見極める者
一方試験官の二人は…………
・桐須「はぁ?なんで止めに行ったらだめなのよ?」
・ジーン「……桐須、なぜ牙爪が今回の試験内容を『生き残れ』にしたかわかるか?」
・桐須「…あいつがバカだからでしょ」
・ジーン「う、うむ、確かに牙爪はあまり頭がよくない、だがなあいつは"ユーマライゼ"の恐ろしさを一番よく知っている」
・桐須 「………」
・ジーン「桐須も知ってるだろ、」
・桐須 「もちろん知ってるわ、あの忌々しい事件を忘れるわけがない」
・ジーン「一昨年の試験、合格した58人の内30人は特殊能力に目覚めて戦闘部隊に入ることができ、それぞれの軍に入隊した」
・桐須 「ええ、でもそれは間違えだったのよ…」
・ジーン「ああ、入隊したばかりの戦闘部隊の者達はすぐに本場の戦場に出撃した、しかし本物の"ユーマライゼ"との接触と戦闘は入隊したばかりの彼らにとっては、自らが死ぬかもしれない恐怖と自身が想像していた化け物よりも何十倍もの化け物だと知り、絶望してしまい、大抵の人は動けなかった」
・ジーン「むろん、動ける者もいたが、入隊したばかりの彼らは試験で対人戦をしただけ…」
・桐須 「そしてその試験内容すらも、今と比べものにならないぐらい緩かった」
・ジーン「結果新入隊員の戦闘部隊30人の内生還したのは16人」
・桐須 「そして動けなかった新入隊員を逃がすために"ユーマライゼ"と戦い、20人もの隊員が犠牲になったわ」
・ジーン「そして、その20人の中に………牙爪の親友もいた」
・桐須 「………」
・ジーン「牙爪の親友である彼は決して弱くはなかった、だが、新入隊員を守りながらユーマライゼと戦うには無理があった………」
・桐須 「結果、彼は新入隊員を助けるため自己を犠牲にして隊員を全員逃がした」
・ジーン「だが、それは文字通り自己を犠牲にした方法、むろん彼は助からなかった」
・桐須 「………」
・ジーン「だからこそ、牙爪は決めたのだ」
「他の隊員を自分の親友と同じ目にあわせない為に、自分の力で入隊挑戦者達を本気で見極めるっとな」
・桐須 「だからって本気で殺しにかかっていたら問題よ!」
・ジーン「なら、少し信じてみないか」
・桐須 「はぁ?なにを?」
・ジーン「牙爪があそこまで本気を出して戦っているんだ、もしかしたら牙爪はあの三人に何かに光るものが見えたんだろう」
「だから自身の本気の力であの三人を見極めようとしている」
・桐須 「……もし途中で牙爪の歯止めが利かなくなったらどうするの?」
・ジーン「その時は俺が責任を持ってとめる!」
・桐須 「………はぁ~分かったわ、なら【あの子】を信じてみるわ」
・ジーン「ありがとう、桐須」
・桐須 「はいはい………」
(……やるからにはちゃんと見極めなさいよ………牙爪)
場面は変わり剣達は………
・春「や、やべーなマジで【あいつ】の動きが見えねえ」
・龍希「うん、でも剣を信じて待つしかないよ」
・剣「………」
春と龍希は剣を守るように囲い牙爪の攻撃を紙一重で受け流している。
一方剣は自身の木剣を構えて集中している。
・牙爪「ドウシタ、カカッテコナイノカ?」
「コナイナラソロソロオワラセテヤル!」
そう言いった牙爪はさらにスピードを上げて剣達に襲い掛かる。
・春「やべっ!」
・龍希「くっ!」
牙爪の攻撃のスピードが上がったことにより春と龍希は受け流すことが困難になり徐々に追い詰められていく。
・春「剣!まだか?そろそろ俺たちも限界だ!」
・龍希「なんとかカンで防いでいるけど、自分もそろそろ限界だ!」
・剣「………………」
・牙爪「モウゲンガイノヨウダナ!」
牙爪がそう言いながら立ち止まり、獣のように構えはじめる。
・牙爪「コレデ、オワリダ!」
次の瞬間、牙爪が三人に向けて真っ直ぐ走りはじめる。
それと同時に剣が…
・剣「二人共待たせた!準備完了だ!」
・春「待ってたぜ!」
・龍希「いくよ春!」
・春「おう!」
そう言い三人は牙爪の方に武器を構える
・牙爪「ドウコヨウトムダダ!」
・剣「これで、決める!」
~次回 <作戦>~