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3色目 ギフト 無色

グシャ グシャ グシャ


「う、うわぁぁぁぁぁ」


グチャ グチャ 


「キャハハハハハハハハ」


ガシャーン


「殺せ、殺せ、殺せ」


「キャアアアア、やめてぇぇぇぇ」


グサッ バタッ


「あぁあ、足がぁぁあああ」


「ブツブツブツ、死なない死なない死なない」



ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ァ




僕はそこで見ていた


ヒトがヒトを殺して、傷つけあって、狂っている姿を



「だめだ、こんなのは間違ってる!

やめるんだ!」


「うるせぇ!死ねぇぇぇ!」



あぁまだまともなヒトもいるのか


ぼんやりとそう思った


助けなきゃ、助けなきゃ、

少しずつそう思えてきた時には。


「やめろぉぉ!」


体はすでに動いて彼を助けようとしていた


グシャァァァ


「グハァァッ」


僕の腕がヒトの体を貫いていた


助けなきゃ、守らなきゃ


それからは体が自由に動かせた

バン グシャ ザシュ 


ヒトを襲っているヒトを僕は殺して回った


殺して、殺して、殺して


気付けば自分の掌が血に塗れている事が目に入った

まるで僕の手じゃないみたいだ。


「ヒィィィ」


さっき助けたヒトが何かに怯えてるみたいだ



「くるなぁ!くるなバケモノ!」


え?


「だれかぁ!、誰か助けてくれ!」


どうして?

もう危ないヒトは居ないのに。


「大丈夫か!」


「殺せ!そいつで最後だ!」


「そのバケモノを殺せ!はやく殺せ!」


さっきまで助けていたヒト達が武器を向けてきた。


誰に?


僕に?


俺に?


オレ?


オレハ・・・ダレダ?



ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ァ




雨ガ降ッテイル

オレノ顔二滴リ落チテクル

雨ガ

真ッ赤ナアメガ

赤イ

アカイ

アカイ












「うわぁぁぁぁぁぁ」


バサッ!


「ハッ、ハァ、ハァ、ハァ」


バクッバクッバクッ


「おい!大丈夫かセシル!」


「ハァ、ハァ、お、おっちゃん?」



夢か、夢を見ていたんだ、やけに現実的な夢を。



「目が覚めたか、よかった、部屋は隣みたいだな、

 壁の穴からお前の声が聞こえる」


「部屋・・・?」



そこで僕はようやく違和感に気づいた。

ここはどこだろう?

四角い岩が積み重なった壁に、

木と鉄で出来た扉、

僕が二人並んで寝たら、歩く場所が無くなる狭さ、

壁の上にはおそらく換気用の穴が開いていてそこからおっちゃんの声が聞こえる。



「あぁ、恐らく此処は昔使われてた要塞、の廃墟ってとこだろうな」


「どうしてこんな場所に・・・」



僕はまだ少し重い体を起こして扉に触れた。


グッグッ

びくともしない



「実はなセシル、お前が倒れた後・・・」



僕の意識がなくなってからの話を聞いた。

”加護無し”達の本隊は別にいて

まず、少人数の別動隊が罠を張って、

獲物が罠に掛かってから本隊がそこへ向かう、

だから別動隊は獲物を足止めするのが目的なんだそうだ。


おっちゃん達は急いで移動を始めようとしたけど、本隊に見つかって、

なすすべもなく捕まってしまったらしい。



「それに、悔しいことに手も足も出ない奴がいてな。」


「おっちゃんが手も足も出ない・・・」


「あれはおそらく加護無しのリーダーだ、

 だが奴はギフトを持っている、どんな事情があるかは知らんがな」


「それにしてもおっちゃん、本隊とか別動隊とか詳しいね」


「あぁそれはな、聞き耳たててたら、

 あいつら酔った勢いで自分の働きがどうのとか、

 情報漏らしまくりだからな」


「なるほどね」


「なぁセシル、お前、スキル使ったろ」


そうだ今まで忘れてたけど僕は無色のスキルを使ったんだ


「うん」


「急にお前がチェンジ!って叫んだからびっくりしたぞ。

 で?なんのギフトを授かったんだ?あの暴れ様・・・」


「えっと、たしか、修羅、とかいう名前だったような」



目を閉じて自分のギフトに問いかける



「あれ?」


「どうしたセシル?」


「ギフト 無色 のままだ、

 どうして?確かに無色のスキルを使ったはずなのに」



僕は確かにチェンジと叫んで、あの凄まじい力を使って・・・



「セシル、お前今ギフトを確認したんだよな?」


「うん、そうだよ?」


「感じるそのままをもう一回言ってみろ」


「?・・・わかった」



改めてギフトに問いかける



「やっぱり ギフト 無色 だったよ」


「おかしい、そんな訳があるはずが・・・」


「え、なにが?」


「俺のギフトは 狩人 だ、

 ギフト 狩人 じゃない

 ギフト なんて頭に付かないんだ」


「え?じゃあ」


「ああ、セシル、お前のギフトは・・・二つある」


「え!?おかしいよ!そんなわけないよ!」


「ああ、だからおかしいんだ、ギフトが二つ?そんな話聞いたことがない

 ただ、そうだとすれば辻褄が合う」


「おっちゃんどういうこと?」


「お前は無色のスキルを使って加護、

 ギフトを変えた、その時”無色”のギフトではなく”ギフト”というギフトを別のギフトに変えていたとしたら?」


「だから無色が残っていたのか・・・あれ?でもそれじゃあ今 修羅 無色 じゃないとおかしいんじゃない?」


「これは予想でしかないが無色のスキルの再使用時間が関係しているかもしれん」


「再使用時間・・・」


「ああ、覚えてないか?同じスキルを短時間で何回も使ったら疲れやすくなるっていうあれだ

 無理して使えないこともないが、聞き耳なら連続して三回も使ったら、

一日中耳鳴りが続くだろうな」


「いや、それは覚えてるんだ、でも・・・」


「無色のスキルだもんなぁ、まぁあくまで予想だ、試しに一回使ってみろ

 考えるより今は行動だ」


「え!?使うの!?」


「あぁ授かるギフトによってはここから抜け出せるかもしれんぞ

 一回使ったんだ、二回も三回も変わらん」


「うーん、そうかなぁ?、わかった、使ってみるよ」



意を決して僕は拳を胸に置いた


そして今度は静かに唱えた。



「チェンジ」


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