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9 絡まれる...

2024年1月14日以前に読んだ方々申し訳ありません。

読み返してみたら抜け落ちていることに気づき急いで割り込み投稿いたしました。


では、引き続き、ナノス・ジョー物語をお楽しみくださいませ。



 「こちらこそありがとうございました。改めてナノス・ジョーです、よろしくお願いします」

 とナノスはペコリとお辞儀をしてこの場を後にしようとする。

 

 「おい、そこのお前、ちょっとツラかせや」


 その時、呼び止められる声がした。

 

 ナノスは自分が呼ばれたのかと声がした方をチラ見する。


 別に何か、もしかして弱っちい奴が冒険者になんてやんじゃねぇの難癖&戦いのテンプレが始まるのかとか期待してはいない。


 (チンピラか?)


 そこにいたのは厳ついチンピラのような外見の冒険者。

 ナノスよりも背が高く、その背には直剣を背負っている。つり目の眼光は気弱な人を萎縮されるかもしれない。


 「なんだい?僕は今から帰るところなんだけれど」


 違った。人違い。隣のカウンターで受付嬢と話していた青年にだった。

 青年はなんて事なく返事をしていた。


 「登録したんだな?」


 剛毅な声で目つきを鋭くして隣の青年を担当していた受付嬢に確認する仕草があった。


 「はい、今終わりましたっ、あ…」


 「そうなんだよ。ここに来るのは初めてでね、今ギルドに登録、もとい入ったばかりだよ」


 隣の受付嬢はおっかなびっくり返答をした。


 新人さんだろうかこういうの慣れていないように見受けられる。うわずった声を上げて返事をする隣の受付嬢がかわいそうだが、これも仕事よ頑張れと心の中でエールを送るのナノス。もし何かあったら、上司や先輩受付嬢が助けてくれるさ。例えば今、俺ナノスの目の前で注意深くその様子を見ている受付嬢レイアさんとかな。


 隣で聞き耳を立てていると、どうやら隣の受付にいた青年はナノスと同じように新規登録してギルドに加入していたところらしい。

 青年をよくよく見ると、くすんだ金髪に世の女性が好みそうな顔だ。旅装束(たびしょうぞく)のいでたちでたたずまいも品がある。つまるところイケメンだ。


 厳ついチンピラ冒険者は、隣の青年が終わったのを見計らって声をかけたようで、気にいらねぇ(ツラ)にいちゃもんつけに来たのかもしれないな。


 「おめぇ、つえェな」


 「まぁそれなりに戦えると自負しているよ」


 「へぇ…とてもそうはみえんわな。そうだな…だからオレがおめぇの実力を試してやる!」


 いかついチンピラ冒険者は、外見にいちゃもんをつけに来たわけではなく、どこをどう見たのか、隣の金髪青年が強そうだから声をかけたようだ。


 しかし強そうだからと自分から声をかけたにもかかわらず、真逆のことを言って否定して実力を試すってどういうことだろうか。


 厳ついチンピラ冒険者はいささかこじつけが過ぎると思う。


 「そう言われても、結構なのだが……わかったよ、受けよう。それで?どこでやるんだい?」


 少し思考したあと周りから注目されているのを見て何を思ったのか、金髪の青年は受けることにしたようだ。


 「よーしよし、物分かり良いな。こっちだ、ついてこい」


 なんかトントン拍子に模擬戦が決まった。


 戦いが得意そうに見えないからこのさして強くなさそうな金髪の青年に声をかけたのか。弱いものいじめなのか。


 武器らしい武器を持っていない()ナノスなんかより隣にいた金髪の青年がからまれて、2人はどこかへ移動していった。そんな渦中(かちゅう)の、2人のやりとりをギルド内でほとんどの人が見ていたらしく、冒険者がぞろぞろとついていく。

 思った以上にギルド内で注目されていたようだ。

 野次馬が多いぞ。


 ほとんどの冒険者がついて行き、交流の場"エントランス"から人けがなくなって閑散とした。ギルドに残っているのはギルド職員と依頼掲示板"クエストボード"にいる人たち数名。


 「あれは止めなくてよかったんですか?」

 「え?ああ、はい。ついていった高ランク冒険者が何かあった場合止めるでしょうし、ギルドとしては死闘ではない限り介入いたしません。それに本人たちの同意をほとんどの人が聴いていたみたいですから。止める事は難しいです。個人的にはああいうことはやめて欲しいのですが…。まぁ冒険者ですから、多少の粗野には目をつぶります」


 目の前で起こったことを登録の際世話になったレイアさんに尋ねればそう返ってきた。レイヤさん的には好ましく思っていないようだ。先輩冒険者が新人冒険者に喧嘩をかける行為に思うところがあるみたいだ。


 ナノスに返答した後は少し涙目になっている隣の後輩受付嬢のメンタルケアをしている。あー、あれはちょっと怖かったもんな。女性の涙はあまりじろじろ見るもんじゃないとすぐさま視線を切る。


 

 しかし、難癖&戦いテンプレは隣にいた青年のフラグだったな。ほっとしたような残念なような、いややっぱりほっとした。目をつけられなくてよかった。怖いし、戦いにおけるノウハウなんてあまり知らないからな。


 「そうなんだ。ありがとうございました」

 と言ってナノスも後を追いかける。


 なお、ナノスも興味があったもよう。


 「あー、結局いくのですね」


 受付のつぶやく声はナノスに聞こえることはなかった。





 

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