14 そう思っていた時期が私にもありました
「財宝よこせえええええええええ!」
「きゃー! 鬼よ!」
「見て! 門に結界が張られてるわ!? 外に出られない!」
「そ、そんな……!」
「お前は財宝持ってねぇかあああああああ!?」
「きゃー!!!! ど、どこ触ってるの!? いやーっ!!!!!」
「ここかー!? ここに隠してるのかー!?」
「いやーーーーーっ!!! あんっ……♥!!!!!」
想像以上にやばい光景だねこれ。
正直鬼が暴れてると聞いて血みどろなシーンを考えてましたけど……。
まぁそんなことはありませんでしたね、えぇ。
「雪殿! 結界を解くであります!」
りょうかいだよ!
えいっ!
よし……消えたね、さっそく突入だ!
「何奴だ!? む!? お前あやしいな! まさかお前が財宝を持ってるのか!!!」
「い、いやいやいや雪殿は全裸でありますよ!? 全裸のどこに財宝隠してるとお思いでありますか!」
いや、大丈夫だよヤヤスケーヴェイちゃん。
「えっ……!?」
鬼さん、気の済むままに私を調べるといいよ。
「な……!?」
「面白い!!! 体の隅々まで調べてやる!!!!!!」
ふっ。
「さわさわ!!! もみもみ!!!! クンカクンカ!!!!!」
どう? 財宝は見つかりそう?
「全身くまなく蹂躙されているというのに……あの余裕は何でありますか!? 雪殿……!」
私はこの事態の収束を誓ったんだ。
こんなことで屈するわけないよ!
「雪殿……!!!」
「わかったぞ!? お前脇の下に隠してるんだな!?」
きゃっ。
そこ待って。弱いから。
「…………」
「脇だ!!!!!! こいつ脇に財宝を隠してるぞ!!!!!!!」
「雪殿ぉぉぉ!!!! 鬼たちがこっちに集まってくるでありますうううう!!!!」
な、なんだって!?
「脇!!!」
「脇!!!!!!!」
「財宝!!!!!!!!!!」
「脇!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
くっ……!
軽く50人以上はいるかな……。
もってくれよ、私の脇……!!!!!!
「!?」
な、何……!?
「今度は集まってきた鬼たちが次々と倒れていくであります!」
あ、あれは……。
あのたてがみカッコキャワワな女性は……!
「獅子王様であります!」
「GARURURURU……」
トラコちゃんが獅子王をこっちに回してくれたのか!
た、助かった……。
「GUAAAAARURURURURURURU……RUAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
「おのれ獅子王! 財宝よこしやがれ!」
「お前ら! 脇はどうでもいい! 獅子王だ! 獅子王を捕まえろ!」
「財宝がないなら体で払ってもらおうじゃねぇか!」
鬼さんたちのターゲットが獅子王に向いてくれたね。
今のうちに行こう! ヤヤスケーヴェイちゃん!
「は、はいであります……!」
「嗚呼、なんということか」
「キュベレイ様……」
「我々は虎のくだらぬ野望を叶えるため、空を駆けていたに過ぎんのか」
「…………」
「獅子王、我が認めた唯一無二の王。あなたならばサキュバスを認めてくださるとばかり……だが我は踊らされていたのだ。獅子王、あなたも……」
「…………」
「サキュバスたちよ! 聞くが良い! 我々の地位はかの者が獅子王に纏わり付いている以上、約束されたものではない! 故に、我々は今日、討つ! 虎を!」
「オオーッ!」
「そして、王を救うのだ!!!!」
「オオーーーーーーーーッッッ!!!!」
「皆のもの、かかれーーーーーーーーー!!!!!!!」
「た、大変であります! 雪殿! 空からサキュバスの軍勢が!」
くっ……結界魔法を解いてからの侵入……。
どうやらキュベレイさんは私たちがいることを知ってるみたいだね……。
「どうするでありますか!? ニャンタロッサ殿が気がかりではありますが……」
わかってる。
まずはサキュバスと鬼たちをどうにかしないと……。
どうする……。
どうすればいい……!?
「脇ィーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!」
!?
「雪殿あぶない!」
ぅ、ぅわっ!?