災厄の運命
「どうしてこうなったァァァァァ!」
郵便受けに入っていた封筒の中身を見た瞬間自分が出せる精一杯の声で叫んだ。近所迷惑なんて気にしている場合でも無い状況に置かれ混乱しているのだ。
家の中にいる親父とお袋をたたき起して訴える。凄い迷惑そうな顔で見られたがそんな事気にしている場合ではない。問答無用で問いかける。
「おい! これは、どういう事なんだ!?」
封筒を思いっきり父さんに投げ付けて問いかける。
「ん? おお、よかったじゃないか。これで中学校に行けるな」
笑顔で対応する父さん。何処が良いのか教えてほしいよ!
「よくない! よく見てよ! 女子中ってとこ!」
封筒から取り出されたのは紛れもない「秀」と言う俺の名前が。
さっきまで寝ていたお袋が服の入ったビニール袋をこちらに差し出してきた。
「なんだこれ」
「あんたの制服。一週間後入学式だから、それ、着て行きなさい」
よく見るとこれは女子用の制服のようだ。フリルやチェックと言った可愛らしいデザインのものだ。
小学校から女の服のほうが似合うと言われてきたのだから似合うかも……。
「って、そうじゃねー!」
「なによ」
不思議そうな顔してなにが不思議なんだか。
「何で女子中なんだよ! 俺、男だよな」
「だって、あんたが試験会場間違えたんだから」
「え……? いやいや、有りえないし。なんかの悪い冗談だろう。ねぇ……」
静かに首を横に振る。
こうして、俺は災厄の運命……女子中に女として行かなければならなくなった。
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