魔法使いこはるん
片方の鉤括弧を2重にしてみました。
見やすいかな。
3人目の会話はどうするのって言われても、僕は知りませんので。
…どうしよう。
「一個だけでもいいから魔法とか使ってみたいわぁ。
手から火を出したりな?空を飛んだりすんねん。」
『そんなことしてなんになるの。』
「嘘…全人類共通で共感出来る話題やん。」
『そうかな。
いや、普通にさ、空飛んでどうすんの。』
「爽快やん!」
『夏でもダウン着て過ごすの?
人から見られないくらい高い所を飛ぶのなんて寒いよ?
それにスカートなんて履けないよね、パンツ見えちゃうから。
いいの?
乙女としてスカート禁止でいつでも超厚着をして耳当てとかしてさ、これからスノーボードにでも行くんですかなんて格好を強制されるだなんて。』
「それは…風除けのバリアとか張ってやな、下からは見えんやつも併用すんねん。」
『一個でもって言ったじゃん。
一つに絞ってよ。
それじゃあ、飛ぶやつ、バリア、下から見えなくなる魔法の三つ使っちゃってるから。』
「なら飛ぶのは辞めるわ。
瞬間移動や!
これは最高やろ。
登校2分前まで家に居れるで。
ハワイとかにも行きたい放題や!
マカダミアナッツ買って来たるわ。」
『壁の中に出るか、空に放り出されるか、地中に出るかになると思うけどね。』
「何でやねん!
ぱっと消えてぱっと現れるだけやんけ。」
『地球がどんなスピードで回っていると思っているんだよ。
公転スピードはマッハ88kmもあるんだよ。
自転もマッハ1.5km。
そんな高速回転する球の座標を正確に測るのなんて不可能だよ、人には。
数学学年一位の僕ですら刻々と動く地球の場所を計算することなんて不可能なのにこはるに出来るの?』
「出来るか。
じゃあ場所に飛ぶタイプのやつや…!」
『座標を捉えるのは別の能力でしょ。
それにね、人ぐらい大きい質量のものが急に消えても現れても大変な事になるよ、周りがさ。
人類のために瞬間移動は諦めて。』
「そうなんか…。
まぁ、人類の為なら仕方ないな。
じゃあな!怪我とか病気とかパッと治すやつや!
みのりはよく風邪ひくしな、私がペロっと治したる!」
『どっち。』
「う…病気で…!」
『風邪はウイルス性とか細菌性とか色々あるよ。
内臓疾患も別だし、遺伝子異常とか、細胞の異常とかさ、原因だって無限にある。』
「うるさいな!ウイルスと細菌を死滅させるやつや!」
『人体には必要な細菌やウイルスも沢山あるよ。
全部覚えて選別するなら、それは別の能力だと思うなぁ。』
「じゃあ怪我!も、色々あるもんなぁ、切り傷、打撲、骨折なんて絶対必要な力が違うわ。」
『ね?魔法一つだと結構要らないもんなんだよ。』
「いーや、絶対一つ貰って帰るからな、見とけ。
手から火を出…しても使い道無いな。
タバコ吸うんやったらカッコいいかもしれんけど、ライター持っとけばええだけなしな。
水!水は便利やろ!
喉乾いてパッと飲めるんは便利やろ!
ほら、なんか言うてみぃや!」
『超純水って常飲しても問題ないのかな。』
「水は水やろ。」
『いや、ほら、軟水とか硬水とかあるでしょ?
水の中のミネラル分の差で。
結構味が違うじゃんか。
超純水って工業用とかで存在するんだけど、飲めるのかな。
軟水の極みって考えれば飲めそうだけど、ちょっと分からないなぁ、僕には。
でもさ、買っても100円かそこらでしょ?
わざわざ一つしかない魔法枠を水に使う?』
「確かにな。買うわ。
コーラが出るとかなら良いかも…。
いや、コーラも買うわ。
高価なもんでもないしな。
そう考えたら高価なもんをもりもり出すのが良く思えてきたわ。
金を出す魔法とかはどうや。」
『良いんじゃない?
どうやって売るのかは知らないけど。』
「買取のとこあるやん。」
『無から生み出して、証明も何もない金を買い取ってくれるのかな。
まぁ、初めの一回はいけるかもだけど、3回目くらいにはどこから出て来たのかって警察が来るよ。
そして魔法だってバレたら研究所送りになるね。』
「こわっ…!
バレても良くないもんな。
自分だけ使えるようになるんなら、それはそうか。
あ、みのりには教えてやるから内緒にしといてな。」
『うん、内緒にする。』
「ありがとう。
持つべきものは友やで。
あ!周りにバレへんのなら、時間を止めるってのはどうかな!」
『呼吸とか出来ないんじゃないかな。
あと、多分極寒になるよ。
全ての動きが止まると。』
「あかんか。
もうあかん理由を詳しく聞かんでいいわ。
是非だけ教えてくれれば。
足が超速くなるとか。」
『どのくらい?』
「目にも映らんくらい。」
『服も靴も耐えられないし、ハゲる。
浮いてる虫とか小石とかに当たったら穴空いて死ぬからダメだね、次。』
「動物の言葉が分かるようになりたい!」
『どの?』
「いや、動物で一括りでええやろ。」
『まぁ、サービスで許すとして、人間ほどの思考能力はないから逆につまらないと思うよ。
単語だけ連呼され続けるのは中々…。
表情とかから、こっちがいい風に解釈するから可愛いんじゃないかな。』
「そんな事ないよ。
チャッピーと話したいもん。」
『メシ!メシ!メシ!って寄ってこられても、あんまり可愛くないでしょ。
分からなくていい事もあるんだよ。』
「夢がないわ、みのりは夢なし男やわ。
あ、漫画の続きを知れる魔法が欲しいわ!
楽しそうやろ?」
『…それはいいかも。
1話目の連載が始まった漫画で、後に長続きするのが分かれば、アイディアをパクって自分が考えましたって顔して世に出せば大作家になれるよ。』
「そんな外道な事はしないって。
勝手に知って勝手に楽しむわ。」
『絶対に、ポロッとこぼすのも出来ないのは辛くない?
もう2度と人と漫画の話出来なくなるよ、いつこぼれるか分からないもん。
スーパーネタバレ製造機としての自覚がいるから。』
「絶対にポロってしまう自信がある。
あかんやん。
未来予知は?
競馬とかで大儲け出来るやろ。」
『こはるが行動した結果未来は変わるはず。
競馬でいうと、オッズが変わると他のものも変わりそうじゃない?
分からないけど。』
「儲け話でなくても地震とか色々から皆んなを助けてあげられるやん。」
『おぉ、善なる魔法使いじゃ。
素晴らしいな、こはるよ。』
「そやろ。」
『どうやって信じて貰うの?
明後日地震あるから遠くへ逃げようって言っても、頭の心配されるだけでしょ。』
「みのりは信じてくれるよ。」
『…おぉよ。』
「オカンとかおにいとかは無理そうやなぁ。
笑われて終わるわ。
家族が居なくなってまで生き延びるのはなんだかな。
しかも自分だけ分かってたのに助けられんかったら罪悪感で死んでしまいそうや。」
『それはそうだね。
僕もそう思うよ。』
「なぁ?
めっちゃ美人なるとかはどうやろ。」
『めっちゃ美人にはこっちが勝手に羨ましがっているだけで、本人なりの悩みもあるだろうしなぁ。
それに今日からめっちゃ美人になったら周りが反応に困るよ。』
「そうな。
人は誰しも悲しみを背負っているもんやからな。
そうや、そうや、バレたらあんまり良くないんやった。
こはるちゃんはそもそも結構可愛いしな。」
『…そうだね。』
「正解や。
否定してたらお前、アレやったで。」
『自分の心に正直に答えただけだよ。』
「ちょっと爪くれや。
おにいに煎じて飲ませるから。
煎じる必要もないか。
アイツなんだかみのりを可愛がり過ぎてるからな。
みのりの爪だって言ったら勝手に食うやろ。」
『そんな話を僕にしないで。』
「ごめんごめん。
なんの話やったっけ。
あ、魔法か。
意外と要らんもんやなぁ。
仮面ライダーはともかく、プリキュアとかセーラームーンみたいに女の子らしい変身とかしたってなぁ?
顔バレ半端ないわ。
拡散待った無しやわ。
そもそも戦う相手がおらんしな。」
『そうなんだよね。
戦うのなんて人生で何度かしか訪れない。
そこに殺意もりもりの武器を魔法という形で常備しても仕方ないんだよね。
っていうかさ、魔法持ってそれが人を害せるっていうのが分かってたら、変に歯止めが効かなくなりそうで怖いよ。』
「大丈夫や、みのりが闇に魅入られて堕ちていったら、私が助けたるわ。」
『ありがと。』
「おぉよ。」




