新卒者就職応援プロジェクト、という選択肢。
『選ばなければ仕事はある』と言ったのは誰だったか、しかしボクが就職活動を通して実感したのは『選べない者に仕事はない』だった。
実のところ、内定が取れればどこでも良いと自暴自棄になっていた頃、ボクは就職しやすそうな業界の零細企業を集中的に回った。携帯電話の販売業務、コールセンター、清掃、建築、介護、飲食……etc
もちろん、ブラック企業なんて評判も気にしなかった。でも、投げやりになって志望した会社すべてから《お祈り》されたとき、ボクは自分自身がブラック人材であったことを悟った。付け焼刃の志望動機で雇ってくれるほど社会は甘くなかった。
次に試みたのは、正規雇用(正社員)を一旦諦め、非正規雇用(バイト・契約社員・派遣社員)の求人に応募することだった。驚くべきことに、この戦略も全滅であった。
そう、今回ボクが得るべき教訓は、『《明確な意志をもって》選ばなければ仕事はない』ということだった。
自分は結局、将来何をして働きたいのだろう……などと悩めるほどのモラトリアムも残されていない。
そこで次に目をつけたのは《新卒者就職応援プログラム》と呼ばれる制度だった。
《新卒者就職応援プログラム》は政府の雇用政策のひとつで、中小企業庁が実施している。
簡単に言えば《インターンシップ》だ。インターンシップ、職業体験、職業実習、研修、OJT、呼び方は様々あるがそういった類のものである。
政府はインターンシップの実習時間に応じて、求職者に助成金を与える。交通費は支給されず、助成金は1日8時間労働で日額7,000円支給されるらしい。まるでバイトのようだが、フルタイムで働いても(正確に表記すると『実習を受けても』)労働法が適用されない。つまり、あくまでインターンシップであり、労働ではないそうだ。さらに助成金は《雑所得》として扱われ、所得税の課税対象となる。
インターンシップの受入企業は、実習生を正社員登用する義務は負わず、実習後の採用判断は会社の手に委ねられている。ヒューマンリ○シアやパ○ナ、○情のホームページから受入企業の一覧を見ることができる。
しかし、受入企業のウェブサイトにアクセスしてみると、正規雇用の求人募集を停止している、或いはアルバイト募集しか行っていないところも少なくない。
採用に積極的ではない会社もあるようで、もしもこれから新卒者就職応援プロジェクトに参加してみようと考えている人は注意した方が良いかもしれない。事前に研修予定地域の受入企業のウェブサイトを調査した上で、説明会に臨むべきである。
とまあ、これはボク自身のことだった。
ボクは今週中に、この制度の説明会に出席する予定だ。
新卒者就職応援プロジェクト、それは14卒無い内定の学生にとって起死回生の手段となるか、はたまた悪魔の罠か――。
どちらにせよ、前進以外の選択肢はないのであった。