15 アイキャンフライ!
「お……お前その姿は……!!!」
え……何……?
!?
なんか私の腕太くなってない!?
いや腕だけじゃない……体全体が前より大きく……。
……お、おまけに角まで生えてる!?!?
「ひ、ひぃーーー! 失礼しましたーーーー!!!」
えっ。
鬼さん逃げちゃった……なんで?
「き、聞いたことがあるであります! 鬼たちの間では角が最も大きい者が長になる風習があると!」
つまり……今の私は鬼さんのリーダー的な存在?
「で、でもなぜ鬼の姿を模倣できたんでありますか……?」
わからない……。
けど……もしかしたら新たな力なのかもしれない。
この危機を収束せよという神からの意思だよきっと!
「女神様は雪殿を返す気マンマンでありましたが……いや、前向きに考えた方が良いでありますね」
うん!
「ではその姿を利用して城下町中の鬼たちを鎮めるべく、出発であります!」
がってん!!!
鬼さんたちは私の姿を見るなり、皆一様に縮こまってしまった。
もとの長である子も、私の角がめちゃくちゃ大きいことに超ビビって萎縮しまくりでした。
なんだかちょっと可哀想だったかな……。
まぁ勝ち気な女の子がしゅんとなる様は見てて興奮するけどね。
「鬼たちの方は無事収束したであります! あとは……」
うん。あとはサキュバスさんたちだ。
ねぇ、サキュバスにも鬼さんたちみたいな長の決め方ってあるの?
「いや……ないであります」
そっか……。じゃあこのトレースのチートは使えないか……。
「……私に考えがあるであります」
えっ……?
「全軍、魔力最大限で撃て!」
「イエッサー!」
「GURURURURRUAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」
うわ。サキュバスたちが魔法で獅子王に総攻撃してるよ!?
これけっこうまずくない!?
「いや、あれでも無理であります! 獅子王の剣裁きはそのすべてを打ち払うであります……!」
「GUAUUUUUUUUUUUUUUU!」
「くっ……!」
「操られていようとも王は王か……」
それでも長くはもたないよ、きっと!
どうするの!? ヤヤスケーヴェイちゃん!
「私が雪殿を掴んで、あの激戦区に飛び込むであります!」
えっ。
「ちょうど獅子王様の真上あたりで落とすので、獅子王様にタッチして洗脳を解いてほしいであります!」
な、なるほど。
ちょうどトラコちゃんの姿も見当たらないし、洗脳を解いてすぐまた洗脳にかかっちゃうなんてヘマは起きなさそうだね。
でも……あの魔法の弾が飛び交う戦地をかいくぐれるの……!?
「わからないであります! なので腹くくってくださいであります!」
え、ちょ、まだ心の準備が。
「いくでありますーーーーーーーーーーーーー!!!!」
ぎゃああああああああああ!!!!!!