ステータス 確認
よう、なんだかんだと、勇者マサキを圧倒した魔王オオカネ・ミツナリ様だ。先に言っとく。昨日は酔ってた。酔った勢いで勇者圧倒してたよ俺。確かに魔王補正やら漆黒の鎧の力でパワーアップしてるとは思うんだよ。
しかも酒の力でいつもより強気になってたしね。でもさ、勇者圧倒できちゃうかな?俺の体ちょっとおかしくね?どうなってるのか気になるよな。俺もめっちゃ興味あるわ。
ということで久しぶりに俺のステータスを確認しよう。
名前・ミツナリ・オオカネ
年齢・17歳
職業・魔王のバイト中
加護・世界樹の加護
スキル・経験値二倍「異世界補正」、言語理解「異世界補正」、鑑定「スキル」、交渉、探索、地図、錬金術、錬成、肉体強化、攻撃力強化、防御力強化、武器強化、防具強化、魔力強化、魔防強化
個人スキル・器用貧乏、腰巾着(対象魔王)、小心者、魔導砲、隷従のジャッジメント、巨人化、瞬間移動
装備・漆黒の鎧
これぞチートってやつか?とりあえず新しく増えたスキルを見ていくか。
【世界樹の加護】器用貧乏の補正。どんなスキルも自分用に変換して使えるようになる。また、劣化版であったとしても本来の力に近い能力を引き出せる。
【鑑定「スキル」】他人のスキルを鑑定することができる。劣化版のためスキル以外見れない。
【交渉】物の売り買いの際に値切り交渉できる。劣化版のためそれほど大きな値切りはできない。
【探索】ダンジョンや戦闘時、隠された物や通路、隠れている敵や罠を見つけることができる。劣化版のため見つけられる確率が低い。
【地図】ステータスを開いた際に世界地図を見ることができる。劣化版のため自分の行った場所しか見れない。
【肉体強化】肉体強度を十倍まで上げられる。劣化版のため五倍まで。
【攻撃力強化】攻撃力を十倍まで引き上げられる。劣化版のため五倍まで。
【防御力強化】防御力を十倍まで引き上げられる。劣化版のため五倍まで。
【武器強化】装備している武器の強度、攻撃力を十倍まで引き上げられる。劣化版のため五倍まで。
【防具強化】装備している防具の強度、防御力を十倍まで引き上げられる。劣化版のため五倍まで。
【魔力強化】魔法攻撃をする際、魔法の威力を十倍まで引き上げられる。劣化版のため五倍まで。
【魔防強化】魔法攻撃を受けた際、魔法の威力を十倍まで引き下げられる。劣化版のため五倍まで。
【魔導砲】HP、MP、SPを攻撃に変換してエネルギー弾として打ち出せる。劣化版のためSPは変換できない。
【巨人化】肉体を百倍まで大きくできる。劣化版のため五十倍まで。
【瞬間移動】特定の場所へ時間を超えて移動できる。劣化版のため自身の行動した場所、見える範囲のみ。
【漆黒の鎧】魔技工士ダッビチが作り出した作品。魔界の石でもっとも固いと言われる黒曜石で作り出した鎧であり、ダッビチの魔力が込められているので意思を持ち成長する鎧である。
魔王と共に様々な戦場を戦い抜いてきたため、鎧は様々な能力を開眼している。
漆黒の鎧のスキル・全魔法属性の耐性、無効化、反射。使用者の環境適応、体力回復、魔力回復、傷病回復、体調管理。鎧の最適化、雑菌、消毒消臭。
呪い・後継者を決めるまで脱ぐことができない。
「呪いは嫌だけど。漆黒の鎧さんだけでも超チートだな。てか、俺が斬るまで魔王の爺さんが毎日着てたのか……ちょっと嫌だ」
俺はステータスを見終わり、ほっと息を吐く。
「なんだ。俺も異世界デビューしちゃったみたいだな。いつの間にか知らんスキルめっちゃ持ってた」
「さっきからあなたは何を言っているの?」
俺がステータスに夢中になっていれば、目の前の捕虜がうるさく鳴いている。
「すまないな。お前の存在を忘れていた」
漆黒の鎧さんに身を包んでいる俺なので、相手は俺がオオカネ・ミツナリとはわかっていない。魔王だと疑っていないだろう。
「あなたがこの世界の王なのよね?」
「そうなるな」
「私はハーヴィー・クロード。私をどうするつもりかしら」
肝の据わったお嬢様だ。この状況でも物怖じすることなく、こちらの眼を見ようと真っ直ぐに兜に包まれた目を見つめてくる。
「我は魔王ベルハザードだ。貴様に問おう。貴様は何者だ?」
俺はお前のことをよく知ってるよ。ハーヴィー・クロード・キサラギ。学校一の超金持ちで超お嬢様。なんでも超をつければバカっぽく聞こえるだろ。でもな、このお嬢様の前では超を付けなければ失礼なほどだ。
ハーヴィーは、主人公であるマサキの彼女だ。見た目は圧倒的で完璧な美少女。お嬢様として恥ずかしくない文武両道から礼儀作法まで完璧に使いこなす本当に超お嬢様なのだ。
「私は異世界人よ。ノーマルじゃない」
おいおい、トップシークレットだろそれ。俺も魔王に会った瞬間に話したけどな。
「ほう、それで?貴様たちの目的はなんだ?どうしてゴブリンたちを大量虐殺したんだ?」
正直に言う。俺は怒っている。俺だって偽善者やらお人好しは大嫌いだ。だけどな、この世界の奴は良い奴ばっかなのだ。
ゴブリンは魔王に感謝してた。ドワーフは自分の仕事に情熱を持っていた。悪魔族は魔王に仕えて世界を平和にするため支えになっていた。世界樹のジュリさんはただ世界の平和を望んでた。
この世界の奴らは魔王の下で、ただ平和に暮らしていただけなんだ。
それなのに、こいつらは農業に勤しむゴブリンたちを大量に殺した。怒るのには十分な理由だろ?俺だって許せないものがある。
「ハァ?ゴブリンは殺すもんでしょ?」
そうか、お前はイマリの言うことを信じて殺したか。
「お前自身の思考はなしか。なら、俺もお前に慈悲を与える必要なないな」
この女に容赦する必要はなさそうだ。
「隷従のジャッジメント」
俺の呼びかけに応じた裁判官は、前に現れた赤ん坊ではなかった。ジュリさんから与えられた世界樹の加護で隷従のジャッジメントが成長していた。
若者だが、大人に成長した裁判官が現れる。
「勝負を始めます」
ジャッジメントがゲームの開始を告げる。この女を俺は従える。
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