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ステータス

 風呂とトイレ、寝る部屋を確保したところで、今日の掃除を終えた。食事はイマリが用意してくれたものを全員で食べて空腹を満たした。


「保管していた物ではなく、食べられる物を簡単に調理をさせて頂きました」


 腹が減っていた俺には十分な美味さだった。果物は焼くことで甘さを増し、木の実も煮たことで柔らかくなっていた。素材の味しかしないが、空腹こそが最高の調味料とは良く言ったものだ。


「飲み水は良いとして、食べる物や調理する道具とかも何とかしないとな」


 三人で固まって食事をしていると、マサキが呟くように言った。


「そうだな」


 それに応えるトシは短く返事をする。


「やることは山ほどありそうだな」


 なぜかやり甲斐ありそうな顔で楽しそうに笑う?そんなマサキにため息を吐きたくなる。夜中になり、疲れて眠る者や、遅くまで語り合う者など様々な過ごし方の中で、俺は一人になれる場所を探して階段を下りた。城と言われるだけあり、数階に分かれる建物を下っていけば出口までやってきていた。

 

「外に出るのはまだ怖いな」


 動物はいないと言っていたが、どんな危険があるかわからない。


「まだ階段があるのか?」


 一階までは月明りが城の中を照らしてくれたので明るかったのだが、降りる階段には光が届いていない。


「行ってみるか」


 ポケットに入っていたスマホの電源を入れてライト代わりにする。怖さもあったが、動物がいないということで、怖さよりも好奇心が勝った。

 夜ということもあり、光のない地下は本当の暗闇が続くばかりで、ライトでも足元は見えない。手の感触から木の根っこらしきものを手すり代わりに地下へと進んでいく。

 しばらく階段を下りていくと、終着点についたようだ。ボンヤリと奥に光のようなものが見える。


「なんだ?」


 光を求めるように部屋の奥へと入っていけば、大量の木々が生える地下は足場が悪く何度も転びそうになる。

 生物、虫も動物もいないと聞いていても頬に木の根が当たれば何かいるんじゃないかとビビってしまう。それでも、なんとかたどり着いた光は小さな花だった。

 白く綺麗な花は光を放ち、たった一輪で地下に咲いていた。太陽の光もないこんな場所で咲く花に、俺は驚き、感動した。


「植物は本当にスゴイな。少し明かりを借りるぞ。ステータスオープン」


 その小さな花の横に座り、俺はステータス画面を開く。


名前・ミツナリ・オオカネ

年齢・17歳

職業・バイトリーダー


スキル・経験値二倍(異世界補正)、言語理解(異世界補正)

個人スキル・器用貧乏、腰巾着、小心者


「スキルの理解を深めたいんだけど。説明とかでないのか?」


 空中に浮いているステータス画面を押すように指でスキルを触る。すると、経験値二倍に触れたとき画面が変わる。


【経験値二倍】通常得られる経験値が二倍多く得られる。


【言語理解】様々な種族の言語を理解し、自分が発する言葉も変換される。


【器用貧乏】どんなスキルも見ただけで使えるようになる。但し、威力が見たスキルよりも一段階落ちる。


【腰巾着】(相手指定が必要、任意で変更可能)自身が付き従うと認めた相手の能力から補正を受けられる。


【小心者】パッシブスキル。恐がり、ビビり、臆病者。生きることに貪欲で、生へ執着が強い。感知能力、危機管理能力が高くなる。


 全てのスキルに触れると、但し書きのように説明が浮かび上がった。


「なるほどな。これで自分の能力は理解できたな。器用貧乏は案外便利な能力だな。クラスの奴らは個性が強いから、あいつらの能力を全て見ておけば俺は全員のスキルを使えるってことだ。これは便利だな」


 俺は続けて職業欄に触れる。明らかにダメそうな職業だが、器用貧乏や腰巾着のように意外なスキルかもしれない。


【バイトリーダー】ただのバイトリーダー、


「おい!もっとなんかあるだろ」


 名前と年齢は自分でもわかっていることなので、調べる必要はない。鑑定とかで他人のスキルが見えれば便利なんだか、そう都合よくはいかないようだ。


「ありがとうな。お前が居てくれたから心細くなかったよ」


 光り続ける小さな花にお礼を述べて、撫でようと触れる。その瞬間、小さな花は眩い光を放ち、俺は光の放流に飲み込まれた。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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