあることなんだから」

真っ暗な雰囲気をどうにか盛り上げようとする隆司のお父さん。

「そうだよ。それに万が一の時は隆司君とお父様がいらっしゃるじゃない」

京ちゃんのお母さんもフォローに回る。

いや、その二人がいるから不安なんだけどな。

「とにかく、西部さんが夕食終わったら、展望台に連れて行ってくれるってさっき言ってくれたから。とりあえず夕飯食べに行こうか」

扉を開けて外へ出ると、目の前を白いワンピースを着た長い髪の女性が通りかかった。

「え、事件を起こすってこの幽霊!?」

京人がものすごく失礼なことを言う。

「バカねぇ、幽霊が脅迫の電話かけるわけないじゃない」

いや、京ちゃん。そこじゃないのよ。

私たちが何やら話しているのに気付いた女の人が髪をなびかせこちらを向く。

「あら、皆さんでお泊り会でもなさってるの?」

おっとりして上品な話し方の女性。悪い人ではなさそうだな。

「ええ、星を見ようと思いましてね」

「あら、そうなんですか。私は203号室に泊まってますヒイラギです」

「あなたも星を?」

隆司のお父さんが食堂に向かいながら気さくに話しかける。

あなた既婚者ですよね、しかも子供が目の前に。

「父さんあんな感じだけど、母さん一筋だから心配ないよ」

私の気持ちを察したのか隆司が小声で声をかけてくる。

「いえ私は...」

そう言うとヒイラギさんは口ごもる。

なんか触れちゃいけなかったのかな。

ちょうど食堂についたので、私たちはそのままヒイラギさんから離れて席に着く。

「わぁ、おいしそう!」

目の前に並んでいるのは肉汁があふれんばかりのステーキに、おいしそうな白いご飯。

「よし、じゃあ食べますか」

「いただきます」

合図と同時に一斉に食べ始める私たち。

ん-、ステーキはもちろん山菜料理も自然を感じておいしい!

私はしっかりと食事を味わいながらも、周りを見渡す。だれか怪しい人がいないのか確かめているのだ。

とはいえいるのは、204号室と書かれた札の席に座ってる大学生くらいのカップルと、206号室と書かれた札のある席に座ってる小柄な男性だけだ。

あのカップルが事件を起こすようには思えないし、あの小柄な男性(とりあえず小男さんとでも名付けておこう)が事件を起こそうとしても取り押さえられそうな気がする。

「朝花ちゃん、食事はちゃんと味わった方がいいよ。これが最後の晩餐になるかもしれないんだし」

「縁起でもないこと言わないでよ、隆司」

「いやぁ、あたりを見回してたからね。ま、そんなことは僕に任せて、君はこの美味しいステーキを食べな」

そういって私にステーキの欠片を差し出す隆司。

よく見ると、彼は額に脂汗をかいている。

「もしかして、体調悪い?」

「いや、ちょっと山道で酔ったんだ。大丈夫だと思ったのだが、ごはん食べたら再び気分が悪くなってね」

そういっておなかをさする隆司。

「なーに言ってるんだ、格好つけて苦手なきのこ無理に食ってるからだろ」

そういって隆司のお父さんは、空っぽになった隆司の山菜の皿を指さす。

「きのこが苦手って、まだ治ってなかったのか?」

「別に苦手ってわけじゃない。それに好き嫌いはよくないからな。しっかりと食べるべきであるんだよ」

そういいながらも普段より明らかに衰弱してる隆司。

「とりあえずいったん部屋で休むか。

展望台行く最中にまた気分悪くなっても困るし」

無言でうなずく隆司。やっぱりみっともない姿は私たちに見せたくないみたいだ。

「でしたら、お父様とお二人で部屋で休んではいかがでしょうか。いたずらであろうとはいえ妙な電話があった以上何かあっても困りますし」

私達が食べ終わるタイミングを見計らってたのか、西部さんが急に声をかけてきた。

「ほかの方々は、私が展望台までお連れしますから」

「えー、どうせなら隆司も一緒にみんなで星見たかったんだけどな」

「ご安心ください、明日早朝に起きれば見ることもできますし。ただ山の天気は変わりやすいので、他の皆様だけでもと思いまして」

私の不満にも丁寧に対応してくれた西部さん。確かに納得のいく理由だ。

「それに、一応ここの管理人は私一人だけですがもうすぐしたら警察の方が一名やってくる予定ですのでご安心を」

へー、一人でやってるんだ。まぁ部屋数も少ないしね。

「じゃあとりあえず部屋に戻って荷物取りに行こうか」

京ちゃんのお母さんが呼びかけるのに従って私たちは部屋に戻ることにした。

隆司はおなかをさすったままだけど。


「えーっと、とりあえずここに来るといった皆さんは全員お揃いですね」

西部さんのお誘いで玄関口の外に集まった私たち。

正確には隆司と隆司のお父さん以外だ。

その代わり、といっちゃなんだが大学生のあのカップル二人もいる。

ヒイラギさんは星を見に来たわけじゃなさそうだったし来てないみたいだ。それから小男(仮)さんも。

「じゃあこちらへ向かいましょう。暗くて危ないですから、気を付けて下さいね」

その時後ろから、ブオォンという音とともに、明るい光が差し込んできた。何?

「皆さんこんばんは」

そう言うと男性が、バイクから降りて挨拶をしてきた。

なるほど、さっきの光と音の正体はこの人乗ってきたバイクね。

「あ、先ほど連絡いただいた...」

「はい、Y県警の『ヤマヨシ』です」

ヤマヨシさんは警察手帳を見せてくる。

暗くてよく見づらいが確かに「山吉」と書いてあるのが見える。

服装もいわゆるお巡りさんという格好をしている。

「確かこれから展望台の方へ向かんでしたよね。では、私は建物内の見回りをしていますので、何かあったらこの番号へお願いします」

そういって西部さんに紙を渡した山吉さんは建物の中へと入っていった。

「では私たちはこちらへ行きましょうか」

西部さんの先導に従って小道へさしかかった私たち。

その時だった。

「あ、あれ...」

カップルの女性の震える声が後ろから聞こえた。

振り返って彼女の指さす方向を見ると、確かに部屋のベランダから光が漏れてる。

「あ」

思わず私の口から声が漏れる。

長い髪の女性を抱えた、見るからに大柄な男が出てきたのだ。部屋の位置とあの髪からして、おそらくあの女性はヒイラギさんだ。

一方、男性の方はベランダからの光のせいで逆光となり見づらいけど、覆面のようなものをしてる。

「あの下は崖...」

京ちゃんのお母さんがそうつぶやいた時だった。


男がヒイラギさんを崖の下へと放り投げた。

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