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始まり

よろしくお願いします。

 一人の少年が何かに導かれるように歩いている。道らしい道もない森の中、それでも少年の歩みは止まらずしっかりとしている。まるで本当に見えない何かが導いているかのように。


(間違いない。確かに聞こえる。(きん)の音だ。)


 少年はその何かに近づくたびに確証を得ていた。自分が聞いているこの音は間違いなく金と金がぶつかり合って鳴り響く音なのだと。しかし少年はそこで一つの疑問を持つ。


(でもこの寂れた村に、金の音が鳴り響くことなんてあるか?)


 少年が生まれ育ったこの村は、どこにでもよくある田舎の村だ。人が多いわけでもよそと比べてなにか目立った特産品があるわけでもない、ごく普通の田舎の村だ。故に豪商と呼ばれるほどのお金をもった商人などが来ることはまずない。一度だけ少年に金貨というものを見せてくれた商人はいたがその商人でもこんなに沢山の音が鳴るほどは持っていなかったし、村長ですらここまでの蓄えは持ち合わせていないだろう。

 ならば一体誰が?少年の頭の中に疑問が浮かぶが答えはでない。この寂れた村は富とはかけ離れた場所。景気の良い音などありはしない。もしかしたら富を求める少年の幻聴なのかもしれない。この先に待ち構えるものは絶望かもしれない。それでも……


(確かめないといけない。お金を手に入れるための苦労ならなんでもする)


少年の歩みは止まらない。少年が求めるただ一つ、富を得るために。

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