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七つの星の英雄~僕は罪人~   作者: ミシェロ
第12章「二十歳の約束」
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第129話「鉄裁勲衆」

前回のあらすじ

・アスタロト、ギルシュタインと再会を果たした。

・強行した結果、正星議院の兵士と出くわした。

「名乗ってくれて助かった。こいつら疑念があるとなかなか動かない奴らだからな」


「止められないと本気で思っているのか?」


「どうだかな。実力を図るにはちょうどいいメンバーだと思う」


「降伏しなさい。そうすれば彼女は助かるわ」


 止めてくれるにはうれしいが、やっぱり甘い。自分で言うだけある。


「お前の提示は受け入れてもらえないみたいだな、アスタロト。俺と第二軍はこいつをやる。残りは式場に急げ。すぐに合流する」


「やらせると思うか?」


 渡されていた巻物。中身は魔法としては狂っていた。彼女が作れると言いだしたら、恐ろしい。


 風が外に出ている。濡れるのは勘弁だな。


「突撃―!」


 倒れる兵士。風の一撃が違う。ここまで上手く神経を狙えるとは。


「負傷者は連れて行け。今ので自信が折れたやつは決して手を出すな」


「いや、Kさん止めておこう。アンタらがぶつかったらあいつもさすがに警戒する。キミも彼女を救いたいんだろう?」


「ずいぶん物腰が軽いみたいですね。僕もできるなら戦いたくない。今のせいで何人かは目の色が変わりました。先にお礼を言っておきます」


 対峙してくるか。全員服装が白い。ミカロにとっては味方か。


「落ち着け。そのための正義執行がある。30秒以内に武器をしまえ。そうでないと捕まえる必要が出てくる」


 しまった。妙だ。


「急げ。お前も来るのか?」


「当然です」


 まだ出してこない。望んでいるのか?


 スーツの男も何も不都合は言わない。式場の扉。何がある。


「汝はこの者を未来永劫愛すと」


 全員が振り向いた。飛び出す。


「ミカロ!」


 体が重い。いや違う、動かない。


金髪の男。対称のピアス。双子か。


「正星議院より代理して通達する。ワスポール・ジエール、一緒に来てもらう」


「悪いが後にしてくれないか。予定が詰まっているものでね」


「ならこれが結婚式でないと証明しろ」


「その必要はないよ。それを決めるのは僕たちなのだから」


 ブーツの高鳴る音。男は嗤った。左胸の大陸バッジ。


Kという男の表情が苦くなっていく。


「確かに彼は一般人に比べれば多く結婚している。だがそれはよくあることだ。そうではないかね?」


「では前妻の不可解な事件をどう説明する」


「そこはまだ結論の域ではない。ただ言えることは物的証拠がない以上、この者を捕らえる所以は存在しないということだよ。鉄裁勲衆として現時点での判断を下す。ワスポール・ジエールは無罪だ」


 安堵の声。自分の時でなかっただけまともか。西の正星議院。またの名を鉄裁勲衆。エイビスがそう言っていたな。


「そっちの意見は聞いちゃいねぇ。管轄下は」


「うるさい。手下が何人揃おうとこの決定は変わらない。上のやつにでも聞いてみるといい」


「かはっ」


 あと少し。届け。


 煙。正面のステンドグラスに注がれていく陽光。


 赤長髪の男が僕を見て嗤う。隣には緑髪の男。


「面倒だ。全員を排除しろ」


 駆けだす足音。剣士が斬りかかる。


「わずらわしい」


「泡錠末」


「があああっ!」


 剣の落下音。飛び散る血。僕を見たままだ。風漏れはない。


「おいどうした貴様ら。早くやらんか。私は頭首だ。守れ」


 動かない。壁が見えたか。


 拍手。後ろの男。


「面白い茶番ですね。それに彼女も言ってくれればここまでにはならなかったのに。なかなかに悪女だ」


「ふん、貴様もこの女の男か。あいにくだが」


「そんな生半可なわけねぇだろ。これを見てください」


 殺気が変わった。あの人以上な気もする。


「私も持っているんですよ。許嫁書。本来なら日程更新制ですが、結婚の回数が多いあなたにはその権利を持たない。お判りでしょうか?」


「そんなことどうでもよい。男よ早く接吻を終えよ。気にすることはない」


「我々が終息させる」


 背中の星。安易なファッション、ではないだろうな。


「アムとペルスか。久しいな。また昔のように遊んでみるか? 傷だらけにしてやったときが思い浮かぶ」


 言葉が帰ってこない。さすがに嘘をつかないか。動く。


「ミコトの言うことに間違いはない。だが、スター一族の権威もあるだろう。そこでどうだ、2人は結婚するハズだったが、前日突如として彼女に降りかかった病によって蝕まれ、死に至らせた。悪くないとは思わないか?」


 思うようにもいかないか。見るのは止めだ。


「なんだ、飛びに来たのか?」


 息が苦しい。耐えるしかない。倒れれば腕を取られる。


「もしかすると彼女の知り合いか? 名乗れ、男よ」


 息ができる。どうせスーツたちも知っているだろう。


「シオン・ユズキ。彼女の恋人だ」


 鼻笑い。


「元、だろう? 言葉をはき違えるな」


 突風。信用できそうにない。


 不思議といった顔をしている。


「いつか会った誰かに似ている。思い出せはせんがな。興が変わった。ワスポールよ。貴様が病で倒れる情けと、家や家系が崩壊した情けのどちらを選ぶ?」


「ふざけるなぁぁ! 勝手に私のところへやってきてただで、ぐああああっ!」


「ミカロ!」


 また突風。顔を飛ばさなかった。情報か。


「黒髪、なかなかいい動きだ」


 いつの間に七人にまで。あれを見せられれば気持ちもわかる。


 手に何かが集まっていく。見えない。


 紫色。消えた。

Twitter「@misyero1」で更新情報を確認できます。

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