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短編集 星新一風

とある博士の話

作者: 燈夜

つたない文章ですが宜しくお願いします。出来れば後学の為に至らぬ点をご指摘ください。

 もうすぐ新型ロボットが完成します。

博士は浮かれていました。博士の夢が、もう一歩で叶うからです。

 そして完成した人型ロボットの瞳は赤。人間ではない事の印でした。


「博士、コーヒーです。しばし休憩など如何でしょうか」


 赤目のロボット、メアリーは博士にコーヒーを運んできました。

 それを博士は一口、口にします。美味い。

 インスタントとはいえ、中々のものです。コーヒーを一杯入れて博士の元に持ってくる。人間ならいざ知らず、その偉業を博士の生み出したロボットは易々とこなしたのでした。


 今、博士とメアリーは将棋を打っています。


「博士、二歩です」


 メアリーはすかさず指摘します。

 流石です。素晴らしい。まさに科学の勝利でした。

 メアリーは、博士の生み出したロボットは博士の休憩の相手すら務まるのです。


 そうして数日が過ぎました。

 博士の生み出した至高の人型ロボットたる赤目のメアリー。

 まさにそれは、博士の偉大さを象徴するものでした。



 ◇



 とある夜。

 メアリーの赤い目が瞬きます。


「博士、お客様です」


 博士は唸りました。客の姿も気配もどこにも無いからです。

 ところがメアリーは博士の心配を知ってか知らずか、それでも窓を向いて続けます。


「博士、お客様が参られました」


 それは博士が窓に目を向けたときでした。

 見れば、なんと言う事でしょう。


 緑色に瞬く光。それが博士の目に焼きつきます。

 いつの間にか、何か大きなものが博士の家の敷地に降りてきていたのでした。

 そして、その傍には二つの小さな影。


「いらっしゃいませお客様」


 なんとそれは、黒い大きな目玉を持つ相貌の白い人間型生物でした。その人型生物らは見た事も無いような光る銀のステッキをその手に持っていました。


 間違いありません。あれはプラズマ銃です。武器です。それが哀れな原住民に向けられているのでした。

 

 絶句している博士に変わり、物怖じもせずメアリーは続けます。


「お客様、ご用件をお伺いします」

「fdんヽ(゜∀。)ノウェjこだおskcなおkscまそかかmks」

「左様でございますか」


 博士には二の句が告げません。博士の生み出したメアリーはことのほか優秀でした。なんと宇宙人と会話が成立していたのです。


「博士、銀河連邦からお迎えに上がられたそうです。なんでも人類の新たなステージを博士が切り開かれたと賞賛なされております。その上で博士にお話があると。」


 博士は思います。自分が何か賞賛されるべき偉業を成し遂げたのだろうかと。

 そして思い返します。

 自分が成し遂げた偉業。

 人類を超える知的存在、メアリーの開発です。


「博士、お客様にお茶をお出ししたいと考えるのですが如何でしょうか」

「個dふぁsふぉあsjkふぁぽsfだpそfjk」

「いいえ。どうか、お寛ぎくださいお客様」


 メアリーはステッキを振り回す彼らを宥めつつ、博士に尋ねます。

 そうなのです。メアリーは被造物。たとえ偉大なる博士の成し得た傑作品だったとしても、判らない事があるのでした。

 最終決定権は……そう、全ての事態の責任は博士にあるのです。


 ──たとえそれが世界のピンチでも。

 

 どうしてメアリーの目を赤くしてしまったのでしょう。せめて人間の目に見えたなら、博士にも考える余裕が出来たでしょうに。


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