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ギャルゲー×妹

 妹とギャルゲーをやる......そんな兄っているのか?

 ......あ、俺がそうでした。


 薄暗い部屋の中、選択画面とにらめっこしている水月を微笑ましく思いながら眺める。

 時間は、すでに0時を過ぎようとしており、ストーリーはやっとラストスパートまで来た。

 ちょうど今は、主人公がヒロインに思いを伝えようと、夕焼けに染まる教室にいる場面だ。

 

 ......まぁ、普通はこうして告白して、付き合うなりフラれるなりするんだろうな。


 ゲーム機から流れるBGMや音声を聞き流しながら、昨日の美也との会話を思い出す。

 あの時、俺は『2次元のお前に告白する!』なんてこと言ったけど......結局自分自身で、何がしたかったのかさっぱりだ。

 そもそも2次元と3次元を合体させるってなんだよ。


 と、ゲームの画面を見てふと気が付く。

 イラスト......そうだ、2次元のイラストにしてもらおう。

 そうすると、俺じゃかけないな......学校に都合よくかわいいイラストを描ける人がいるかな。


 残る問題は、どうやって2次元に告白するか。

 特殊な力に目覚めて2次元にダイブできるなら早いんだけどな......。

 でも、現実というものは残酷なもので、そんな力は存在しない。 それくらい俺でもわかる。

 だからこそ、こうやって恋愛ゲームをしたり、グッズを買ったりしてどうにか欲求を解消しているっていうのに―――。


 恋愛ゲームをしたり......?



 何かアイデアが、自分の頭の中をフラッシュライトのように思いつき、再び暗闇に隠される。

 なんだろう。 あと少し......あと少しで思いつく気が......ぐぬぬ。


 

 拳でこめかみをぐりぐりとしながら、唸る。

 こうやってやると、忘れてたりしたことが思い出したりするのだ。



「にーちゃん......どうしたの?」


「み、水月......二ーちゃんは今、重大なことを思い出そうとしているのだよ......」


「じゅ、重大......」



 水月が、ごくりと喉を鳴らし生唾を飲む。

 ......相変わらずノリがいい妹だな。



「それって......このゲーム裏エンドッ!?」


「違う」


「ちぇっ......で、にーちゃんは何を思い出そうとしてたの?」


「あー......なんて言えばいいんだろうなぁ。 2次元のキャラに告白する方法?」


「は? ......えっ?」



 さっきまで、穏やかな顔をしていた水月は一変して真顔になり、不審者を見るような目で俺を見てくる。

 こ、こいつ兄とギャルゲーをやるくせにこういうのは、引くのか。

 実の妹に本気で引かれて若干......いや、絶望するまでのショックを受ける。

 


「ま、まぁ? にーちゃんが、キモいことを言うのはよくあるし? き、気にはしてないけどさ......大丈夫?」


「余計な御世話だよ!」



 本気で心配してきた水月に怒号を飛ばし、ゲームの画面に目をやる。

 場面はいつの間にか、告白シーンへとなっており主人公がどうやって告白するかという選択肢が浮かんでいる。

 ......そうか。 そういうことか。



 先ほど一瞬だけ、頭の中をよぎったことがくっきりと浮かび始める。

 ゲーム......そう、恋愛ゲームを作れば告白ができる、と。

 

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