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60話 セイントブリッジで死闘してみた

【前章までのあらすじ】

指名手配 → 冥王城でお泊り → 竜王ニーズヘッグ蘇生 → クソイベントキャンセル → メルモたちと合流 → 聖王軍と開戦へ


【パーティー】

◇魔帝メナス(マティー) Lv100

元ラスボスにして元ノア帝国皇帝。今は、偽勇者。

暇なときは魔物と戯れたり、旅行記を読んだりしている。


◇妖精姫ミコリス Lv67

エルフの姫にしてベテラン冒険者。【空間操作】スキルをそれなりに使えるようになってきた。

暇なときは買い物をしたり、園芸雑誌を読んだりしている。


◇破壊王プリモ Lv91

七魔王・第4席のスライムメイド。破壊と創造の力を持つ。

暇なときは、家事をするかスライムを食べるか七魔王の友達と通話している。


◇聖女ラフリーゼ Lv1

【未来予知】スキルを持つ『レジノア』ヒロイン。破滅の未来を回避するためにメナスを勇者にする。

暇な時間はかえって落ち着かないため、結局いつも仕事や勉強をしている。


「――――止まれ」


 剣聖ハイデリク・ホーマーが、自軍にそう指示を出したのは、セイントブリッジを進行している真っ最中のことだった。

 聖王信者が集まった聖王軍は、練度が高い。すぐに全体の歩みがストップする。

 しかし、いくらセイントブリッジが巨大な橋だとはいえ、軍が展開できるほどの広さはない。そんな場所で立ち止まるなど自滅行為に等しいが……それでも、今は止まらざるを得ないということを、この場にいる誰もが悟っていた。


「なんだ、あれは……」「骨……?」「まさか、冥王軍か……?」


 セイントブリッジの先に――骨の軍団が布陣していた。

 スケルトンだけではなく、多種多様な魔物の骨の軍団だ。

 中には、神話の竜王を彷彿させる巨大な骨竜なんかもいる。


 そして、その先頭に立つのは4つの人影。

 メイドに、エルフに、聖女……。

 そして――台座つきの聖剣をかついだ銀髪の青年。

 彼が、魔光通信で聞いていた指名手配中の偽勇者なのだろう。

 しかし、“偽”と蔑むには、その邪悪なオーラは圧倒的だった。

 歴代最強の聖城騎士とうたわれた剣聖ハイデリクが――気圧される。

 遠く離れて対峙しているというのに、冷や汗が止まらない。


「……まさか、冥王に魂を売ったのか?」


 ここが戦場になることは予測していた。

 だからこそ、いつでも戦えるよう兵に鎧兜を身につけさせて行軍をした。

 覚悟も、準備も、できていた。

 だというのに……逃げてしまいたかった。


 しかし、ノア帝国に入るには、この橋をわたるしかない。

 橋の下を流れるティアズ川には、まだ七魔王の水中部隊が潜んでいる。舟でわたることはできないし、舟でわたれたところで、陸にいる骨軍団から攻撃されて全滅するのがオチだろう。

 だからこそ、ハイデリクは真っ向から偽勇者と対峙する。


「私は、聖城騎士のハイデリク・ホーマーだ!」


 名乗りを上げる。

 どんな敵だとしても、騎士として礼節は忘れない。

 ――どんなときでも騎士であれ。

 その信念こそが、くじけそうになる心を奮い立たせる。


「問おう! 君たちは何者だ!」


「くくく……見てわからないのか?」


 ハイデリクの問いに答えたのは、偽物の勇者だった。

 水色の拡声器メガホンのようなものを通して、不敵な笑いとともに告げてくる。


「俺たちは――勇者パーティーだ」



   ◇



「――撃てッ!」


 俺たちがセイントブリッジに着いた頃には、聖王軍はすでに戦闘準備が整っていたようだ。

 ほとんど混乱もなく戦闘の火蓋が切られた。


 かかかかかか――――ッ!


 と、俺たちに向けて、矢が雨あられと降り注ぐ。

 一直線の橋上では、矢から逃げることはできない。その矢雨を抜けたところで待ち受けるのは長槍部隊だ。やはり、橋が戦場になることを最初から見越したうえで準備していたのだろう。

 しかし。


「――無駄無駄無駄ァッ!」


 聖剣の台座で矢雨を弾きながら、セイントブリッジを突き進む。

 いくらか矢を撃ち漏らすが、問題はない。


「とぅ!」


「……【空間操作】っ!」


「ひぃぃぃっ!?」


 プリモが腕を剣に変形させて矢を斬り裂き、ミコりんが固定空間で結界を作り、ラフリーゼが悲鳴を上げる。

 そうして、全ての矢が一瞬で無効化された。


「いや、これ私が戦場に出る必要ありますか!? 完全にいらん子ですよね!?」


 ラフリーゼがなにやら必死に叫びだす。

 が、無視する。

 俺はノンストップで前へと突き進む。



「ふははははッ! これが聖剣の台座の力だぁぁ――ッ!」



「な、なんて台座だ……ッ!」「止まらない……ッ!」「矢が尽きるぞ……!」


 聖王軍との距離がどんどん縮まっていく。

 それにともない、聖王軍の間に動揺が広まっていく。

 と、この状況を見て、不利だと判断したのか。



「……退け」



 早くも、大将らしい聖城騎士が前に出てきた。

 先ほど話しかけてきたやつだ。

 重鎧の上から純白の騎士外套サーコートをまとい、その手には身の丈以上もある十字剣がいとも軽々と握られている。

 その横に並べられるのは、移動式の大型弩砲の群れだ。


 ――剣聖ハイデリク・ホーマー。


 聖王国最強の聖城騎士にして、勇者にもっとも近い男。

 そして、彼こそが『“剣聖”の異名を持ち質量を自在に操る高貴なる男騎士』と称されたハイデリクさんだった。





――今、オレ達は……ポイント評価と一緒に戦っている!



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