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FALL INTO un日常  作者: eFRM
星と死体の降る夜
8/17

事件を呼ぶ山奥の山荘

本日は8月12日。

「山荘やまびこ」に向かう途中の私たち。

隆司のお父さんが運転する車が泥しぶきをあげながら、山を登っていく。

「いやー、雨やんで本当によかったね」

「ね、昨日の夜なんか土砂降りだったもんな」

「何言ってるんだい、君たち。僕が一緒にいるんだ不幸に見舞われることなんてあるわけないじゃないか」

「隆司君は相変わらずだねぇ」

初めて会った京ちゃんのお母さんは京ちゃんをそのまま大きくした感じ。

隆司とは別の意味で親に似ている。

「みんな、もうすぐ着くはずだよ」

夕日が木々の間から差し込んできている。

ここに来るまで思いもしない渋滞にはまってしまったのだが、人気作家の隆司のお父さんがいろんな話をしてくれたおかげで、退屈することはなかった。

「あ、看板が見えてきた。あそこを左折するのか」

「ずいぶん看板がボロボロだなぁ」

車が曲がると同時に泥が周りの木々にかかる。

それにしてもかなり山奥だなぁ。

「日が沈んだら、街灯とかもないから真っ暗になるんだろうな」

「ちょっと京人。想像したら怖くなっちゃったじゃない!やめてよー」

「そういやぁ、こんな感じのところを舞台にした小説を書いたことがあるなぁ。閉じ込められた人々が、一人ひとり殺されていく話なんだけど」

「...」

車のエンジン音だけが車内に響く。

「あ、ほらついたよ」

沈黙を破るように、わざと明るい声を上げる隆司のお父さん。

「わぁ、確かにこれは父さんの小説に出てきてもおかしくないな」

空気の読めない隆司。

でも隆司の言葉に嘘はない。

こじんまりとした2階建てのコンクリートの建物は、普通の山荘とは少し異なった雰囲気。

玄関口を正面として外から見ると、右側には非常階段がついている。

左側には小道がつながっている。ここを登れば、ガイドの冊子で見た星空が見れる展望台があるみたいだ。

「建物の向かいは崖になってるみたいね」

京ちゃんのお母さんがぐるっと建物を一周してきたみたいだ。

崖か...。ますます事件が起こりそうじゃないの。

「まぁとりあえず早く中に入ろうよ。もう暗いんだしさ」

気味が悪くなってきた私は、みんなに呼びかける。

「そうだね。じゃあみんな荷物持って中に入ろうか」

隆司のお父さんに続いて皆建物に入っていく。中は思いの外きれいだ。

玄関口から入って左奥に受付がある。

ここで建物の地図を確認しておくか。

この建物は外から見たとおり2階建て。横長の長方形をイメージしてもらうと、1階は、手前の辺の真ん中らへんに玄関口がある。で、左奥には受付。左の手前側には2階に続く階段だ。一方右側には、大浴場が手前側に、食堂が奥側にあって隣り合ってる。

2階は奥側の左から順に201号室から204号室、手前側は、階段の隣にトイレ、その隣に205号室と206号室がある感じだ。

ちなみに外から見えた非常階段は廊下の右端からいけるみたいで、廊下の左端には大きな窓がついているっぽい。

「こんばんは、わたくし当山荘の管理人の『西部(にしべ)』と申します。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

地図を眺めてるうちに、奥からスーツを着た男性がやってきた。

「えー、2部屋で1泊2日の予約をしてました神島ですが...」

「神島様ですね。本日は誠にありがとうございます。少々お待ちくださいね」

そう言うと西部さんは一度受付の奥に消えていった。

「どうしたのかな」

「多分鍵を取りに行ったんだろ」

なるほど。

隆司の予想通り、西部さんが鍵を持ってやってきた。

「本日ご宿泊いただくのは、201号室と202号室ですね。鍵はそれぞれ2つずつございますので、ご自由にお使いください。それから...」

そう言うと西部さんは少し困ったような表情をした。

「実は『今晩私は事件を起こす』という謎のいたずら電話が今朝かかってきましてね、ただのいたずら電話だと思うのですが、念のためお気を付けください」

西部さんの発言に言葉を失う私たち。

冗談でしょ。恐怖が表情に漏れ出してるのを察したのか、西部さんが慌てて付け加える。

「この手のいたずらはよくあるんですよ。念のため警察の方にも来てもらうことにしておりますので安心ください」

いやいや安心できないよ。そう思ってるのは私だけじゃない。みんなを見渡すと同じように不安な顔をしてる。

いや、みんなじゃない。隆司と隆司のお父さんだけは笑みをこぼしてる。

この人たち、まさか退屈だからって事件起こさないでしょうね。

私の疑いの目を感じ取った隆司が首を横にぶるんぶるん振る。

「まぁとにかく部屋に荷物を置きにいこっか」

隆司のお父さんが弾むような声で言う。

現段階でなすすべのない私たちは重い荷物を抱えて階段を上っていった。

「それから夕食は今から1時間ほど後の18時30分からですので」

西部さんの声が後ろから聞こえてきたけど、そんなのにかまってる余裕は正直なかった。

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