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告白は突然に

すいません時間かかりました。 今回このようにやったのは自分のわがままです。

改稿前の方も捨てがたい。 だけど改稿あとの方もいい。だからこのようにしました。どうかご了承ください。

 夕暮れに染まる教室。

 室内は、シンと静まり返っており外からは、グランドを走り回るサッカー部や野球部の替え声がいつもより騒がしく聞こえる。

 教室には、一人の男子と、その隣で本を読んでいるミルクティーのような淡い茶髪の女子が机を一つ挟んで、対面するようにして座っていた。

 互いに自分自身だけの時間を過ごしているようにも見えて、どこか二人だけの空間を作っている。

 

 と、突如として、男子は勢いよく、席を立ち上がり決意した眼差しを女子に向ける。


 

「俺は......俺は、お前のことが好きだッ!」


「は?」



 数十分前―――



 むむむ......非常にまずい。

俺は、眉間にしわを寄せながら携帯の画面を眺める。

写っているのは、とある絵描きさんが描いた2次元キャラのイラストだ。

何がまずいって......今、目の前で読書に耽っている幼馴染の美也に似ているからだ。


 俺と幼馴染の美也は、生まれてからほとんどと言っていいほど、一緒に毎日を過ごしている。

 休みの日に至っては、二人でどちらかの家でだらけながら、喋ったり、本を読んだり、ゲームをしたりもしている。

 まぁ、俺には妹もいるから、こうして一緒に居ても何ら問題はない。

 特に、恥ずかしいとか思ったこともないし......なんというか、そういう相手として意識したこともなかった。


 だが、今はどうだろうか。

 この絵の所為なのか、それとも俺は2次元オタクのくせして未だ三次元に幻想を抱いている中途半端なやつかもしれない。


 ......いや、そんなわけない。


 俺は頭を左右に振り、何とかその考えを否定する。

 

 そうだ。 俺は、3次元にそんなものは求めていない。

 2次元の嫁たちがいれば何ら問題ないッ。


 だ、だが.......。


 俺は、もう一度キャラと美也を交互に見比べ、思わず頭を抱える。


 く、くおぉぉ.......な、なぜだッ!?

 なぜ、俺がこんな切ない思いに駆られなければいけないんだッ!?

 

 低いうなり声を上げながら、教室の床の上での賜わっていると、いつの間にか美也が怪訝な表情で俺を見下ろしていた。



「......何やってんのさ、颯太」


「あ、い、いや。 大丈夫、問題ない」


「大ありだよ」



 鋭いツッコミを受け、後ずさりする。 心なしか、目つきがいつにもまして冷たいような気がする。

 美也は、深い溜息をつきながら、ジト目で俺を再び見下ろし、本にしおりをつけて机の上に置いた。



「なんか悩んでるのかい?」


「別に悩んでない......」


「嘘だね」


「うっ......」


 

 すべてを見透かしているような視線に、思わず目を逸らしてしまう。

 だが、美也はそれを許さない。

 グイッと、俺の顔を正面に強制的に向けさせ、じーっと覗き込むようにして目線を合わせる。

 は、恥ずかしい......。


 ......恥ずかしい?


 いつも一緒に過ごしていたのに、恥ずかしいのか......?

 だんだんと、頬が熱くなるのを感じ、思わず手を払って無理やり美也のもとから脱出する。

 


「ほら、やっぱ何か隠してる」


「か、隠してねーよ!」



 火が出るほど熱くなった顔を、手で隠しながら、大声で否定する。

 お、俺が3次元に恋......? しかも、美也に? ......うそだ。 ぜ、絶対にありえない。

 あってたまるもんか。



 思い出せ、福谷 颯太。 俺は2次元オタクだ。 どうしようもなく救いようもないほど2次元の嫁たちを溺愛し、金を貢ぐ2次元オタクだッ!

 

 美也は、妹同然の存在だし......可愛いなんてちょっとしか......ほんの少し思わなくも.......。


 自分で自問自答を幾度も繰り返し、ようやく決断を出す。

 

 ......行動すれば俺は変われるのか......?

 


「俺は――ッ!」



 そして、今に至る。



「え? それってさ、君が僕の事を好きだって言う事かい?」


「へあっ!? そ、そうなのか?」


「そうなのかって、君が言ったじゃないか」



 眉を顰める美也に俺はハッとする。

 し、しまった......行動するのはいいが、改めて思ったら無理だ。 3次元無理っ!

 自分自身で取り戻しのできないことを言ってしまって、今更ながら絶望してしまう。

 と、とりあえずここは何とか言い訳を―――。


 言い訳をするために考え始める。 が、出たのは、言い訳ではなく一つの答えだった。


「いや、違うぞ美也」


「違う? けど今、僕の事を好きだと言ったじゃないか」


「言った。 言ったとも......だけど、俺は3次元は愛せない......」


「知ってるさ。 もう何年も前からね」



 聞き飽きたと、言わんばかりに長い溜息を美也はつく。

 

 

「だから、俺は.......2次元のお前に告白するぞ!」


「いや、意味わからないんだけど」



 3次元が許せないのなら、無理矢理2次元にしてしまえば問題ない。

 自分の世界である、2次元に引き込んでしまえば、俺の3次元アレルギーも関係ない!

 それが、俺の本気の答えだった。

 

読んでいただきありがとうございます!今のところストックは3話まで......短編を最近書きたいと思い始めました。

出てくるキャラクターは改稿前と同じです。

今後ともヒロインルートをお願いします。

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