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七つの星の英雄~僕は罪人~   作者: ミシェロ
第11章「セプタージュ」
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第124話「強いからこそ支配する」

前回のあらすじ

・全員から一人の勝者を決める課題のルール。

・ヒラユギに勝利した。

「シオンはどうするの? 私はできるなら戦いたくないけど」


「そうもいかないさ。セインならきっと攻撃してくる。エイビスと合流しよう。そうしておけば少なくとも出会っても撤退してくれる」


 地震を感じる揺れ。偶発的に起こるはずもない。どこに行ったかと心配していたけれど、そこにいたのか。


 動かない石像。彼女は細剣で僕の頬を突いた。


「見せてもらおうか。どちらが強いかを」


「待ってシオン、相手なら」


「私に任せて」


 ミカロの手を弾き現れた川。形が整うと彼女は拳を見せつけた。


「フェーゼちゃんについてだったら、この中で一番詳しいからね」


 紫電。本人が言ったことなら考えるべきではないか。


「お願いします、ウルカさん」


「うん」


 道に佇む女性とバイク。彼女は僕を見るなり笑った。


「私が相手だよ、シオン君」


 洗脳もありえなくはないか。


「川遊びのときにやった失敗を覚えているかい?」


「本気を出して熱湯で勝負したことだね。あのときママが鬼のように怒っていたよね」


 勘違いか。セインは誰かに協力する質ではないと思ったんだが。


「逃げられるかと思ったけど、もう一人いるみたい」


「そう、できることなら降伏が望ましいけど、自分たちのことを思えば戦うのが無難よね」


 シェトランテ。誰がリーダーとも思えない。身を寄せた方がいいな。ここまでくれば彼女を狙うほかない。


「やらせないよ。光香炊翔!」


 熱い。蒸気か。どちらかと言えば電撃なのか。さっきのようにはいかないか。


「封輪栓!」


 光の物体化。水とほとんど同じか。夕日すら見えない。


「昨日実はセインをソファーに寝かせて俺は床で横になっていたんだが、気づいたか?」


「そんなはずないよ。私が起きたときシオン君は私の膝上にいたんだから」


 まぁ内心では分かっていたが。


 拍手の音。誰だ。


「くっ!」


 ガラスの割れる音。赤いゴーグル。戦況としてうれしいが、破損している部分はどう見ても銃撃の跡に見える。乱入者か。


 黒鎧。おかしいな。温度が低い。


 なんだ。体の力が入らない。


 吸収して、確かめるか。


「カハッ」


 セインも倒れている。あいつがやったとみて間違いないか。ただ気になるな。防御は万全だと信じたいが。


「有者とほざく輩がいるからどれほどの実力かと期待したんだが、勘違いだったようだ。いや、君が強すぎるのかな?」


 隣の赤鎧が誰かを顔から持ち上げ連れてくる。緑髪は彼女しかいない。力を解放しかけた。


「離せ。彼女との勝敗はついているだろう」


 舌を出した。汚いもので彼女に触れるなっ!


「かっ」


 赤鎧。動きが見えなかった。乱入者とは思えない。刺客とも考えにくい。


「すまないね。彼女は細胞を調べたのだが、少し異質でね。ぜひとも研究に協力してもらいたいのだよ。そういった意味では僕はキミも知りたいね」


「悪いな。先客がいるんだ」


「リナ、お帰りのようだ」


 赤鎧。防御が間に合わない。鉄だけかと思いきやそうでもない。考えがまとまらない。


「すまないね。けれど仕方ない。拒んだのは他でもない彼だ」


「シオンさま!」


「心配するな。君の代わりくらいは務めてやろう」


 指弾き。動きが止まった。いや、かすかに震えている。


「ずいぶんと一方的ね。反撃はしないのかしら?」


 何回立ち上がって来るんだ。まるでゾンビだな。今回が本物とも思えないが。


 表情は変わらないか。試験管が4つ。何とかするか。


「倒れている4人が助かるかどうかは君次第だ。まぁ観察結果から言って君がそうしないとは考えにくいがな。使い時があってちょうど良かった。こうしたほうが盛り上がりそうだからな」


「やるわよ」


「わかっているさ。ただ、ありがとう」


「ずいぶん余裕そうね」


「恐怖を知らないだけだよ」


 ロゼの正面にリナの姿。もう脱出してきたのか。シャルマーナさんが通り抜けるも、紫鎧が塞いだ。さすがにこれを使うか。


 術封巻。機械だと信じよう。


 反撃をするよりも拳が早い。水で防いでもほとんど意味をなさないか。正面、横、斜め。腕を散らすか。


 なんだ。水が弾けない。それどころか崩壊していない。左手に妙な流れ。ウルカさんの指に繋がっている。青顔に笑顔で僕を見る。


「水も使えるなら、先に言ってよ。協力しそこなっちゃったよ」


「そんなことありませんよ。おかげであっちの計算には入っていないみたいです」


「ちっ。私を不快にさせた罰だ。お前が飲め」


「水夢。シオンさまは考えなしのお方ではありません。あなたとは違いますので」


「アルルシアス!」


 鎌の人型か。攻撃を受けないにしろ、時間がある。移動する時間に攻撃も無理か。解く。


「珠水!」


 吹っ飛んだ。最小サイズなら何とか戦力になるか。


 水の壁で押さえつけておけば動くことはないだろう。スキを見せろ。


 口を開けた。中に繋がれ!


「っ、泡沫珠!」


 動かない。拘束したいが、そうできるほどのものがない。跡にならなきゃいいが。


「シオン、美味しいところはあんたに任せるわよ」


 F.Z.さん用だったけど仕方ない。残り全てを使う。


 下半身、上半身、両手斧。それぞれに一つの魔法。さすがに触れられはしないだろう。


「ロゼっ!」


 半透明の緑の壁。彼は僕を嗤ったまま。指を揃えた男。誰だ、昨日まで見てきた人物にはいなかったはずだが。


 -乱入を観測。反則負けを宣告します-


 デジタル音声。彼はそれでも僕を睨む。


「助けはいらぬと言ったはずだが?」


「緊急のお呼び出しでしたので。処罰は私が受けます」


「いい、気が失せた」


 殺気がない。意味は伝わっているみたいだな。


 背を向け歩き出す。


「私は強い。だからこそ何者も自由に支配してよいと考えている。それが違うというのなら、君が強くなって証明して見せてくれ」


 すがすがしい笑い、姿を消した。ミカロたち、シャルマーナも戦闘不可にされている。残った人数はだいぶ少ない。


 試験管。まだ残っていたか。


「シオンさま、二人を」


 腹から飛び出した剣。赤い刺繍が全体に広がっていく。倒れる奥で剣士が笑う。


「全く気持ちの悪い連中だ。人のために何かをしようなどと、理解に堪えん。どうしてこうもこの男を守ろうとするのだ」


 使用していなくてよかった。

Twitter「@misyero1」で更新情報を確認できます。

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