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FALL INTO un日常  作者: eFRM
開かれていた扉
1/17

変わり者の彼との出会い


あー、ドキドキする。

扉ごしに先生の声を聞きながら、私は考えてきた言葉を心の中で繰り返す。

隣町から引っ越してきました、私の名前は三宅(みやけ)朝花(ちょうか)です。体を動かすことが好きです。休み時間とか一緒に遊びましょう。これからよろしくお願いします。

隣町から引っ越してきました――

「それじゃあ、転校生の方に入ってもらいます」

もう行かなきゃなの?!こうなったら仕方ない。私は一呼吸おくと、扉を開けて中に入る。一歩一歩気を付けて歩かないと。こんなとこで転んで笑い者にでもなったら、この先この学校で生きていけない。

「隣町から引っ越してきました、私の名前は三宅朝花です。体を動かすことが好きです。休み時間とか一緒に遊びましょう。これからよろしくお願いします」

よし、言えた!

私は心の中でガッツポーズを決めながらも次に備える。転校生恒例のイベント「それじゃあ空いてる○○君の隣ね」だ。

拍手してくれてるクラスメイトを見渡し、空いている席を探す。

あった。一番窓際の席の真ん中らへんだ。

「それじゃあ三宅さんの席は、窓際の真ん中、神島(かみしま)君の隣ね」

遠目ながら名札をみると確かに「神島隆司」って書いてある。

「それじゃあクラス替えもしたところだしまずは近くの席の人同士で自己紹介をしましょうか」

私が席に着いたところで担任の女の先生――たしか今村(いまむら)典子(のりこ)先生って言ってた気がする――がみんなに呼びかける。

クラス替え明けなら何とか私もクラスに馴染めそうかな。

「初めまして、三宅朝花です。これからよろしくお願いします」

私は隣の神島君に向かってペコリと頭を下げた。

「やぁ、初めまして。僕の名前は神島隆司(りゅうじ)。これからよろしくね」

そういうと彼は眼鏡にかかった前髪をかきあげ、私に向かってウインクをした。

ウインク...。

この人、もしかしたらあまり関わっちゃいけない人かもしれない。こんな人の隣になってしまったのか...。

私が早くもこの先の学校生活に失望を抱いてると前に座った二人が振り返った。

「隆司、またいつもの調子でやってるのかよ。初対面の子相手にそれはきついぞ」

「そうよ。そんなんだからあんたの隣は空いてたんだからね。

 あ、三宅さん初めまして。私の名前は鈴木京華(きょうか)。これからよろしくね」

「あ、僕の名前は宮浦みやうら京人けいと。よろしく。

 こいつ、かなり変わってるけど根はいいやつだから安心して」

宮浦君が神島君を指して言う。

よかった。この二人はまともみたいだ。

「ちょっとびっくりしましたけど大丈夫です」

「困ったことがあったら何でも聞いてね。

 基本的に僕、何でもできるから」

神島君はまた格好つけて言う。

悪い人ではなさそうだけど、このペースに慣れるにはしばらく時間がかかりそうだ。

「そうだな...まずはこの『昼丘ひるおか小学校』について説明しようか」

「おいおい、まだ三宅さんは何も言ってないぞ」

その通り。私は何も聞いてない。でもこれで少しずつ神島君の特徴が分かってきた。

こうやってフレンドリーに接してくれる子には、こっちもかたくしない方がいいな。

「いやいや、ちょうど聞こうと思ってたから大丈夫。

ここって普通の学校じゃないの?」

「まぁ確かに普通の学校ではあるけれど、少し自由を尊重する傾向が大きいかな」

「それで席が自由になった結果、お前の隣には誰もいなかったんだけどな」

「人をおちょくるのは良くないよ、京人」

宮浦君のツッコみを神島君が軽くあしらう。

なるほど。この二人はこういう関係か。

そうだ、転校したらこれだけは聞いとかないと。

「そうなんだ。あと、この学校では今どんなのが流行ってるの?ゲームとか歌とか」

あ、神島君に聞くのは間違いだな。でも、そう思った時にはもう遅かった。

「流行ってる...。

僕はクラスのみんなとはあまり話さないからなぁ」

「本当よ、幼馴染の私と京人以外とはめったに話さないもんね。

 話()ない、の方が正しいかな」

「確かに。この僕と話せる君たちは光栄に思っていいんだよ」

バカらしくなったのか、宮浦君と鈴木さんは前を向く。

「まぁ、確かに僕、友達少ないのは事実だけどさ...」

二人にほっとかれた神島君はそっぽを向いてぶつぶつ言う。

でしょうね、だなんて口が裂けてもいえない。

ただ、出会って数分だけど、この子としゃべってて退屈することがないだろうな、ということは分かった。こんな小学生、全国探しても片手で数えるくらいしかいないでしょ。

「じゃあ、神島君のなかでのマイブームってなにかあるの?」

「マイブーム、っていうかいつも読書ばっかしてるけどね」

読書か...。ちょっとそこじゃ気が合わないか。

だって私が休み時間に図書室に行ったことがある回数も片手で数えるくらいだ。

そう思ってた時だった。彼が衝撃の一言を発したのは。

「特に推理小説が好きかな



 だって僕、『名探偵(・・・)』だからね」


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