04 角笛の音
「何者でありますか! 我らサキュバスの結界魔法をかいくぐってくるとは! 許せんであります!」
目の前には悪魔の羽が生えたほぼ半裸の女性。そしてその後ろには子猫ちゃんの村が。
「ぶ……ぶるぶるニャ〜!><;」
ごめんください。ちょっとお尋ねしたいことがあるのです。
「えっ、何でありますか?」
あなたはサキュバスさんですか。
「??? もちろんそうであります。私は下級淫魔のヤヤスケーヴェイという者であります」
ふむ。ここで何を?
「何をって……決まってるであります! 獲物の調達でありますっ!」
獲物か……。
「やっぱりニャンタロッサの言ったとおりだニャン! サキュバスのやつら、ニャンタロッサの仲間を食べるつもりなんだニャン!><」
「食べる? 何を言ってるでありますか、あなたは! 半獣を食べればお腹を壊すに決まってるであります! だから食べられるわけがありませんでありますっ!」
ちょっとお待ちを。半獣とは。
「……あなた、全裸なところを見るあたり、我らサキュバスに近い種族でありましょうか。それも半獣すら分からないとは、記憶喪失でありましょうか……可哀想にであります」
可哀想ついでに教えてください。
「半獣属とは、二足歩行を可能にした獣のことを言うであります! ちなみにあの草の茂みにいる四足歩行のウサギは、がっつり完獣属に分類されるであります!」
ということは、立って歩けるウサギさんもいて、その子は半獣属に分類される、と。
「で、あります!」
なるほど。ということは子猫ちゃんも半獣のくくりなんだね。
「今更すぎる話をしないでほしいニャ! 今話してるのはニャンタロッサの仲間を助けることだニャン!###」
「それは許されないであります! 現在村では大規模な輸送準備が行われているであります! それを邪魔するのは決して許される行為ではないのであります!」
どこに連れて行くつもりなの?
「それは内緒でありますっ!」
「教えろニャ〜!」
「言ったら中級淫魔先輩に怒られるでありますっ!」
「怒られろニャ〜!」
「絶対嫌でありますっ!」
ふーむ。
ならば仕方あるまい、ってやつだよね。
「なっ、何のつもりでありますか……!?」
私たち、君の後ろの村に用事があるんだよ。だから、ね。
「ちょ……何か策があるのかニャ!?お前!(小声)」
ないよ。
「ニャ!?(大声)」
こういうのはハッタリでも通用するもんだよ。きっとあの子も怯むで……。
「敵襲であります〜〜〜〜〜〜!!!!(角笛ぶぉぉぉん)」
あるぇ。
「バカなのかニャ?」