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追いつかれるわけがございませ……
「待って~秀ちゃぁン♪」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
何か追ってきた!
「保健室に来たってことは何処か悪いのよね。うん。私には言わなくても分かるもの」
何もこの人分かっちゃいない。
だが、先生でも実は男の俺に追いつくわけがない。
だって俺50m7.3秒だし。
「秀ちゃん知ってた? 実は私元陸上部のエースなの」
その声と同時に方に置かれる手。
「ふぇ?」
この人今何て言った?
俺にはよくわからないぞ。
ハイヒール履いていて、長い白衣、それに滑りやすい廊下。
こんなに早く追いつかれるわけがない。
そもそも追いつかれるわけなんか――――
「よっこいしょっと。必殺お姫様だっこ。あら、秀ちゃん軽ーい。ちゃんと朝ご飯食べてる?」
―――あった!?
「ちょっと先生おろしてください」
「誰が下すものですか」
「困ります」
「下ろしても良いけど毎日保健室の手伝いしてもらうわよ」
なら、自ら降りるしかないッ!
「必殺! 強制瞬間移動」




