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14卒、無い内定。――ぼっちの就活日記  作者: 五条ダン
第一章 新たなる選択肢
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外こもりを襲う円安と、インドという可能性。

「外こもり」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

 簡単に云えば「海外での引きこもり」である。


 国内にいるときはバイト等の非正規雇用でちょっとしたお金を貯める。資金が集まれば海外へ。物価の安いタイやフィリピンで働かずに引きこもって暮らす。そして貯金が底を尽きてきたらまた日本に戻り、バイトで貯金を増やす。この繰り返し。


 この他にも、海外からデイトレードをしていたり、クラウドソーシングで翻訳業を請け負っていたり、あるいは現地のコールセンターで働いたりと様々なパターンがあるらしい。けれど、外こもりは基本的に、できるだけ最小限の労働で生活してゆくことを目指す。



 ボクもまぁ、職の決まらないこんな身であるので「外こもり」には興味があり、ネットの体験談やルポルタージュを読んだりしていた。

 非正規雇用で貯金を殖やす難しさ、加齢に伴う再就職の困難……外こもりはしかし、相当のしんどさ(辛さ)を伴う生き方でもあるのだと感じた。


 結局のところ、何かを得るために何かを捨てなくてはならないのだ。



 さておき、以前ボクの申し込んだ「新卒者就職応援プロジェクト」では日額7000円の助成金が貰えるようなので、2ヶ月も働けばそれなりのお金は貯まる。そうなれば海外に出るのもありかなと思っている。



 もしもプロジェクト終了時に、受入先企業から社員登用を断られたら、ボクは「既卒無職」となってしまう。《もしも》と書いたがそうなる可能性の方が実は高い。


 前々回、『新卒者就職応援プロジェクト、という選択肢。』なんてタイトルの記事を書いたものの、それは一時の精神安定剤のようなもので、終わってしまえば本当に選択肢が消失してしまうのである。



 進路の何もかもを失ったとき、どこに希望を見いだせば良いのだ。

 それは、海外という得体の知れない環境であった。

 予測不可能なブラックボックスは、絶望であり希望なのだ。パンドラの箱のように。


「外こもり」はそんな悲壮感の末に辿り着く最果ての選択肢なのかもしれない。

《目指すのではなく、漂流する》そんな人生。



 さて、いざ海外に脱出しようと考えたときに、その行く手を阻むのは語学力よりも経済的な問題である。具体的には「物価上昇」と「為替レート」だ。

 外こもりの国、タイでも物価が上がってきているとの噂を聞く。


 為替では、今の日本は株高円安トレンドとなっており、これから海外へ行く人にとっては最悪である。円安は、円の価値が外貨と相対的に見て安くなってしまう。つまり円高のときと比べれば外貨両替の際に為替差損が出る。


 円安といえば通常はドル高円安のことを指すが、基本的にどの通貨と比較しても今は円安傾向にある。円安である通貨の国に行くのは、たぶん得策ではないのだろう。



 為替的に、今はどの国へ行くのが有利なのか。


 為替チャートだけ見てとりあえず探ってみると、インドネシア(ルピア)とインド(ルピー)は円安トレンドにはなっていないようだ。

 長期チャート的にはむしろ有り金全部インドルピーに変えて逆張りしたら儲かりそうな気が……(投資は自己責任で)



 為替だとかインフレだとか、そういった外的要因はあるわけだけれども、いざとなったときのために海外脱出の道を或いは「外こもり」という外道を視野に入れておこうと思った。


 たぶんそこで必要となるのは、サバイバルのためのノウハウなのだろう。

 ボクなんか真っ先に倒れそうだ……。



 しかし、生きてさえいれば何とかなると信じて――


 そうだ、インドに行こう。



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