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01 細かいことはいいんだよ
事故りました。
それも盛大に。
高3の夏、下校中のことでした。
えぇ、そりゃもう盛大に。派手に。えへへ。
脳みそグシャリ。内臓べちゃぁ。
えぇ、それはもう。派手に。
……でも不思議。
意識があるのです。
そして、私を轢いたトラックはどこへやら。
いや、私自身がどこへやら?
刹那に感じたアスファルトの熱も感じない。
ーーってか、ここどこ?
見渡す限りの大草原にぽつんとひとり。
トラックに轢かれて飛んで、東京脱出しちゃった? モンゴル来ちゃった?
「……意識は正常のようですね」
むむ。
「本当にこのような者がイシュタリアを救えるのですか……?」
「女神のお告げです。信じるほかないでしょう」
「致し方ありません……しかしこのままこの者を丸腰で送り込むのは気が引けます。オプションをつけましょう」
「女神を護りし者からのギフトを、この者に」
なに、この人達なにを話してるの?
ってか、いつの間に私の周りにいたの?
ってか、ってか。えっ。
……え?
気付くと私はマッサラな砂浜の上に、大の字になって倒れていました。
しかも、裸で。