世界をまたに掛ける
世界の七割は海である。そして、七つの海…自由を求める人々の憧れの場所である。この物語は、歴史に似通う部分はあれど、あくまでも小説である...かも知れない。
1. 大海原へ!
私は、若くして故郷を離れ、海軍士官学校に入学した。その後、問題なく士官候補生に着任した。以来、この20年間、海軍の職務に忠実であったと自負をしている。
この間には、様々な海戦に携わった。命をなげうつ覚悟で南の隣国との戦争や海賊らが(特に違法な人身売買行為で)国際法を犯していたことからの討伐に参加した。
しかし、海賊問題が収まり、極東で海上勤務している時のこと。過激な宗教色に染まった少数地域だけが押す「大統領」の政権が国で誕生し、即刻、全国中で戒厳令を発動させた。
私は帰国するなり独裁者に脅かされていた我が故郷を救うことを誓った。海軍を辞任、故郷を含む志を共にする同胞らが独立を宣言して新たな国を作ったことから同軍に志願した。
残念ながら、最初に乗り込んだ船は、まだ建造途中の「川船」であった。建造物としては、興味深い工法を取り入れたもので、実際、それに関して夢までもを見た。
川、特に大河、の上は海上と違い荒波が経ちにくい。そこで、この川船は、我々が造船所が少ないが大工は多いことから、家を逆さにした構造を取り入れたれのだ。
水面すれすれのいかだや浮橋の上と違い、水深かあれば、大きな大砲の反動も操作が可能であった。未だ夢だが、私は睡眠中に、このシステムを基礎にした水上要塞を目の当たりにした…。
その様な状況から、実現が難しい夢を見るより、私は陸軍の砲兵隊(たまたま、工兵部隊出身でもの分かりの良い将軍が指揮官[G.T.])の支援をかって出ることとした。
ちなみに、何とこの司令官は機雷の特許まで持ち、潜水艦にも詳しかった事から、私と「馬が合った」。G.T.の周りには、出身や社会的地位を問わず、有能な人々が集まっていた。
残念ながら、他の司令官や政治家らの多くがG.T.が「外人ぽい」というくだらない理由で、疎んじていた。私は、彼が新たな国のトップであったなら、もう戦争は結終していたとさえ思えた。
だが、独立を手にする戦いは続いていた。開戦からもう三年も過ぎていて、中々、決着がつかない。そういうある日、将軍からの推薦もあり、ようやく自分に海上勤務が命じられた。
詳細を聞くと、小型ではあるが、ちゃんとエンジンの付いた、外洋向けの船に乗り込むとのこと。それも、私に司令官になる白羽が立ったという。
まさに、水を得た魚...と思いきや、乗組員数は通常の半分以下で、挙げ句の果てに武器や弾薬どころか物資もまともに無いといった有り様。天に見放された気分になった。
されど、故郷のために出来るだけのことをすると決意していた私は、落ち込み気味になりつつも、打開策を検討し、賭けへでることとした。私の船だ、運命も共にする!
何とか、士気の低くなっていた基幹要員を引き連れ...確りした若者で、我が軍の総司令官の甥が運良くメンバーで、協力的なこともあり...敵艦らに拿捕されないため、大海原へ出ることとした!
どこの国かの特定は敢えてしないが、「儀」がどこにあったのかを決めるのは、各々の読者へお任せする。