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老人と老婆

評価頂きました('ω')ありがとうございます。

 なんやかんやで魔王に勝利して新しい魔王となったオオカネ・ミツナリだ。これまでの話を簡単にまとめると、勇者の召喚に巻き込まれてクラス全員で異世界へやってきた。

 しかし、召喚されたその日に俺は小さな光る花によって魔王の下へ飛ばされ、魔王に雑務のバイトを押し付けられ、魔王のスキルによって隷従のジャッジメントに勝利し魔王の主人となった。


「なんなんだこの状況」


 もともと魔王がいた部屋に戻った俺は頭を抱えながら赤絨毯に座り込んでいた。


「若者よ。大志を抱け」

「いやいや。魔王様に言われても」


 俺が疲れてる原因お前だから。


「魔王様、お帰りになられたでしょうか?」


 俺がなぜか元凶に慰められていると、扉の向こうから女性の声が聞こえてきた。


「うむ」


 魔王様は返事をするなり巨大化して、椅子へと座った。俺はというと、この場にいてはいけない気がして柱の後ろへと身を隠した。


「失礼します」


 入ってきたのは黒い羽にボンテージを来たナイスバディ―の悪魔美女だった。


「そろそろ会議のお時間です。皆さん集まっております」

「わかった。すぐにいくので待たせておけ」

「かしこまりました」


 悪魔美女が部屋から出ていくと魔王はだらけた爺に逆戻りしていた。


「ふぅーめんどくさい会議なのじゃ」

「会議ですか、大変ですね」


 魔王の呟きに労うように声をかけると、俺の存在を忘れていたのか、爺が驚いた顔から悪い顔になった。


「そうじゃそうじゃ。今日からワシは魔王を引退して、主を魔王に雇ったのじゃった」

「はっ?」

「主はこれから魔王となって会議に出るのじゃ」

「エェー無理ですって」

「無理じゃないのじゃ。主は我のあるじなのじゃ」


 なんか勝ったのに理不尽なことを言われている。


「無理無理無理。だいたい皆さんノーマルを恨んでるんじゃないんですか?俺異世界人ですけど。結局見た目ノーマルですからね」

「確かにそうじゃの。ならば、これを着るのじゃ」


 どこから出現したのか、禍々しい漆黒の鎧が出現する。兜には巨大な角が生え、トゲトゲした物がやたらと鎧から飛び出している。


「なんか、スゲー重そうなんですけど」

「主はワシの補正を受けておるのじゃろう。大丈夫じゃ」


 なにやらむちゃくちゃなことを言われている。


「とにかく着るのじゃ。首脳たちが魔王を来るのを待っておるのじゃ」

「いやいや。誰が誰やらわからなんですけ」

「魔王じゃから、「うむ」か「ならん」の二言だけ言ってればどうにかなのるのじゃ」


 こうして、俺は強引に漆黒の鎧を着せられて無理矢理部屋の外へと出された。漆黒の鎧は来てみれば吸い付くようにピッタリサイズで、さらに魔王補正のお陰か重くもなかった。そんな鎧に驚いて部屋の外に出ると、悪魔美女さんが待っていた。


「お待ちしておりました。会議室には私めがご案内させて頂きます」


 頭を下げた悪魔美女さんの谷間がヤバい角度で見えている。


「ふむ」


 俺が発した声はどこから出ているのか、渋く低い声だった。俺の声に頷き悪魔美女さんが歩き出す。


 なんだかスゲーエロイ姿した美女がお尻を振りながら目の前を歩いて行く。思春期の男子高校生にこの光景はヤバいだろ。


「隷従のジャッジメント」


 こんなの使わない方がおかしいでしょ。悪魔美女と俺の間に、先ほど魔王が使った時と同じようにジャッジメントが現れる。一つ違うのは厳格な裁判官ではなく、裁判官のコスプレをした赤ん坊が座ってた。


「勝負でしゅ」

「魔王様、なんのお戯れでしょうか?」


 悪魔美女が困惑したようにこちらを振り返る。俺は無言を貫く。代わりに召喚したジャッジメントがルールの説明を終えてくれた。


「いざ」


 俺の開始の合図で、ジャッジメントがリズムを発する。


「ジャッケン ポンでしゅ」


 ジャッジメントの発言に悪魔美女はパーを出す。俺は迷わずチョキを出した。


「あっ」

「勝者、魔王」


 どうやらジャッジメントは俺を魔王と認識しているらしい。さて、どんな命令をしようかな。


「命令を一つだけ聞かせることができます」


 どうやら器用貧乏の影響か、絶対服従ではないらしい。一つだけ命令できるか。いきなりオッパイ揉んでも絶対嫌われるだろうな。


「戯れだ」


 ハッキリ言って年上のお姉さんにオッパイ揉ませてくださいとか言えんでしょ。


「……そうですか」


 悪魔美女は戸惑った顔をしながらも案内を開始した。


「こちらになります」


 案内された扉を通って会議室に入ると異様な景色が広がっていた。頭に角や木が生えている者。虫やら獣の顔をした者。白や黒、果ては透明な羽を生やした者までいる。


「「「魔王様、ご機嫌麗しゅうございます」」」


 全員が立ち上がり魔王である俺に頭を下げる。これはこれで心地いい。漆黒の鎧を着てから怖さがない。小心者が封印されたような気がする。


「ふむ」


 俺は一番奥にある椅子へと腰を下ろした。そして、一同の顔を見て気付いたことがある。


 みんな、爺様婆様ばっかじゃねか。


 そう、各部族のお偉いさんは魔王の爺さんと同じで老人や老婆ばっかりだった。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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