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僕が主人公じゃない方です  作者: 脇役筆頭
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呪われても主人公じゃない

俺の名はウッキー。自分の状況を少し整理することにした猿である。


前世では爆発して死んだと考えていたが、どうなのかわからない。気付いたら知らない体になっていたため、死んで転生とも考えたが、もしかしたら体の構造が変わって転移しただけかもしれないのだ。


この考えに至ったのは…ご主人?でいいのか?まあまあな女の資料に目を通した時だ。


「ウッキー、ご飯よ。」


今日はいつもと違い、手で渡してくる。いつも地面に放り投げるのだが、今更態度を変えてもご主人の印象は変わらないぞ。


「…。」


俺は返事をせずにバナナを受け取り食べ始める。ここしばらく果物しか食ってない。このバナナ手で渡してきた割に美味しくないし。そろそろ暖かいものが食べたくなってきていた。あとバナナ食うと口の中痒くなるし。


「こら、返事しなきゃダメでしょ。」


俺は父に教わった方法で返事をし、バナナの皮を家の壁に投げつけて小屋に戻っていく。いつもならここで家のドアが閉まる音が聞こえるのだが、聞こえない。俺は思わず振り返るとまあまあの女が俺を見ながら何か考え事をしているようだった。


「ウキ…?」


屁がそんなに臭かったのだろうか?俺は心配になり彼女に近寄る。しかし、俺は違和感に気づき四つん這いから立ち上がり咄嗟にバナナの皮を拾い上げる。


「…ウキキ!?」


バナナの皮には簡単な睡眠や麻痺効果を与える麻酔の魔法がかけられていた。俺は意識が遠のく中、自分の驚いた時の声が何!?ではなくウキキ!?になっていて、もしかして俺、演技の才能あるんじゃね?と考えるのであった。


「お馬鹿なお猿さんね。」




目を覚ますと俺はパン1になっていた。裸でないだけ人権が守られているようだ。まあ手足縛られて机の上に拘束されてるから疑問になるけれど。


辺りを見回すと、家の中であることはすぐに分かった。


俺の体には既に無数の魔法陣が刻まれていた。内出血させて体の中に彫っているのだ。


これはまさか、人体実験して強大なちからを手に入れるのでは?強化人間的な。このまま流されるのもいいな。俺は夢中で魔法陣を彫っているご主人を邪魔しないように再び目を閉じる。


暫くすると目を開かされた。すぐにビンタをされるが全く感覚がない。麻酔か。


「どうして?」


俺が聞くと、目を見開くご主人。とても驚愕している。


「まあ喋れた方が好都合よ。まさか魂を抜き取ったのに猿の魂が宿るとは本当に驚いたわ。色々カマをかけたけど、やはり猿だと確信したのに最後の最後まで騙してくるとは、やはり…」


何やら長々と語り出した。簡単にまとめると、この体はやはり赤の他人のもので、俺の魂が入り込んでしまったらしい。ご主人はこの体の持ち主が相当嫌いで、殺すだけでは納得がいかず、魂から殺したそうだ。しかし、魂の無くなったはずの体がなくなり…ってどうでもいい。


早く実験して失敗作という名の強化人間にしてくれよ。代償はなんだ?人の心を失うとかか?物語中盤に仲良くなった仲間のおかげで人の心を取り戻すのか?


それとも人の心か強化人間の力か、二択を迫られてどうする!とかの展開か?


俺はやれやれといいながら自分の望みである人の心を捨てるけど、大切な仲間との関係を守れて、


「これが人の心でなければなんなの?」


てきなヒロインがきてハッピーエンド。ほら、結末まで見えたでしょ、早くして。


ご主人は長々と積年の恨みを暴露していき、やっとのことで本題にはいる。


「お前に終わらない地獄を見せてやろう。解けない呪いだ。私の命を代償にな!」


まあご主人の今からやろうとしてる話をまとめると、ウッキーの本体が俺だと思っているらしく、ウッキーを現在進行形で遠隔操作しているらしい。その俺の本体の方にやばい呪いをかけるそうだ。その下準備を今までしてきてそうだ。


ウッキーの肉体はもちろん、俺の魂と肉体もただでは済まないらしい。


「さぁ、終わらない悪夢の始まりだ!我が命、この命を持って最悪の呪いをここに実現しよう!我が名はレイヴン!彼者に災厄を与えたまえ!あ、間違え」


刹那。とてつもない可視化するほどのエネルギーの魔力が彼女から放たれて四方八方に飛ぶ。部屋中を駆け巡り次々に俺の体に彫られた魔法陣を貫き通り過ぎて、再び部屋中を駆け巡る。


通り過ぎるたびに想像を絶する激痛が走り、俺は意識を失う。と思ったのだが、麻酔のせいか痛みは何も感じない。ふとご主人をみるといつの間にやら消えてしまっていた。


それにしても幻想的だ。光が駆け回るというのはとてもいいものだな。きれいだ。俺は呪いをかけられているとは思えない景色に見惚れてしまうのだった。


しまった、寝てしまっていた。俺は寝ぼけて目を開けてゆっくりと立ち上がろうとすると、両腕が拘束されていることに気づく。俺が何気なく力を入れると、硬く結ばれた紐は雑草のようにブチブチと…。


これどうやって抜け出そう。力を込めてもびくともしない。硬く縛りすぎでしょ。ご主人に頼まれたら逃げないし、もっと緩く蝶々結びにしといて欲しかったな。


てか強化人間は?普通に目覚めたら強化人間になってると思って、あの状況下で興奮を抑えて眠ったのに。悪く言わなければ状況を明らかにしないことによって休めた?


ゲームをやる前に説明書をよんでワクワクする気持ち?もらったゲームが欲しいゲームじゃなかったならば、ワクワクできていた頃を不幸中の幸いと呼ぶだろう。少なくともワクワクしていた時は認識的に欲しいゲームが手元にあったのだから。


ていうか間違えたって言ってたよね…。呪い?を失敗したということはどういうことだろうか?マイナス×マイナス=プラス?まさかそういう路線!?


俺は多分何気ない行動を取る中で自分の秘められた力を知ることになるのだろう。チート級のなにかを!期待に胸を膨らませて俺はこれからの振る舞いに心を躍らせるのだった。


このあと何事もなく、俺は空腹に苦しみながら餓死するのだったのだけど。

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