14:迫りくる脅威、その実態とは…
「一体何が狙いでこんなことを」
水色コートの青年が静かに呟いた。
そこには怒りや疑念、その者に対する敵対心が芽生え、下手に話かけようものなら容赦なく切り殺される、そんな恐ろしい空気が漂っていた。
「何を企み何を望んでいるのか…」
青年の中で思っている人物の目的がハッキリしない以上、行き過ぎた推察は危険と見て言い止めている。
ただこれだけは間違いないと確信しているものがある。
それは今後自分たちの前に敵として現れて潰しにかかってくること。
「いずれにしても思惑通りにさせないためにも対応を急がないといけませんね」
固く自分に誓いを立てその場を後にした。」
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「戻られていましたか」
「ええ。戦いに備えて体を動かしてきました」
薄暗い部屋の中でボイスチェンジャーの主と一人の男が軽く話をする。
「どうですか?体の調子は」
「現役の頃と比較して反応が鈍っていましたが、その感覚もだいぶ戻ってきました」
「それは何よりです」
「しつこくお伺いするようですが、私の同期と話はつきましたか?」
「はい。後は時間をかけてどう潰しにかかるか計画を立てるだけです」
それを聞いた男は頷きボイスチェンジャーの主に尋ねる。
「では潰しにかかる方法ですが私たちが一斉に攻撃を仕掛けますか?」
その問いにボイスチェンジャーの主が少し間を置いて答える。
「一斉に攻撃を仕掛けてもいいですが万が一を考えて時期を見計らって一人一人自由に好きなように潰しにかかる方法を採用します」
「その考えを簡潔にお願い出来ますか?」
「一斉に潰しにかかるといっても物理的にメンバー双方の意味では簡単にいきません。戦闘を繰り広げている間に増援されてしまっては、最悪計画が台無しになってしまい、それではもったいないです。短期決戦ならあるいは上手くいきそうですが長期戦になる可能性が高いので、そこまで見据えて動いた方が良いと判断しました」
男はその考えを汲み取り返答する。
「わかりました。ではその方針でやっていきましょう」
互いの話がまとまり、男が提案するように告げる。
「話を変えますが、私の同期が揃ったところでこの状態をそろそろ解除してもよろしいのでは?」
「そうでしたね。声の方は解除しますが姿の方はまだ念のためしばらくこのままでいさせていただきます」
「ご自由にどうぞ」
男がそう言うと、ボイスチェンジャーの主が手を合わせ部屋に張り巡らせてある結界の層を解除した。
「大変長らくお待たせしました。しかしこの状態もそろそろ終わりにしますので」
その声の主は若い男性の声であった。
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