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七つの星の英雄~僕は罪人~   作者: ミシェロ
第2章 「正星騎士団」
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第12話

 私が走りだした瞬間、彼女は5本の矢を簡単にはなった。アクエリオスの水があったから助かったけど、本当ならやられてた。シオンならなんとかできたかもしれないけど、普通はそんな風にはいかない。やっぱりどうしようもないことの1つや2つは起きちゃうしね。


 私は扇をしまい態勢を整える。無理に攻撃しようとしたらきっと串刺しの穴だらけにされちゃう。そんなことを相棒にさせるわけにはいかないよね。私はヴィエンジュを召喚して“量”の策をとることにした。って言っても私にはこれしかないんだけどね。



「星霊は不運なものね。たとえ争うのがいやでも主人の命令には従わなければならない。切っても切ることのできない関係。まぁあんたは第二の手足として自由に命令すればいいだけだから呑気なもんよね」


「私の星霊は道具じゃない! 小さいときからずっと育ててくれて、いろんな知恵を貸してくれた友達なんだから! 横から勝手なこと言わないでよ!」



 ムカつく。許さない。ひょっとしたらアクエリオスたちは嫌々私に従っているのかもしれない。できることなら自由になって私から離れたいと思っているのかもしれない。


 それでも私の考えは変わらない。2人は大切な友達でいつも傍にいてくれた。楽しいときもつらいときも。そんな2人の考えを彼女の好き勝手になんかさせない。絶対謝らせるんだから。


 私はヴィエンジュに攻撃を任せつつ、矢をアクエリオスでガード。彼女の目線から外れている間に手榴弾のカウントダウンをスタートさせる。


 ヴィエンジュに合図をして爆弾を投げ込む。けれど爆発の音に曇りがない。回避されたかな。そんなことを考えている間に私は左から奇襲を受ける。アクエリオスの水で守れた。そう思っていた瞬間、矢の先端が光輝き私の視界を奪った。


 けれど周りの景色が見えるようになっても私は攻撃を受けなかった。ヴィエンジュが光のレーザーで彼女の距離を増加させていた。おかげで私は今目のことだけを心配していられる。う~しょぼしょぼする。発光量多すぎじゃない? いくら敵だからって見境なさすぎでしょ。


 私は熱のこもった目で敵の位置を確認する。5mくらいか。ここはうまいことして私の扇が使える状態にしないとだなぁ。ヴィエンジュには彼女に攻撃を誘発して遠ざけてもらい、その間に私は扇を構えて態勢を整える。


 また矢がこっちに飛んできたけれど今度はしっかり自分でよける。またさっきみたいなトラップをくらったら目がもたないよ。私はアクエリオスの水で敵の足を抑え、一気に先陣を切る。



「扇・葛威吹鬼かつらいぶき!」



 私だって女の子だけど戦うときはきちんとやる。たとえ敵が同じ女の子でもね。まぁシオンのためにも早く記憶を戻してほしいし。


 彼女は壁に吹き飛ばされても私たちに矢を構えるのをやめなかった。私ならどうするだろう。3人の敵に追い詰められ、遠距離攻撃に水の攻撃。やっぱりここはアイテムを使うしか......


「ハァ......ハァ......よく見破ったものね。そこだけは褒めてあげるわ。それにしてもあんたみたいな強いやつがいることに気が付かなかったなんて私もまだまだね」


「え? 私のこと知ってるの?」



 なんかさっきから彼女が言っていることはずっと気になってたんだよねー。なんか言っていることが敵にしては妙に見逃してほしいように聞こえるというかなんというか......そうそう遺言! じゃなくて懇願かな。ともかく敵な気がしないのは事実なんだよね。


 でも一応聞いとかないわけにもいかないし、とりあえず動けないようにしたいところだよね。とはいえ結構タフみたいだし、ここは落ち着いてもらおうかな。



「ねぇ、ここに最近新しく来たコ知らない? たぶん女の子だと思うんだけど」



 彼女は矢を放とうとした。けどアクエリオスが彼女の矢を水で包んだおかげでそれをあきらめざるを得ない状況にした。矢を全部ダメにしちゃったのはやりすぎだけど、ここは仕方ないかな。


 彼女は矢を地面に落として私から目を逸らした。なんか誰かに似ている気がするなぁ。根は真面目なんだけど、負けると結構すねるやつ。あーあいつかな。確かに似てる。いやいやそんなこと考えてる場合じゃない。話を聞かないと。



「教えてくれない? そしたら私は目の前から姿を消すから。捕まえもしないしアンタにとってもプラスでしょ?」



 私の言葉はクエスターとしては失格だけど、クエストにとっては合格。大切なのはクリアすることで捕まえることじゃない。むしろ私は自分の弱さに気が付いて挑戦してきてくれることの方が面白いし。



「……ワタシにとってはいろんな意味で敵ね。矢は使い物にならなくするし、おまけに仲間割れを起こさせワタシを戦闘不参加の状態にさせるし。まぁでもアンタならここを突破するのは容易だろうから、後ろから高みの見物をさせてもらうわ」


「え?」



 彼女は立ち上がって私に手を差し出した。よく見たら彼女のまだ成長の始まってなさそうな壁のような胸には銀色の星のバッジ、正星議院支援メンバーの証......やっちゃったぁ私!?


 反省文は勘弁してよ~。今までにいくつ書かされたことか思い出したらキリがない。

家をまるごと吹き飛ばしちゃったことでしょ、喧嘩してたら人質ごと気絶させちゃったことでしょ、後は......やめよ、これ以上考えたら10コぐらい出てきちゃいそう。


 私は彼女に手を差し伸べ感触を確かめ合った。彼女の手はまるでワニみたいにザラついた肌をしていた。化粧水使ってないのかな、今度教えてあげよ。なんてそんな冗談を浮かべつつ、その裏でどうしたらこれを誤解だと思ってもらえるか必死に考えていた。



★☆★



 俺とフォメアは目の前に現れた敵と動く床の上でぐるぐると何周もしながら交戦していた。敵は腕を蔦に変化させ俺たちを絡めとろうと動く。けれどフォメアの熱がそれを阻み、俺の攻撃がヒットすればいいところなんだが、そう簡単には倒させてはくれねぇ。まぁそんなこと関係なしに俺の一撃を食らわせてやりゃ、一瞬で終わることなんだけどな。



「どうだフォメア。何か策はあるか?」


「バカ正直に突っ込まなくなっただけまだまともだが、少しは自分で考えてみろ。それだけでお前はいくらでも成長できる」



 フォメアはあー言えばこう言う性格だ。だから勝ちを譲らねぇといつまでたっても話が進みやしねぇ。とはいえシオンは不安に思っているせいかわざと負けてるみてぇだけどな。


 それはともかくいっちょここは自分で考えてみるか。まぁそんな暇を敵がくれるとは思っちゃいねぇけど。


 敵は自慢の蔦を使い俺たちの足を取ろうと動き出す。時には壁の中に足元に姿を消しそのスキを狙う。俺たちは時に協力してその攻撃を回避した。


 けれど考えがまとまらねぇ。どうしても俺たちが攻撃に移ろうとすれば敵はガードにすべての考えを注いでくる。そうされちまうとどうにも......


 お! いい考えが浮かんだぞ! そうかそれならなんとかなるかもしれねぇな。


 俺はフォメアに考えが浮かんだことを合図すると、俺たちは敵に向かって飛び込んだ。フォメアの光線レーザー銃が迫る蔦を焼き払い、その合間に俺が拳の狙いを定める。けれどその瞬間、目の前は真っ暗になり俺は壁にたたきつけられた。



「甘いな。俺がその程度で倒せると思ったか? 所詮は甘い環境で生きているだけあるな。動きも鈍い」


「力強い攻撃には長い溜めが付き物なんだよ。それ以前に俺たちはこの策を考えてた。んでもってその先に導くための通路を作ったわけだ」



 その瞬間、敵の足元に置いていた電撃爆弾が起爆した。敵は体をのけ反らせ俺にスキを見せた。


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