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14卒、無い内定。――ぼっちの就活日記  作者: 五条ダン
第二章 壊れゆく世界
8/28

(前編) 現代版わらしべ長者で1億円を手に入れる!


『わらしべ長者』という昔話がある。

 一本の稲の穂から、次々に物々交換してゆくことで最後には大金持ちになったという成功譚だ。


 それを実践してみようという気になった。



 まず第一ステップ。『何も無いところから10万円を手に入れる』

 これはとっても簡単。クレジットカードを10枚作れば良いのだ。


 ネットサービスには「セルフバック」「自己アフィリエイト」と呼ばれる制度があって、ASP会社(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)を経由してクレジットカードを請求すれば、およそ1万円の現金キャッシュバックが貰える。もちろん、クレジットカードは年会費無料のもので構わない。


 換言すると、ボクとクレジット会社との間の『個人情報』と『現金』の物々交換だ。

 すごい、一気に0円から10万円に増えたぞ…!



 第二ステップ。『10万円から110万円を手に入れる』

 これもやはり簡単。クレジットカードのキャッシング枠を使って1枚あたり10万円を借り入れたら良いのだ。


 キャッシュバック現金10万円+借入金100万円であっという間に110万円が手に入った。

 一見すると物々交換に見えないかもしれないが、『お金を利子つきで返してもらえるという債権』と『現金』を交換したと考えると分かりやすい。



 第三ステップ。『110万円から2100万円を手に入れる』

 難しいことではない。手に入れた現金をFX会社の口座に入金し、110万円を証拠金としレバレッジ20倍で信用取引を行う。実質的に動かせる金額は110万円×20=2200万円だ。


 そしてFX(外国為替証拠金取引)でさくっと信用資産を2倍にして、クレジットで借りた分を返す。すると手元には、2200万円-100万円で2100万円の現金が残る。国家が違えばお金とお金の交換だけでも利益が出るのだから不思議なものだ。


 ちなみにFX取引で失敗すると借金だけが残るが、自己破産を視野に入れると下限は資産ゼロなので実はリスクとリターンは釣り合わない。



 第四ステップ。『2100万円から1億円を手に入れる』

 ここまで来ればあとは速い。2100万円を証券会社の口座に入れ、レバレッジ3倍で株を買う。購入した株式の株価が3倍近くになったところで決済をすれば、現金1億円と十分なお釣りが手に入るだろう。

 ちなみに株式の信用取引で失敗するとやはり借金だけが残るが(以下略)



 こうして何も無いところから1億円を生み出すのはさほど難しくないことが分かった。難しくはないがしかし、神に選ばれた人間(超強運)である必要がある。つまり上記の手段を用いた場合、99.999%くらいの人が失敗して、運が悪ければ自己破産に追い込まれるだろう。


 昔話のわらしべ長者だって、運が良かったから成功したに過ぎない。

 わらしべ長者の世界でも、多くの人々は物々交換の途中段階で失敗するだろう。盗賊に襲われ財産を失ったり、他の長者の恨みを買って殺されたり……。



 今も昔も、人々はリスクを背負って生きている。

 リスクを最大限に抱えれば、現代版わらしべ長者になることは不可能ではない。


 しかし最悪の場合(社会的に)死ぬので注意されたし。

 結局のところ、ふつうに正社員になるのが王道なのだろう。



 内定ほしい……。



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