41.異世界の山田春
しばらく降下をした後探索すると、倒れた集団を発見し、その中で1人黒い格好のした人物画倒れていたので、とりあえず確認しに向かう。
「お、なんかこいつだけ昔の昭和アニメのヒーローっぽいぞ!こいつがハルだったりして」
なーんてといいながら近づいてくリィラに、レドが「そいつがこの世界のハルだな」と率直に言う。
「え!?そうなの!?」
おっかなびっくりつんつんと倒れたハル(異)の頬を突くリィラ。
「元の世界のハルさんもヒーローだったりするのかしら」
レドの肩に乗っているミヤビコがそう呟くと、それにレドが返答を返す。
「いんや、普通の会社員だぜ」
「あら、そうなのね。てっきりあなた達みたいに凄い人なのかと思ってたわ」
「まぁどうやらこの世界のハルはヒーローみたいだし、元の世界のハルもそういうセンスあるかもしれねぇぜ」
「怪我してるみたいだし、とりあえず私が治してやろう!丁度この前レドに教えて貰ったとっておきの回復魔法!これなら魂が抜けててもチャチャッと回復ってな!!」
そう言って黒いヒーロースーツ姿のハル(異)の胸辺りに手を当て、七重の小さい魔法陣を作り出す。
「【蘇生】!」
掛け声と共に魔法陣が輝きを放つ。
次の瞬間には黒いヒーロー衣装の山田ハルは、ドクンと身体を跳ねさせた。
「クハッ!?な、なんだ!?今確かに俺は、三途の川をジェット機で飛び立とうと…」
「お前はどこに向かおうとしてたんだよ…」
リィラがジト目でハル(異)に話しかける。
「!?き、君は一体…!?子供がこんな所にいたら危な…、な…!?なんだあの化け物は…!?」
ハル(異)が周りを観察しながら喋っていると、途中で視界にレドが映り、警戒する。
どう見ても化け物である。
肩にも化け物が乗っている。
「肩にも小さい化け物がい…グハッ!?」
「誰が化け物じゃボケナスがぁ!!!!!」
ミヤビコは一瞬でハル(異)の顔面に飛び蹴りをかました。
想像以上に素早い動きに、ハル(異)はガードも間に合わなかった。
「おいおいせっかく治したのに、また傷つけてどうすんだよ」
レドが窘めるも、ミヤビコは腕を組んで威圧する。
「ふん、初対面で化け物呼ばわりする相手に、遠慮なんていらないと思うけれど?」
「うぐ、すまない、てっきり侵略者の仲間か何かと思って警戒してしまった。心から謝罪する」
そう言ってハル(異)は、姿勢をただし頭を下げた。
ミヤビコの小ささに配慮してか、かしこまるように片膝を地面に着けて、できるだけ姿勢も低くしている。
「あら、随分と素直に謝罪するのね。受け入れるわ。顔をあげていいわよ」
「心遣い感謝する。…ところで君達は、仲間であっているだろうか…?随分とその、個性的なチームだが」
「まぁチームといえばチームか?」
「私達は家族を探しに来たって感じだな」
「私は付き添いよ」
「……ふむ、なるほど、もしや君達は、異世界から召喚した俺…、いや、山田春の仲間だったりするのだろうか」
「おお、理解が早くて助かるな」
「その通り!私の名はリィラ・ヴィクトリー!覚えておくといいぞ!」
「レドだぜ」
「花道雅子よ」
「そうか。俺は、そうだな、一応この世界の山田春だ。ヒーローをやっている。まずは君達の世界の俺を、勝手にこの世界へ連れて来た事を謝罪する。なにぶん時間が無かったら故、突然の出来事だったと思う。それから、この身体の傷についてだが、おそらく君…、リィラさんが治してくれたのだろう。誠に感謝する。恐らくあのままでは私は…、いや、既に限界を超え死んでいたような気もするが…、まぁそれはともかく、助けてくれてありがとう。お礼はなんでもしよう。私に出来る事があれば、なんでも力になる。ただ、この星が無事であればだが…」
異世界の山田ハルは、丁寧に腰を下げながら、感謝の意を伝える。
「ん?今なんでもって…」
「この星はもう心配しなくていいぜ。俺様が母艦倒しといたから、あとはこの星の残党倒せば終わりだな」
「……あの母艦を倒したのか!?な、なんと、それは、なんと言えばいいか…、そうか、そうか………。それは、良かった…!改めて感謝する!それからもう1人の俺にも感謝したいのだが…、彼は今どこに…?」
「それが俺様達も探しててよ、ここにいるかと思ったら、どうやら異世界のハルらしいし、…う〜ん、また別の世界にいるみたいだな」
虚空を見上げるレドはまたすぐにハルを見つける。
「え?また別の異世界行ったのか?異世界転移しまくりおじさんじゃん」
「てことはこの世界にはもう用は無いって感じかしら」
「なに!?そうなのか!?彼にはゴーカイザーを託してはいるが…、無事だろうか…。せめてゴーカイザーも一緒ならば、多少は安全だと思うが…」
「お?なんだそのゴーカイザーって!面白そうな匂いがするな!」
リィラがゴーカイザーという単語に興味を示す。
「おお、よくぞ聞いてくれた!説明しよう!」
そう言ってハル(異)はマントをひるがせて、右手に付いた端末を操作する。
しばらくすると、目の前にホログラムが映し出され、小さいサイズのゴーカイザーが空中に浮かぶ。
「こいつがゴーカイザーだ!大きさは約100mと、ホログラムはこれだが本来はかなりでかい!性能もスピード特化だが、かなり強い筈だ!そうそう遅れを取るような性能はしていないと思うが…。ゴーカイザーと一緒でない場合は不安だな…」
「そのゴーカイザーみたいなロボットは、近くに落ちてなかったし、たぶん一緒に異世界に飛んだんじゃないかしら」
レドは少しの間虚空を見つめ、3人に顔を向けなおす。
3人はなにか言うのだろうとレドの話を待つ。
「…ふむ、しばらくここにいた方がいい未来になりそうだ。ハルよ、しばらく俺様達が後処理を手伝おう。残党狩りは任せるといいぜ」
「え?ハル探さないのか?」
「なに、この世界も大変そうだし、俺様達が探してるハルの方は、しばらく大丈夫だ。とりあえずはこの世界のハルを助けてやろうぜ」
リィラの質問に、レドはリィラの頭に手をぽんと置いて答える。
「そうか、それなら私もちょっと暴れるか!」
「ハナっちもそれでいいか?」
「私は付き添いだし、別にいいわよ。そうね、それじゃあ私はリィラちゃんの強さでも確認しとこうかしら」
「おお!いいぞいいぞ!見せてやろう!この超エリート勇者様の圧倒的パワーを!わははは!!」
「い、いいのか?この世界は君たちにとっては異世界、助ける義理は無いように思えるが…」
「なに、ついでだついで。それにお前さんだって、もし異世界に来て、そこが大変な状況だったら助けるだろ?」
「それは、確かにそうだな…。ご助力感謝する。残党狩りは、私もついていく形でも大丈夫だろうか」
ハル(異)は素直にお辞儀をし、今後について話し合う。
「おう、お前さんも見とくといいぜ。なんか参考になるかもしんねぇしな」
「それじゃあ早速行こう!いざ残党狩り!出発!」
リィラは天井に向けて指を指し、掛け声をした。
行先は後程ハル(異)が調べ、窮地の所から順に向かって行った。




