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FALL INTO un日常  作者: eFRM
星と死体の降る夜
11/17

状況整理と早すぎる隆司

「...っていう感じで今に至るの」

今私がいるのは201号室。私が感じた違和感も含めて、事件について事細かに隆司に話してたら30分近くかかってしまった。

まぁ隆司がその時の状況を細かく尋ねてきたってのもあるんだけど。

「なるほど。それにしても君の観察眼は素晴らしいね。小学4年生とは思えないよ」

それはこっちの台詞だよ、なんてわざわざ口にだすほどのことじゃあない。

「でもいくら朝花が違和感を抱いたとはいえ警察官の山吉さんが犯人ってのは無理あるんじゃないか?」

そういうのは横にいた京人。夏休みの宿題に夢中になってたのかと思ってたけど、ちゃんと聞いてたみたいだ。

「おいおい、先入観を持つのはよろしくないよ。まぁ今回ばかりは彼がヒイラギさんを落としたと考えるのは無理があるけどね」

「そうだよね...」

そう。ヒイラギさんを放り投げた犯人は明らかに大柄な男。山吉さんとは似ても似つかないのだ。それに、たとえベランダに出てた男の体型が見間違いだとしても、山吉さんが建物に来てからすぐ後にヒイラギさんは落とされた。しかも部屋にいた隆司によると、階段を誰か(タイミング的に山吉さんに間違いない)が駆け上がってくる音がした直後に、ベランダの方から何か(こちらも間違いなくヒイラギさん)が落ちた音が聞こえたそうだ。これらの情報から、いくら先入観を抜いたとしても山吉さんが犯人であるということはありえないと断言していい。

「じゃあやっぱり犯人は完全な外部犯ってこと?」

京人が隆司に尋ねる。

「そうだとして、一体いつのタイミングで建物内に侵入したっていうんだい?」

それもそうなんだよね...。

「まぁ朝花ちゃんはいい線行ってるんだけどね」

そうなんだ...。え?

「いい線行ってるって、隆司にはもう結論が見えてるの?!」

「まぁね。あとは僕の考えにミスがないか再び熟考するだけさ。ミスがなければ、それはもう立派な『推理』になるけどね」

あまりの衝撃に、私と京人は固まる。

「は?!お前、いくらなんでも早すぎないか?」

隆司に詰め寄る京人。

「だって僕は名探偵神島隆司だよ」

そういってまたウインクする隆司。

もう、なんて恐ろしいのよこの人は。

ただ、いい線行ってるってことは私も結論にたどり着けるかもか。

「ちょっと私にも考えさせてくれない?」

「別にいいけど、僕の考えが正しければ、証拠が消される恐れがあるから、僕がミスを探すまでの間だね」

そう言うと隆司は紙と鉛筆を取り出して、何やら書き出した。

とりあえず私も、今一度状況を客観的に整理する為、紙と鉛筆を借りる。

えーっと、まずカップルの女の人が、光るベランダを指差したときに、そこで大柄な男がヒイラギさんを抱えてたんだよね。あの様子だと、ヒイラギさんは既に気を失ってた感じだったから、突き落としたっていうより放り投げたっていう方がしっくりきてたんだ。

まぁとにかく、隆司と隆司のお父さんを除く私たちと、カップルの2人、そして西部さんはその時建物の外にいたから、犯人ではないことは確定ね。

次に山吉さんだけど、彼はさっき考えた通り、ヒイラギさんが崖下に投げられるのとほぼ同じ時に2階にあがってきたのよね。だから犯人でないことは明らか。その後彼は、西部さんと私が建物に向かっていってる頃に、犯人を取り押さえようとするも失敗。私たちがいた小道の入り口とは反対側の非常階段から逃げられちゃったんだ。

そして、私と西部さんと山吉さんの3人は犯人を追っかけていき、外にいた他の人たちは皆一緒に玄関口の外にいた。

このとき建物を出入りした人はいないみたいだから、実は隆司のお父さんや小男さん(仮)が犯人でこっそり戻ってきたってことはほぼありえない。というかあの大柄な男性と小男さん(仮)が同一人物に見えるほどの見間違いは流石にないし、隆司のお父さんが犯人でないだろう。

こんなもんか。

さて――

「time over、時間切れだよ、朝花ちゃん」

せっかくこれから、というところで立ち上がった隆司。

「もう?!

まだ状況を整理しただけなのに...」

「まぁまぁ、君も素質がありそうだからね。そのうち僕の助手レベルにはなれるんじゃないかな」

「ワトソンってこと?」

「よくご存知だね」

それくらい、本を読まない私だって知ってる。

頬を膨らませて不満げにする私をよそに、隆司は本を読んでたお父さんに声をかける。

「頼みがあるんだけどさ」

「ん?何か適当な理由をつけて、全員を一箇所に集めろ、ってこと?」

隆司のお父さんは本から目を話さない。

「そういうこと。子供の僕の言うことを聞いてくれるとは思えないしね。怪しい人影を見たから皆で食堂に集まりましょう、とかでいいかな」

「わかったよ」

そう言うと、隆司のお父さんはようやく顔を上げて、部屋の外へと向かった。

流石似たもの親子。それとも隆司のお父さんにも結論が見えてるのか...。

神島家の恐ろしさに、私の頬を冷や汗がつたる。そんな私を引っ張る隆司。

「さぁ、いくよ」

「私たちも食堂に行くの?」

「もちろん。名探偵が関係者全員を集めてすることと言ったら『謎解き』って決まってるからね」

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