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試練のダンジョンと金の力6

(この後ってこの後!?ってことはつまりそれっエンジョイ!と、都会は進んでる!)


「ギルガメッシュさん?」


「あ、ああ。空いてます。行けます。大丈夫です!」


「そうですか。じゃあ新規探索者への講習を受けるんですね?」


「はい、講習でもなんでも行きま、講習?」


「はい、講習ですよ。あっ、因みに講習料は金貨三枚です」


 まるで狐につままれた人のような顔をしてフロリアを見つめる。フロリアは新規の探索者にいつもやるように同じ対応をする。


「あっ、登録料まだ頂いてませんでしたね。登録料も合わせて3ゴル5シルのお支払をお願いします」


「あ、はい」


 ギルはフロリアの自然な態度につられてお金を支払う。


「はい、確かに。えっと、ちょっと待っててくださいね」


 そう言い残しフロリアは席を立つ。後に残されたギルはフロリアがいた空間を見つめていた。


「主よ、男女の機微というものを私は正確に理解できるわけではないがどこにも主が期待する要素はなかったと思うぞ」


「……思春期の男の子はな。年上のお姉さんに優しくされるとコロっといっちゃうんだよ。わかるかな?ゴンちゃん」


「我は剣故、わからぬ。すまない」


「……そっか」


 それから数分、ギルは虚空を見つめ続けた。





「お待たせしました、ギルガメッシュさん。今確認してきたのですが、指導を行える方が残っていたので今からでも講習を受けられます。すぐに講習を受けられますか?」


「えぇっと。その前に講習って何なのか聞いてもいいですか?」


「ギルガメッシュさん?先ほどちゃんと聞いてなかったんですか?簡単にですが説明しましたよ」


 フロリアはジト目でギルガメッシュを見つめる。


「いやその。ははは」


「もう。ちゃんとお話は聞かないといけません。めっ!……でも、私の話をちゃんと聞いてくれない人、よくいるのよね。どうしてかしら」


 フロリアはギルの頬を突きながら悩ましげに頬杖を突く。


(もしかして、これ素?そういう所だよ!そういう所にコロっといっちゃうんだよ男ってぇぇぇぇぇぇって言いたい!でも言えない。いや、言わない。なぜならほっぺ突いてほしいから!)


「って、ギルガメッシュさんのほっぺ突いてる場合じゃなかった。講習がどんなものかでしたよね」


 ギルの下心が滲み出たのかフロリアは突くの止めて説明を始めた。


「講習っていうのは現役、あるいは引退した探索者の方が新米の探索者さんに冒険の心得をレクチャーしてくれる謂わば勉強会みたいなものです。ダンジョンでの立ちまわり方は勿論、お役立ち情報なんかも教えてもらえるので新人の探索者さんにはお勧めをしているんですよ」


「それは良いですね。ダンジョンの知識とか全く無かったので有難いです。それで講習を受けるにはどこにいけばいいんですか?」


「準備をしたら来ると言っていたのですぐに、あっ!リンドさんこっちです!」


 大きな声で手を振るフロリアに向かって歩いてくる一人の男。背は高めでがっちりしており髪は長めで黒めの茶色。口の辺りを隠すタイプの外套(がいとう)を纏っていてなにより目が鋭い。


「あっ、あの人が指導して下さる人ですか?」


「はい。現役でBランクのリンドさんですよ」


(目が怖えぇぇぇぇぇ。めっちゃこっち見てるぅぅぅぅぅ)


「……こいつが希望者か」


「はい、そうです。ギルガメッシュさん、こちらがリンドさん。ギルガメッシュさんの担当をして下さいます、ね?」


「あぁ……」


 フロリアにそう言われリンドがこちらへと顔を向ける。ただそれだけだというのに得体の知れない圧のようなものを感じる。


(無理無理無理。フロリアさん無理です。これ死んじゃう奴です!気付いて!)


「おい、新入り」


「はっ、はいぃぃ!ぎ、ギルガメッシュって言います!ギルって呼んでください!よろしくお願いしますっ!」


「……場所を移すぞ。来い」


「えっ?あ、ちょ、ちょっと待って下さい」


 リンドはギルにそう告げるとすぐさまギルドの出口へと足を向ける。慌てて後を追うギルを見ながらフロリアは微笑み手を振る。


「いってらっしゃーい。頑張ってくださいねー」


 逝ってきます、とも言えずギルは先を行くリンドを追いギルドを出るのであった。





「あ、あのーリンドさん。そのどこに行くんですか?」


 ギルドを出て数分、行先も告げられずにリンドの後ろを歩くギルは少し不安になりリンドへと尋ねた。


「……ついてこい、そう言ったはずだ」


「は、はい。すみません」


 後ろも向かずにそっけなく返しリンドは先へ先へと進む。ギルドのあった大通りから離れて小さな通りへと抜ける。大通りのにぎやかさは鳴りを潜め、通行人も少なくなっている。どんどん人の目の届かないような場所へと進むリンドにギルは不安しか感じられなかった。


(だ、大丈夫なんだよな?ギルドの紹介だから信じていいんだよな?フロリアさんっ信じていいんですよね?この方目すっごい怖いけど良い人なんですよねっ?ねっ?)


 あらあらうふふと微笑んでいるフロリアの顔が浮かぶがそんなものはなんの役にも立たない。もういっそのこと逃げてしまおうか、いや相手はBランク。走って逃げても……などとギルが考えていると不意に声をかけられる。


「おい、ついたぞ。どこへ行く」


 キッと目を細めてリンドがギルを見つめる。


「いやその。すんませんっしたっ!!ちょっと考え事してまして!いえ決してやる気がないとかそんなことは無いので、許してください、オナシャッス!!」


 ギルはリンドの目線から逃れるように勢いよく頭を下げ謝罪する。しかしリンドは特に興味もないのかそっけない。


「……頭を上げろ。着いたぞ、ここだ」


 言われた通りにギルが頭を上げるとそこには簡素な木の門があった。門からは取りあえず囲んでいますと言わんばかりの安っぽい塀が続いており所々欠けている所もある。門にはギルド関係者以外立ち入り禁止と書いてある立て札があるが鍵らしきものはない。


「あの、ここは一体?」


「訓練所だ。簡易的だがな。……通りに人が少ないのはここに用があるのは探索者くらいしかいないからだ」


 蛇を睨むカエルのような目つきでリンドは言う。まるで疑っていただろと責めているかのようだ。


(いやいやいや待って待って。誰だってビビるって。疑うって!!)


 とも言えずギルはリンドへ愛想笑いをする。へらっと笑うギルをじっと数秒見つめリンドは何か確信したかのように二度三度頭を上下する。


「まぁいい。とにかく入るぞ。来い」


「は、はいっ」


 スタスタと歩き出すリンドをギルはまた慌てて追うのであった。



金貨がゴル、銀貨がシル、銅貨がブロズ、鉄貨がアイン。という設定が一応あるんですが、多分この先ほとんど使いません

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