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天狗の同級生  作者: 桜本 結芽
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第4章 黒幕の動き

 今日も普段通り学校へ行くために道を歩いている美鈴達5人を雀の目と同化して覗いていたその〔男〕は、真っ暗な部屋の真ん中にある円形の机の中央に立って上にあるライトで照らされニヤリと笑うと、円の外側に座り中央にいる彼よりもさらに薄いライトに照らされた長老会6人の前で跪くと、

 「笠岡 美鈴……やはり我々の計画には邪魔な存在のようです、早々に消すことを推奨いたします」

 と言うと長老会のうち上座にいる男は厳かな面持ちで、

 「お主の術を疑っている事は無いが、あの小娘を消すのはまだ早いと思うのだが?」

 そう尋ねると中央の男は小さくため息をつき不敵な笑みを浮かべると、

 「お言葉ですが、この機を逃すと彼女はさらに力をつけ抹殺が困難になってしまいます……動くのは我々下の者です、どうかお聞き届けを」

 と言うと上座から3つ目のイスに座っている顔に大きな傷がある男が眉根を寄せながら、

 「あのガキが急激に力をつけるとでも言いたいのか?」

 そう聞くと中央の男は頷き次は真剣な面持ちで、

 「ええ、彼女は笠岡家歴代最高の魔力の持ち主です、まだ術を全て覚えていないうちに消さなければ我々の組織が壊滅する恐れもありえます」

 と言及すると机の外側に座っている6人はザワついたので男はさらに、

 「今だけでも、私に指揮権を頂けませんか? 必ず笠岡家を壊滅へ導きます」

 低頭しながらいうと先程とは違うかなり太った男が机を力いっぱい叩きつけてから、

 「ふざけるな‼ 最近幹部に成り上がったばかりの貴様に指揮権を渡せるはずがないだろう!?」

 そう怒鳴るが男の鋭い眼光で睨まれると小さく悲鳴を上げ大きな身体を委縮させるとそれを見計い男が静かな口調で、

 「この実力主義の組織内でこの地位まで上り詰めた私の力を、疑うおつもりですか……?」

 とさらに鋭い眼光で見回すと6人は居住まいを正してからリーダー格の男が、

 「分かった……今から君に笠岡家陥落作戦の指揮権を譲渡する、存分に暴れ笠岡の名を地へ落とせ、さもなければ命はないと思え……いいな?」

 威厳に満ちた態度と声で命令すると男はまた跪き、

 「御意‼」

 そう言ってその場を去った。


 そして“緊急会議”が終わった男はため息をつきながら窓のない廊下を歩いていると後ろから、

 「サネさん!」

 と大きな声で名前を呼ばれ振り向くと奥の方から部下の赤金 佐二郎がこちらに駆け寄って来ていて、《サネ》こと秋札 羽紅の前で止まると満面の笑みを浮かべながら、

 「会議はもう終わられたんですか?」

 そう尋ねると秋札はタバコに火をつけながら、

 「ああ、今日から笠岡の件は俺が指揮することになった、お前は一秒でも早くそれを他の奴に伝えろ」

 タバコをくわえながら言うとズボンのポケットから飴玉を出し赤金に渡すと彼は素直に受け取り袋を開けて口に頬張ると嬉しそうに返事をした後少し心配そうな顔に変え、

 「最高幹部になってからタバコの本数増えてませんか? やっぱり身体によくないです……」

 と言うと秋札は気にも留めないように鼻で笑うと、

 「ふん、これくらいどうってことねぇよ、俺を他の奴と一緒にすんな……それに外で吸ってみろ目が節穴でバカな警察に外見だけで補導されちまうんだ、ったく……顔も知らねぇ両親を恨むぜ」

 タバコの煙を長く吐きながら愚痴をこぼすと赤金は気づかわし気に、

 「た、たしかに……サネさんは何もしないで立っていたらほぼ女子中学生ですもんね……今年で36歳でしたっけ? 羨ましいなぁ」

 そう言うと秋札は赤金を睨みつけながら、

 「うっせぇ、俺は見た目40代のくせに実年齢21のお前に同情するよ」

 と言い返すと赤金は半泣きで秋札にすがるように、

 「サネさん……それはないっすよ……俺さっき部下に30代まで若返ったって言われて有頂天だったのに……」

 そう言うと秋札はため息をつき赤金の肩を軽く小突いてから、

 「わるかったって、大の男がピーピー泣くんじゃねぇよ」

 と言いまた歩き出すと赤金はスッと泣き止み秋札の後ろを笑顔で歩きだし廊下の奥へと消えていき、その頃まだ長老会のメンバーは残って討論を繰り広げていて、先ほど秋札に噛みついていた太った男が眉をひそめながら、

 「やはりあの男に全て任せるのは危険ではないか? たとえ強くともあの幼い容姿だと限られた範囲でしか動けないはずだ」

 そう上座の男に進言すると斜め向かいの細長い体型をした男が、

 「ご自分が気迫で負けたからって部下を卑下するのは良くなくってよ?」

 ピンクの羽根が着いた大きな扇子を顔の前でゆっくりと前後に動かし見下した目つきで言うと太った男は怒りに我を忘れ立ち上がり、

 「なんだと……? 俺があのガキみたいなヤツに負けたといいたいのか!?」

 と怒鳴ると扇子の男は鼻で笑いながら、

 「少なくとも先ほどは」

 そう言うと太った男はさらに怒り顔を赤くしながら、

 「だまれ! このカマ野郎‼ 今すぐその口潰してやる……‼」

 と大声で言って魔法を使いかけた瞬間扇男の横に座る老人が、

 「静まらんか! お主らこの場をどこだと思っておる⁈ それにわしらの立場を少しは考えんか、バカ者どもが‼」

 そう一喝すると2人は黙り込み座るとそれを見据えた最年少で長老になった青年が挙手をしてから、

 「僕はあの人を一度笠岡の次期当主に接触させればいいと思うな、彼は実年齢よりはるかに若く見えるし、性別や経歴を偽装して潜入させ気を許した所を潰せばいいんじゃない?」

 と微笑みを絶やすことなく進言すると上座の男が頷き、

 「それは良い案だ……さっそく秋札に伝えろ、邪魔な芽は早々に摘んでしまおう」

 そう言い立ち上がると左拳を右胸に当てながら、

 「我が魔術に狂いなし‼」

 と大きな声で言うと他の5人も勢いよく立ち上がり左拳を右胸に当て同じ言葉を唱えた。

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