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ナノス・ジョーが出てくるまであと3話
「よし、あれをここへ」
近くの部屋に待機していたのであろう神官が壊れ物を扱うかのよう丁重に存在感を醸し出す何かを持って謁見の間に入ってくる。
「これは?」
「…」
「これは鑑定神器と呼ぶ物である。簡単に言えば人のジョブやスキル、加護がわかる」
高校生5人は、異世界物に触れたりそういったゲームをしないのだろう。そんな物があることに驚いている。
一方、そういったものを嗜んでいる城ノ内道流は売ればすごそうだなと驚いている表情ではあるが、顔色が優れない。
異界の者たちが驚いている反応に気を良くしたドジル王は、高揚して話を続ける。
「フッ…通常のものとは違い、勇者一行にしかこの鑑定神器はかけられない。これを鑑定したい人物の同意を得て、人のジョブやスキル、加護がわかる。もう一度言うが、これは勇者一行にしか鑑定できない。平常では使えない…この世界を創ったとされるアルヴェール神から先祖が賜った古代物」
両手で抱えるほどの大きさ、見たこともない美しい装飾台座に水晶がはめ込んであるそれは、くすみキズひとつ見当たらない。
「口で説明するよりもやってみたほうが早い、始めよ」
異世界からやってきた者たちにはピンと来てないことに気づくと鑑定神器を持つ神官を促した。
まずは先程からリーダーシップをとり発言している青少年、勇人から鑑定していく事に。
「水晶に手をかざしてください」
ステータスが虚空に浮かび上がる。
有馬勇人
ジョブ 勇者
ユニークスキル 不屈の心
スキル 光魔法 全異常耐性 成長補正 言語理解
加護 主神アルヴェールの加護
おお勇者かと周囲から歓声が上がると次々と賞賛の声が謁見の間に響く。
「静まれ」
ドジル王の一言により静まり返る。
「見事なり、そなたの勇気と行動に期待する。では、次だ」
次は明るそうな美少女紅葉の鑑定結果に続き、宗吾、とうこ、マリアの鑑定した。
北原紅葉
ジョブ 賢者
ユニークスキル 賢者の知恵
スキル 全魔法 全魔法耐性 成長補正 言語理解
加護 主神アルヴェールの加護
加倉宗吾
ジョブ 拳士
ユニークスキル ロックギア
スキル 物理耐性 成長補正 言語理解
加護 主神アルヴェールの加護
桐原とうこ
ジョブ 騎士
ユニークスキル 守護
守護者
スキル 物理耐性 魔法耐性 成長補正 言語理解
加護 主神アルヴェールの加護
藤木マリア
ジョブ 聖女
ユニークスキル 祈祷
スキル 全異常耐性 成長補正 言語理解
加護 主神アルヴェールの加護
皆それぞれ勇者一行にふさわしいステータスだった。鑑定結果が出るたびに歓声が上がる。
普段から優等生と呼ばれている高校生5人もさすがは勇者一行と呼ばれ浮き足立っていた。
そして、異世界から来た青年城ノ内道流はというと、次々と鑑定される子たちを見るたびに嫌な汗が出てくるのを感じていた。
「次だ」
ついに残り1人となる城ノ内道流の番がやってきた。
周囲の貴族たちはさぞ良いステータスだろうと期待を膨らませる。どんなジョブなのかすら妄想していた。
そして、城ノ内道流は…
「(やはりダメか)」
「…これは」
鑑定結果を見てドジル王と宰相は困惑する。周囲はどよめく。
周囲の貴族らは皆戸惑い近くの貴族と考察を議論する。
城ノ内道流
ジョブ なし
ユニークスキル なし
スキル 気配察知 成長補正 言語理解
加護 なし (隠蔽 創造神の慈愛)
城ノ内道流のステータスは一般人のステータスと変わらず、スキルの気配察知、成長補正、言語理解のみ。そして加護はなし。
しかし、高校生5人と違い、一部他の人には見えていないのか加護の欄には"隠蔽創造神の慈愛"と記されていた。
「静まれ」
「神官長、これはどういうことか?」
ドジル王は周囲の貴族を平静にさせ、鑑定神器を持つ神官にこの鑑定結果について問う。
神官長と呼ばれた人は困惑を浮かべた表情で自身の考えを述べた。
「…恐れながら。私の見解では、召喚したとき、誤って召喚された者と思われます」
「なに?」
「此度の召喚魔法陣とこの鑑定神器は主神アルヴェール様より賜った物。召喚には成功しています。鑑定神器にも適応しましょう。ですがそちらの方は平民ですから勇者一行ではない、けれど鑑定神器で鑑定できたと愚考いたします。…それと、残念ながらこの者は送還できません」
「……」
神官長の見解を聞いて、城ノ内道流のステータスをもう一度見て貴族らは哀れみ揶揄する者が大半だ。勇者一行と一般人の期待値の落差が激しかった。それほどまでに期待していたからとも言える。
ドジル王と宰相はおくびにも顔には出さなかったが、目には困惑と失望が少なからず出ていた。
当本人はやはりそういう反応をするのかと、言い寄れぬ感情を抑えて、視線を散らして周囲の人たちの様子を伺っていた。この反応を含め半ば結果を予想していたが、実際に知らない人たちに失望されるのは傷つくがほとほと呆れる。拉致同然の召喚をしておいて期待した価値がなかった途端独りよがりの失望。
城ノ内道流の脳内はこちとらお前らに胡麻ほどの価値も見出せんわ!ボケがっと大音響で鳴り響いていた。
「…」
しかし、周囲が失望する中、隣接して見ていた魔法に長けるキトロスと武に長ける騎士団長ベルドの名高い二人は違った。思うところでもあるのか無言で何かを考えている様子だった。
その後、名字が記されている勇者一行と認識された高校生5人は警戒していたためすべては名乗らなかったと謝罪。それを受け入れるドジル王。
城ノ内道流だけは歓迎されず、召喚された使えない平民と判断した貴族はどういう処遇をするのか。
だが、一つ言えることは城ノ内道流に一切の落ち度はなくただ運がなかっただけである。
この後どうなるか、彼は察してしまうのだった。
よんでいただき、まことにありがとうございます。




