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本日の2話目
ちょっと長くなりそうだったんでわけました。
この話と次の話を続けて読んで欲しいですね
――キキィーーッドドン
王城へと続く正門の閉ざされた音が周囲に鳴り響く。
後ろを振り向けば、見上げるほどの大きな門がある。
正門から出てきた1人の男がため息をつく。
「やっぱり、こうなったか」
出てきたのは城ノ内道流である。
巻き込まれ召喚された彼はどうにもやりきれなくてもう一度ため息をついてしまう。
使えない平民と判断されたあの後は、まるでその場にいないかのように進行し、勇者一行と断定された高校生5人は保護されて、謁見が終わると"平民が王に謁見出来たことが光栄なるぞ"と身一つで放り出されるところを、魔法師長キトロス・ヴァールアンと騎士団長ベルド・ロースタス2人の取りなしで数ヶ月暮らせる路銀ととある貴族紋の封蝋が押してある封筒を貰えた。その時キトロス老人が周りの貴族たちから魔法師長と呼ばれているのを知った。
"何か困った時は見せてみなさい"と言って渡された貴族紋入りの封筒は、相手によってだがある一定の効力があるらしい。
その2人と正門まで連なり、感謝の念と少しでも知識が欲しくて異世界の常識について教えを請うた。
基本、答えるのはキトロス魔法師長だが嫌な顔せず教えていただけた。ベルド騎士団長はキトロス魔法師長が話を振ると答える感じだったが元々あまりしゃべらない人で誠実な人だと話を聞いて思った。
そして、最後には2人は何かあれば頼りなさいと言ってくれた。
城ノ内道流はこのまま身一つかと顔を青ざめたがあの2人が取りなしてくれて本当に助かった。
もう一度王城の方を見て感謝の念を伝える。
この時、キトロス・ヴァールアンとベルド・ロースタスが誠実な対応をしたのには理由があった。もし城ノ内道流がカルバーン王国に必要な場合もしくは害意をこの先持たせないために2人はケアした。
真意は2人の善意と本当に何も無いのかという疑惑。
現に城ノ内道流は、2人のおかげでこの国に抱く心証は憎悪には至らなかった。
城ノ内道流は気を取り直して前を向き歩き出す。
しばらく歩くと噴水がある広場に出た。人もまばらで落ち着いた雰囲気のある場所だと一目で気に入った。そして、噴水の縁に腰を下ろした。
「ふぅ〜…」
こんな状況でなければ楽しんで見れただろう景色。
キラキラと水が噴き出る噴水を中心に石畳がびっしりと敷かれていて綺麗だ。王城の上部から見える場所だからかここにゴミは落ちていない。清潔そうである。
城ノ内道流は持ち物を確認をしていく。仕事用のカバンは召喚の際にはすでに手元になかった。
そのため、わかってはいたが、スーツとポケットに入れていつも持ち歩いている使用済みの湿気ったハンカチのみ。
本当に身一つ。
「身一つでお金が数ヶ月分…」
そして、追放金が入っている良質な袋。その追放金袋には金貨が入っていた。結構ずっしりと重い。
お金の種類は銅貨・大銅貨・銀貨・金貨・白金貨で、道流のためにわかりやすい形に置き換えると銅貨1枚でだいたい十円、大銅貨が百円、銀貨が千円、金貨が一万円、白金貨が十万円くらいの価値だ。
2人は上等な宿の一泊二食で銀貨5枚飛ぶと言っていた。もっと高い宿では金貨が必要で、白金貨で泊まれる宿があるらしい。
貴族や王族が泊まるそうだがどうやったらそんなに高くなるんだろうな。絶対止まらないね。
逆に安い宿で銅貨数枚、大部屋でござ寝らしい。
昨日まで平和な国で一人暮らしをしていた奴が赤の他人と隣り合わせで寝るって、心身ともに休まらないだろう。宿はちゃんとした宿に泊まろう。
「あ〜、どうするか…」
お金、金貨という特別感あるものに触れて気分が上がったものの現状に嘆く。
まるでクビにされて公園で黄昏れるサラリーマンだ。
このままだとマダ○になりそうだ。
何も考えずボッーと視界に入るものを見ていると、胸の部分が淡く光りだした。
「?・・・なんだ?」
不思議に思っていると、王城で鑑定された時に出たステータス表示が目の前の虚空から現れゆっくりと2回転して止まった。
どうやら自身のステータス表示で合っていたようだ。しかし、なぜ出現したのかがわからない。
何気なしに見ていく。
城ノ内道流
ジョブ 放浪者
ユニークスキル 気
スキル 成長補正 言語理解
加護 隠蔽 (!)創造神の慈愛
「ん?…変わってる」
ジョブがなしから"放浪者"に、ユニークスキルがなしから"気"、スキルの気配察知がなくなっている。
加護がなしから隠蔽と記されて"創造神の慈愛"に変わっていた。
「何でだ?」
王城からここ噴水の縁に座るまで特に何かをやった覚えはない。
強いて言えば、キトロス魔法師長とベルド騎士団長にこの異世界の事を聞いたくらいだ。そんなことで独りでに俺のステータスが現れるのかと疑問に思う。
道流は何かに気づく。
「なんか某RPGゲームみたいなびっくりマーク (!) がついてる」
加護の欄に(!)がある。道流は自然とスマホの扱い方でそれに手を触れた。
すると、出てきた。
(!)見守っていますよー、
幸運値が若干上がりますよー。
なお、この加護は人にはわからない仕様です♪
「へぇーよくできてるな〜」
何故か現実逃避してしまう。ゲーム仕様にあったシステムが、現実に事象として起こっていることに感心してしまう。
そして、ついにはもしかしてここは夢かVRではないかと疑い出す。壮大なイタズラや組織の人体じっけ(ryなど。否定しきれない道流は答えの出ないものにぐるぐると思考を散らす。
脱線しつつあった思考が当初の疑問が解ければ答えが出るのではと思い当たり、"なぜステータスが変わったのか"についてそうしばらく考えること数分、
「ん?」
実を言えば、王城で鑑定された時、道流には加護の隠蔽されたものが見えていた。
道流は自身のステータスをもう一度よく見る。これかなと思う者に思い当たる。多分、推測は間違っていない。この短期間でステータスを改ざん出来るのはこの方だけだろう。
「加護、"創造神の慈愛"」
そう、創造神だ。この方だけはできるだろう。
召喚魔法陣や鑑定神器は主神アルヴェールから賜ったと言っていた。同じ神様なのだから介入するくらいできるかもしれない。
まあ、推測ですらなく消去法で出てきただけなのだが。
でも、なんで今になって書き換えがあったんだと思考を巡らせていると、またまたステータス表示のようなものが現れる。
今度のはステータス表示ではないようで、薄ら透明のボードの額は紋様で美しく洗練された装飾が施されていた。
どうやら誰かからの手紙のようだ。まあ、この場合誰かなんて察せられると思うが。
ていうか、もしかして今見ていらっしゃるのでしょうか?
・・・そう思ってしまうと、周りに人がいないにも関わらず誰かに見られていると感じてしまう。
ともかく、手紙を読むことにした。
読んでいただきありがとうございます




