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第8話 不思議な魔導書

『魔法とはこの世に存在する魂。魂は生命に宿し、その生命が生み出す大気には魂の粒子が紛れ込んでいる。では、魂のないものは魔法が使えないのか?そもそも魂のないものなどこの世に存在するのか?この世に存在しないものならそのものは何なのか?』


意味不明な文書に頭を抱え込む四人。祐希(ゆうき)が他の三人に聞いてみた。


「これって魔法分野の哲学なのかな?魔法を学ぶ上でかなり大事なことなのかもしれないけど、結局何が言いたいのかわからない」


「どうなんだろうな?」晴人(はると)が顎に手を置きながら考えている。


「まず、僕らこの世界の魔法のこと一ミリを知らないじゃん」晃彦(あきひこ)が三人の眼を横目に見ながら言う。


「表紙にあるこの意味不明な文字がきっとこの本にとって一番重要なことなんだよ!」周知の事実を平然と三人の前で語る(うみ)


『魔法の根源は魂であり、魔力は魂を源に湧き出る。体に蓄積された魔力は身体中を巡り、身体中に送られる信号を受け取りその信号に答える。物事の具現化には緻密な想像力、精神力が必要であり、そこには魂の違いはない。』


他の三人とは異なり、祐希はこの本に吸い込まれるかのように読み込んでいた。

集中して読んでいる祐希に海が話しかけた。


「祐希?大丈夫?なんか本に取り憑かれているみたいで……。海悔しかった…」


「大丈夫、大丈夫。てか悔しかったって?」


祐希が苦笑いをして海に聞いた。海が顔をムスッとしながら言った。


「いやぁだってさぁ?本に取り憑かれるとかなんかミステリーでかっこいいじゃん?T H E意味深的な?」


海のアホな回答に三人は呆れた表情を浮かべた。だが、そんなことに海は気付きもしない。


結局祐希たち四人は魔法を独学で勉強することができず解散することになった。

結局、各々自分の部屋で試してみるという結論に至ったのだった。


「晴人、晃彦、海ありがとう。また何かわかったりしたら誘ってくれ」


三人と別れた祐希は、読んでいた本を自分の部屋に持ち帰った。



『はるか昔、人という区別がない頃。魔法という形態も存在していなかった。魔法という概念が世の中に浸透し始めたのは世界に7つの種族が生まれてからの話だった。では、7つの種族が誕生してから魔法というのはできたのだろうか?』


祐希は硬いベッドにうつ伏せになり足をバタバタさせさっきの本を読んでいる。



この本って変な書き方されているよなぁ。歴史の話ではあるんだろうけど、所々読者に問を投げかけているように感じる。なんか違和感あるんだよなぁ…。この本って本当になんなんだろう?この表紙の文字の意味がわかったらいいんだけれども…賢者に聞こうかな?



違和感のある本をどうこう考えているうちに祐希は眠ってしまった。



「ねえねえ、こ〜と〜。最近祐希とはどうなの?」


「どうってなに?美鈴(みすず)


「いや、わかるでしょ?」


「いや何のことかわからない」


祐希たちが魔導書を探しに行っている間、(こと)の部屋では女子四人が輪になり集まっている。美鈴が琴に聞いた話がきっかけで恋話が始まったのだ。

集まっている女子は、祐希の好きな人・琴、琴の親友・美鈴、ナイスバディ・明日香(あすか)、ショートヘアーがお似合いの陸上部の天然・飯田優華(いいだゆうか)の四人だ。


明日香が嫌らしい眼を琴にむけた。


「でも、琴って祐希君が琴のこと好きってこと知ってるんやろ?」


琴は明日香の嫌らしい眼をそらし、ベッドの上に上がり仰向けに寝転がった。


「…。まぁ〜ねぇ」っと何かを思い詰めている返しをした。


「うちらが異世界来る前、神社で祐希君に告られなかったん?」


琴が苦笑いを浮かべる。


「半分告白された?でいいのかな?」


明日香は早く真相を知りたいのに、苦笑いをしたり上手くスルーする琴に少し苛々していた。別に喧嘩することでもないので、愛想笑いをして場を乗りこなしている。


「え、どゆこと?異世界に来た後はなんもなし?」


「…。うん」


さっきまで読めなかった琴のことが、意外にも寂しそうに返事するので明日香はニヤケが止まらなかった。


(これ絶対好きやん祐希君のこと!!)


「異世界に来て一年経ったというのに、何もないってなんか寂しないか?」


美鈴も明日香の意見に賛同した。


「明日香の言う通りだよ。なにもないってね〜…。祐希結構育児無しやからな!!告白が振り出しに戻ったと思って、ちびってるんやろ」


美鈴の祐希ディスが強烈で琴、明日香は黙り込んでしまった。


「美鈴それは言い過ぎだよ!祐希君は琴のこと好きなんだよ!」


「…」の空気が流れた。



少し暗い雰囲気が漂ったが、優香の突拍子もない発言により暗い雰囲気は晴れた。美鈴のディスに対して優香の天然が一番有効だ。なぜなら、話が噛み合わないからである。


「優華ごめん。なんかカッとなっちゃって…」


少し反省の意を見せた美鈴。優華は「いいの。いいの」と満面の笑顔で頭を縦に振り頷いている。


「優華気づいたんだけどさ。優華たち異世界に召喚されて真っ先に色んなこと提案してくれたのって祐希君じゃん?祐希君は今、恋愛するべきではないって考えているんじゃないのかな?シンプルに恋愛する余裕がないってことも考えられるよね!」


またもや優香の突拍子のない発言に空気は「…」となったが今回ばかりは違う。核心を付いたかのような意見であった。


「優華、あんたって時々鋭いところ付くよね。天然のくせに…」


「美鈴また、優香のこと天然って言ったぁ〜」


優香はむすっとしてそっぽを向いた。


「優華あんたの言うこと多分当たっとるで!知らんけど!な、琴どう思う?」


明日香が琴に話題を振ったが、反応がない。


「琴?聞こえとるか?」


明日香が再び琴に問いかけるが反応はない。


「まさかっ!」と思った明日香はベッドで寝転がる琴の顔を覗き込むと明日香の予想通り琴は寝ていた。


三人は互いに顔を合わせコソコソ笑いながら「おやすみ」と囁きながら静かに琴の部屋を出た。


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