10 たぶん抱きついて抑えたら毛がかゆってなって笑っちゃうと思うんだ
「うっ……いったい我は何を……」
やった! 洗脳が解けたみたいだよ!
「獅子王様! しっかりするニャ! 気分はどうニャン?」
「……君たちは?」
通りすがりの者です。
「……全裸の変質者と、猫娘、か。なるほど」
なるほどって? なんぞ?
「何をひとりで納得してるニャン? 獅子王様は今まで何者かに操らr……」
「トラコよ! トラコはおあらぬか!」
「はっ」
!?
忍者みたいにシュバって出てきたな……。
あの子も可愛いぐへへ。
「トラコよ、あの者らを牢獄へぶちこんでおけ」
「承知いたしました」
は!?
「ちょちょちょちょちょwwww待つニャンwwwww」
「おかしいであります! 私たちは洗脳された獅子王様を助けたのでありmもがっ……」
「言い訳は牢獄の中でどうぞ」
待ってよ! 話を聞いて! 獅子王ちゃん!
「王を気安くちゃん付けで呼ぶな! 無礼者め!」
「ニ”ャーッ!><」
「ふぅ……何だったのだ、あやつらは。おまけに王室が水浸しではないか。メイドたちを集めねば……」
「直ちにメイドたちを集めましょう」
「頼むぞトラコよ。……時に」
「……何でしょうか?」
「サキュバスの者もいたが……彼女は何用でここに参ったのだ?」
「……何用、とおっしゃいますと」
「我は何かを忘れている気がしてならぬ……」
「…………」
「我はサキュバスたちと何か契約めいたものを結んでいたような記憶があるのだが……」
「…………」
「であったのならば我は無礼を働いたのではないか?」
「…………」
「彼女らは健気だ。同じ魔族の半獣である鬼や竜の者共と違い共生の道を歩まんと励んでおる……」
「獅子王様」
「……何だ?」
「否、ガオーン・プライド」
「!」
「あなたは何も知らない。知らなかった。それでいい」
「トラコよ。それが主への口の聞き方か?」
「ふふ……」
「なっ……!?(速いッ……一瞬で間合いを!?)」
「また微睡みの淵へ落ちると良いでしょう……ふふふふ」
「くっ……」
「くすくす♥ なんであなたたち牢屋に入ってるのかしら?♥」
!?
「メスガキ!? どうしてこんなところにいるニャン!?」
「救世主でありますか!?」
看守はいなかったの?
「みーんな王国の外へ溢れ出た半獣たちを保護しにいってるわ?」
そっか。全員かり出されちゃってる感じか。
なら脱獄も容易いよね!
というわけでラビちゃん、そこの鍵とって?
「ざーこ♥」
「ニャあ、こいついっぺんぶっ飛ばしていいニャン?」
落ち着いてニャンタロッサちゃん。
「お願いの仕方が下手ぁ♥ ざこぉ♥ クソ虫ぃ♥」
お願いしますラビ様、鍵を開けてください。足舐めますし肩も揉ませていただきます。なんなら全身オイルマッサージとかもします。
「くすくす♥ きもッッッッッッ♥」
うーん。
「まぁいいや♥ 開けてあげるぅ」
!?
やったぁ! ありがとうラビちゃん!
「はぁ〜、お前にはプライドってもんがニャいのかよ……」
あるけど?
「絶対ないであります」
「まぁとりあえずお礼は言っとくニャ!」
「ありがとうであります〜!」
「くすくす♥」
でもまじで何でラビちゃんお城の中にいたの?
「私トレジャーハンターなの! もともとこのお城のお宝が目当てだったのよ♥」
「は〜ん泥棒ニャンね」
「と・れ・じゃ・あ・は・ん・た・ぁ♥」
「うぜぇニャ……」
どぅどぅ。落ち着いてニャンタロッサちゃん。
まぁラビちゃんがトレジャーハントしてたおかげで、私たちこうして助かったんだもの。
ヨシとしよう!(現場ネコのマネをする)
「それ何のポーズでありますか!?」
ふふ、これはね……。
「それじゃ私いくから♥ ばいばい♥」
あら、またねラビちゃん。
「……さて、とだニャ」
うん。
リベンジだね。
たぶん話せば理解してくれると思うんだよ。
でも実力行使で牢屋にぶちこまれちゃう。
だから、しばらくは耐えよう。
「耐えるって、どうやってでありますか?」
う〜ん。
例えばだけどさ、ちょっとの間だけでも力が強くなる魔法とかない?
「あるであります! そうか! それを使ってあの虎の人を抑えてるうちに獅子王様とお話するんでありますね!?」
そのとおり!
というわけであの虎ちゃんを抑える役目はニャンタロッサちゃんね。
「ニャッ!?」
「私は魔法を唱えないといけないであります……」
私は全裸だし。
「全裸でも抑えられるニャ」
むりだよ。たぶん。
「ニャぁ”……」
よし。さっそくリベンジGOだよ!
「お〜っ! であります!」