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3.レドとリィラ

あれから普通に1年経った。


日常はさほど変わりは無く、山田は普通に会社に通って仕事をしていた。


彼らの順応力は素晴らしく、パソコンを使いながらこの世界の事を説明したり、自分が会社に行っている間に、パソコンを使って自分で社会勉強させていたら、瞬く間にこの世界の常識を身につけていった。


なんだったらレドは、ユートゥーバーという動画配信者として、お金まで稼げるようになってしまった。


ネットの1部界隈では、有名なコスプレイヤーとして結構人気があるとかないとか。


とても順応性が高い。


そしてリィラは…、ニートになっていた。


それはもう立派なニートである。


食って寝てゲームして、食って寝てゲームして…、食って寝てゲームをしている。


そんな自堕落な生活をしている割に、容姿は一切変わっていない。


可愛らしい美少女のままである。


頑張ったらテレビとかで、かなり有名なモテモテアイドルにでもなれそうなレベルだが、それはもう立派なニートになっている。


もちろんユートゥーバーですらない。


そんな穀潰しのような生活をしているが、レドが思った以上に稼いでいるらしく、ニートの1人や2人、余裕で養えるとかなんとか。


なんだったら自分の年収を既に超えていた。


順応性が高すぎる。


レドから、「もし仕事が嫌になったら、働かなくても俺様が養ってやるから安心しろよな」と頼もしい事も言ってくれるレベル。


今や食費や生活費、その他諸々全部出してくれている。


しかも最近は料理にハマっているらしく、朝食に昼食夕食、仕事の日には自分の為に弁当まで作ってくれるのである。


しかも滅茶苦茶美味い。


たぶんレストランとかで出されても違和感のないレベルの料理を出してくる。


ネットでは料理研究家のレドさんと、1部界隈では人気の料理人である。


因みにこれはどうでもいい情報だが、リィラは料理が絶望的に下手くそである。


レドが楽しそうに料理している中、レドが出来るなら私にも出来ると豪語したその日に、コゲの塊を生み出した程である。


人気コスプレユートゥーバーや人気料理人と、色々とやっているレドだが、これだけではない。


なんと絵師としても稼いでいる。


定期的に講座動画も出すほど絵が上手い。


1部界隈では、神絵師のレドさんと崇め奉られている。


もはやなんでも出来る悪魔であった。


自分よりお金を稼げるのも納得である。


そしてリィラの自堕落っぷりの落差が凄い。


因みにリィラは絵も絶望的に下手である。


モコモコの犬のキャラクターを描こうとして、何故かカボチャの化け物のような絵が完成する始末である。


たった1年だが、かなり濃い1年が経った。


山田はレドとリィラと出会ってから、死のうという思いは無くなっていた。


たぶん自分は、寂しかっただけなのかもしれない。




ーーーーー




にしてもレドは料理が上手い。


しかも毎回凝っている。


カレーを作る時も、市販のルーを使わずに、謎のスパイスやら何やらを買って、1から全部作っていた。


勿論めちゃくちゃ美味かった。


思い出したらまた食いたくなってくる。


ラーメンを作ったりする時も、スープは勿論のこと、麺すら自家製で作っていた。


ラーメンも美味かったなぁ。


海鮮丼も美味かった。


たしかマグロ一本釣り動画とか出してて結構再生されてたなぁ。


釣ったマグロを海鮮丼にして振舞ってもらったけど、滅茶苦茶美味かった。


そして今日の夕食は…。


そんなワクワクとしながら家に帰った山田が見たものは。


「肉の寿司…?」


リビングのテーブルの上には、ズラリと並べられた美味しそうなお肉が握られていた。


「おう、今日は肉の寿司だぜ。ミディアムなやつとかレアなヤツとか、薄く切って炙ったやつとか色々あるから、色々と食べ比べるのがいいぜ」


頭に白い縄を巻いて、寿司屋の格好のような姿のレドがそう話す。


「ハルも帰ってきた事だし、俺様はちょっくらリィラを呼んでくるから、座って待っててくれよな」


「あ、うん、ありがとう」


「おう!…おーいリィラ〜!飯できたぞ〜!寿司だぜ〜!」


レドがリィラを呼んでいる間に、山田は上着をリビングの自分が座る椅子にかけ、ビジネスバッグも下に置く。


「すしー!!!?」


ドタドタと子供のように走って、階段からリィラが降りてくる音がする。


現在山田家は、一軒家の賃貸を借りている。


元々マンションで1人暮しだったのが、レドとリィラが住むことになって狭くなったのだ。


趣味も少なく、金だけは有り余っていたので、少し余裕を持って、割と大きい家を借りてしまった。


車もないのに無駄に駐車場がある。


だが最近レドが免許を取ろうと勉強したと言っていたので、車を購入するのも時間の問題かもしれない。


1階に降りて来たリィラは、「すっしっすっし♪」と、子供のようにはしゃぎながらリビングまで来たが、普通の寿司にしては地味なカラーリングの机の上に、思わず口が止まる。


一瞬だけ怪訝な目をしたが、ジト目でよくよく観察すると、中々に美味そうな肉寿司の並びに、ヨダレを垂らしていた。


「今日は肉寿司だぜ。まぁ期待したものと違うかもしれねぇが、これはこれでうめぇぞ」


「お、おう!早く食おう!早く食おう!」


リィラは急いで椅子に座り、ワクワクした表情でいただきますの合図を待った。


レドが料理をするようになってからというもの、食事はレドの「いただきます」という挨拶の後に食べるようになった。


「よし、んじゃ!いただきます!」


手を合わせながらそう言うレドに習い、自分とリィラも手を叩て、同じ言葉を発する。


「「いただきます!!」」




食事が始まる────。







「「「美味い!!!」」」









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