表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

[漫才] さばの味噌煮(本格派掛け合いしゃべくり漫才バージョン相槌付き)

作者: 藤澤俊輔

漫才における「相槌」はそのときの雰囲気で自然に入れるものなので通常漫才台本には書きませんが,本格的な掛け合いのしゃべくり漫才をイメージできるようあえて細かい「相槌」を書き込んでいます。台本にはボケとツッコミが登場しますが,自分はボケを演じるつもりで,ツッコミは相方が言っているイメージで読む(逆も可)と,掛け合い漫才感を味わえます

ボケ:私事なんですけれども


ツッコミ:はいはい


ボ:新しいレンタルショップをね


ツ:レンタルショップ


ボ:オープンさせようと思ってるんですよ


ツ:オープンって


ボ:そうなんですよ


ツ:オーナーってことですか?


ボ:オーナー兼社長ですね


ツ:すごいじゃないですか


ボ:いやいやいや


ツ:すごいですよねぇ


ボ:そんないいもんじゃないですよ


ツ:なんのレンタル?


ボ:これがですね


ツ:なんですか?


ボ:さばの


ツ:サバ?


ボ:味噌煮です


ツ:え?


ボ:いやだから


ツ:うん


ボ:さばの


ツ:うん


ボ:味噌煮


ツ:さばの味噌煮って


ボ:サバを味噌で煮込んだやつですよ


ツ:レンタルショップですよねぇ


ボ:新しいでしょ?


ツ:「新しい」とか「古い」とかの


ボ:はいはい


ツ:概念超えてません?


ボ:ついにあのさばの味噌煮が


ツ:え?


ボ:レンタル開始ですよ!


ツ:「待望のあの新作が


ボ:新作?


ツ:レンタル開始ですよ!」みたいに言ってますけど


ボ:待望のさばの味噌煮ですよねぇ


ツ:誰も待っていなかったというか


ボ:そんなことはないでしょ


ツ:誰も「借りよう」などと思ったことのないジャンルですよ


ボ:日本人が大好きな「さばの味噌煮」のビジネスでね


ツ:さばの味噌煮は好きですよ


ボ:失敗する姿なんて想像できないんですよ


ツ:無駄にポジティブですけどね


ボ:「無駄」って言うなよ


ツ:その借りたさばの味噌煮は


ボ:はいはい


ツ:食べていいんですか?


ボ:あたりまえだろ


ツ:あたりまえ?


ボ:食べていただかないと


ツ:うん


ボ:貸した意味がないですからね


ツ:そうなんだけど


ボ:そうでしょ?


ツ:食べたとしてだよ


ボ:はいはい


ツ:どうやって返せばいいんですか?


ボ:どうやってって


ツ:返し方が分からないんですよ


ボ:自分の家でさばの味噌煮を作っていただいて


ツ:家で?


ボ:返していただければ


ツ:だったら借りる必要ないでしょ


ボ:急にさばの味噌煮が必要になることもあるでしょ〜


ツ:そんなことあります?


ボ:だいたい急に言いますからね


ツ:何を?


ボ:「さばの味噌煮が食べたい」って


ツ:誰が?


ボ:おじいちゃんが


ツ:おじいちゃんが?


ボ:おじいちゃんはほんと急に言うんですよ


ツ:あんまりそういうイメージないですけどねぇ


ボ:「さばの味噌煮が食べたい」と


ツ:そういう日もあるかもしれないけど


ボ:結構な頻度であるでしょ


ツ:急に言うのは5年か10年に一回くらいじゃないですか?


ボ:事前に「さばの味噌煮が食べたい」というそぶりを見せてくれればね


ツ:そぶり?


ボ:材料そろえておけますけど


ツ:「さばの味噌煮が食べたいというそぶり」ってなんだよ


ボ:サバを読むとかね


ツ:おじいちゃんがサバを読むの?


ボ:「わしゃまだ23歳じゃよ」って言うとかさ


ツ:サバ読みすぎだろ。23歳って


ボ:「昨日のトライアスロンのせいでちょっと筋肉痛じゃ」って言うとか


ツ:おじいちゃんの日常生活の何をどうサバ読んだら「トライアスロンした」ってことになるんだよ


ボ:自転車に乗って出かけたら


ツ:うん


ボ:池に落ちて自転車壊れちゃって


ツ:大変じゃないですか


ボ:体が濡れて寒すぎて小走りで家に帰って来ることもあるでしょ?


ツ:それは完全にトライアスロンですね


ボ:こんなふうに事前にサバを読んでくれたら


ツ:いやいやいや


ボ:「おじいちゃんそろそろさばの味噌煮を食べたい時期なんだな〜」って分かりますけど


ツ:そんなサバの読み方をするおじいちゃんいないでしょ


ボ:それなら


ツ:うん


ボ:急にサバサバした態度をとるとかね


ツ:どういうことだよ


ボ:育毛剤を一気に全部使っちゃうとかさ


ツ:「昨日まであんなにチビチビ使ってたのに急にどうした!?」みたいな?


ボ:何十年もかけて集めた切手を


ツ:集めがちですけどね


ボ:全部貼って出しちゃうとかね


ツ:なんでそこまで身を削って「さばの味噌煮食べたいアピール」しなくちゃいけないだよ


ボ:食べたいんだったらそれくらいのことはしてもらわないと


ツ:「さばの味噌煮を食べたい」と,一言言えばいいだけの話だろ


ボ:「さばの味噌煮を食べたい」なんて,口に出して言うのは野暮だろ?


ツ:野暮!?


ボ:「さばの味噌煮を食べたい」というこのほのかな想いは


ツ:「ほのか」って


ボ:仕草やそぶりでそっと伝える


ツ:なんでだよ


ボ:それが「和の心」だ


ツ:「和の心」とかかっこよく言ってますけどね


ボ:大切ですよねぇ


ツ:それだとうまく伝わらないから


ボ:え?


ツ:おじいちゃんは直前になって急に「さばの味噌煮が食べたい」って言い出す形になるんでしょうが!


ボ:だから「そこにビジネスチャンスがある」って言ってるんでしょうが!


ツ:どういうことだよ


ボ:急に言われてスーパーに買いに行ってもサバは売り切れ。それなら「今日はさばの味噌煮をレンタルしよう」って話になるでしょ?


ツ:ならないだろ。いいかげんにしろ

相槌なしバージョンもあります https://ncode.syosetu.com/n8858gj/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ