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異世界に飛ばされたロボット  作者: フィーネ・ラグサズ
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決闘 後編

“彼にとってハル・ノイマンは低脅威の存在でしかなかった。

声をかけられた時から決闘場で対峙するまでそうであった。

評価が変わったのは決闘が始まってから数秒後。

ハルの一撃で彼が10mほど後退したからだ。

彼には人間の訓練の相手を務めた経験があった。

今回はそれを応用したのだ。”


“彼はハルの想定を超えた力に方針の変更を余儀なくされた。

人工筋肉などの補助機構がない鎧を着た人間があのような力を出せるわけがなかった。

魔獣との戦いの経験から彼は、ハルの鎧はただの鎧ではなく、超科学を利用したパワードスーツだと仮定した。”


“彼の判断が正しかったのは2回目の斬撃を斜めに構えた盾で流し、ハルに一撃を叩きこもうとした時にはっきりとした。

ハルは彼の振るう剣をバランスの崩した体で避けたのだ。

その時、ハルのまわりに未知の力場が発生していることに彼は気づいた。”


“どんな能力があるのか不明であり、彼はハルを高脅威の存在だと判断し、ジェネレータの出力をあげた。

それでも圧倒するまでもなく、互いに攻撃と防御を繰り返していた。

それもハルが盾を捨てたことで流れが変わった。

彼は両の手で柄を握り構えを変えた。”


“速度と力で押す可能性が高いと判断し、彼も盾を捨て、ハルに向かって加速する。

イオンスラスターは使わず純粋に脚力だけの疾走だ。

加速は殺さず間合いに入るとハルも彼も剣を同時に振り下ろした。

互いの剣がぶつかり火花を散らす。

それでも二人は剣を手放さなかった。”


“互いにバックステップで下がり距離をおく。

もう一度、攻撃するつもりだと彼は推測し、構え直す。

そして、ハルが走りだすと同時に彼も動き出し、間合いに入ると同時に剣を――振るわずにイオンスラスターを吹かして右に飛んだ。

ハルの体を覆っていた力場が消えたのを確認したからだ。”


“動きを止めた彼を見て、ハルは静かに剣を置いた。

「僕の負けです」

ハルはヘルムを外して言った。

彼はその声を戦闘終了の合図だと判断し、戦闘モードから通常モードに切り替えた。

「もう完璧なぐらいに。あなたが味方で良かったですよ」

その言葉に彼も同意した。”


“「今日はありがとうございました」

ハルが頭を下げると同じように彼も頭を下げた。

置いた剣を拾い上げると彼はくるりと踵を返して決闘場から去っていた。

その背中が出口に消えてから、彼も同じように決闘場をあとにした。”

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