動き出した異世界人 3
ゴブリンの街で宿を取ったマサキ達は、洞窟のような作りの部屋と、ベッドとランプが置かれた雰囲気ある宿に、若干テンションが上がっていた。
「なんだか、こういう雰囲気嫌いじゃないな」
マサキの向かいにはトシがベッドに寝そべっていた。マサキとトシ以外の女性陣は四人部屋を二部屋借りて別々に休んでいる。
「ああ、狭く暗いところにいると落ち着くな」
マサキの言葉に普段無口なトシも言葉多めに返してきた。
「だろ。でも、ゴブリンって思っていたよりも怖くないのかもな」
「だな」
二人がゴブリンたちの暮らしに共感している間。女性陣には宿の給仕をしているゴブリン♀がお風呂を勧めに来ていた。
「この辺は温泉が有名なんですよ。お客さんたちも入っていって下さいね」
給仕の話によれば、火山が近くにあり自然が多いゴブリン街は温泉が湧きやすいのだという。イマリの情報網にもこの辺では温泉が多いとデータに残っていた。
「温泉いいな~入りたい。絶対入りたい」
ゴブリン街に着くまで、イマリが用意したグランビングがあったとしても、マトモなお風呂に入れていない女性陣は温泉に食いつき、なかでもハーヴィーはお風呂好きなので温泉という言葉にあがらえずにいた。
「ですが、肌を見せるわけにはいきません。どこに敵が潜んでいるのか分からないのです」
ハーヴィーの喜びようとは逆に、イマリはお風呂に対して警戒心を持っていた。先に伝えた通り、種族の特徴は頭や体に出るのだ。
ノーマルに近い異世界人は、ノーマルと誤解されやすく。また、機械族であるイマリは体の関節を見れば継ぎはぎだらけで身元がすぐにわかってしまうのだ。
「えぇー。お風呂入らないとか無理。絶対無理」
ここに来て我儘お嬢様の気質が出てしまうハーヴィーに、ハーヴィーの護衛役であるツバサが代案を出す。
「では、お嬢様が入浴されている間。私とイマリ殿で風呂場の監視をするというのどうでしょうか?」
「さすがツバサ、分かってる。ツバサが入るときは私が見といて上げるからね」
ようは順番に入ることで他者の侵入を阻むということだ。
「ありがとうございます。イマリ殿。これでどうでしょうか?」
「バレないのであれば、かまいません」
ハーヴィーの喜びようにイマリとしても、これ以上反対することはできないと思った。すぐに折れてくれた。
「じゃあシズカも私に一緒に入ろ」
「えっ私ですか?でも」
「シズカと言えばお風呂でしょ。それにシズカの豊満ボディーも見たいしね。それともマサキ達に頼んで護衛はマサキたちにしてもらう?」
「それは名案ですね」
ハーヴィーの提案にツバサが賛同したことで、ハーヴィーは隣の部屋にいるアイたちを呼びに向かった足でマサキ達に頼みに行く。
こうして女性陣がお風呂に入る間、マサキとトシは警戒するため、マサキは入り口にトシは風呂の外を護衛することになった。
「うわー!露天風呂なんだ綺麗」
洞窟の中に作られた湯船は天井をくり抜いて空が見えるようになっていた。すでに星が出始める時刻になり、空には満点の星空が湯船から眺めることができた。
「ハーヴィー様、お待ちください。露天風呂ということは空から見ている者がいるかもしれません。シズカ、シルエットをお願い」
「わ、わかりました」
シズカのスキルは防御に関係した物が多くある。その中には自らの姿を隠すシルエットというスキルがある。
自分の指定する範囲にシルエットだけを映し出す薄いガラスを構築することできるのだ。
「これで大丈夫ね。安心して入れるわ」
ツバサの配慮で、この時間を貸し切りにすることができた。これでゴブリンたちが入って来ることはない。
「やっぱり、シズカのオッパイ気持ちいい」
誰にも見られる心配もないと思ったハーヴィーが、早速シズカの後ろに回り込み胸を鷲掴みにする。
「やっやめてください」
「よいではないかよいではないか」
Gカップと推測されるシズカの胸は、揉みしだかれることに形を自由自在に変えていく。
「あっあ、ダメです!!!」
ハーヴィーが硬い突起物に触れた瞬間、シズカは顔を赤くしてしゃがみ込む。行き場を失ったハーヴィーは湯船に倒れ込む。
「やっぱりシズカちゃん凄いね」
アイは自分の胸を触りながら、シズカの胸を見つめていた。
「まっ、私はスポーツしてるから胸なんて気にしないけどね」
身長の高いメグは体に対して胸は平べったい。
六人の中でバランスがいいプロポーションをしているのは、ハーヴィーとツバサの二人だ。
ハーヴィーの胸はそれほど大きくはないが、ほっそりとしたモデル体型にちょうどいい胸の大きさをしており、ツバサはハーヴィーを守るために鍛え抜かれた体と、シズカに継ぐ胸の大きさを誇っている。
そして、憂鬱そうな雰囲気でお湯に浸かるサキは、大きさだけは三番目という胸を湯船に浮かべていた。
「お風呂場で暴れないで頂けますか?」
「ごめんね。サキ、でもサキの胸もいいねぇ~」
湯船から蘇ったハーヴィーは、サキに怒られながらも、手の動きは完全に変態オヤジ化していた。ハーヴィーがニヤニヤとサキに詰めよっていく。
「やめてください」
「何もしないよ。何も、ちょっとだけ触るだけだから」
「あぁ!おやめになって」
敏感なサキは、ハーヴィーに触られた途端に艶のある声を出して叫んだ。
「勘弁してくれよ」
風呂場の外で護衛しながら、女性陣の声を聞いていたマサキは、唯々全員の裸を想像して顔を赤くするばかりだった。
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